活動報告(ブログ)

2018年5月25日(金) 衆議院本会議

【5/25衆議院本会議】
卸売市場法案の反対討論の模様を、以下ビデオライブラリーにてご覧いただけます。
http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php…

 

平成30年5月25日 衆議院本会議議事録(文責:亀井事務所)

○亀井亜紀子君 立憲民主党・市民クラブの亀井亜紀子でございます。

私は、ただいま議題となりました卸売市場法及び食品流通構造改善促進法の一部を改正する法律案について、反対の立場から討論いたします。

冒頭、一言申し上げます。

もはや、政府の横暴もここにきわまってきています。政府・与党は、いよいよ、働き方改革法案ならぬ働かせ方改悪法案の採決を強行させるようです。断じて容認できません。絶対に許せません。

与党の皆さんは、少しでも、御家族が過労死された方の思いに触れたことがありますか。愛する家族を失った方々と真摯に語り合われたことがありますか。家族会の皆さんの悲痛な叫びを聞いたことがありますか。

先日は、過労死家族会の皆さんは、雨の中、首相官邸を訪れ、安倍総理に面会を求めておられました。しかし、安倍総理はとうとう、過労死家族の方々との面会を拒否したまま、昭恵夫人と手に手をとって外遊に行ってしまいました。都合のいい人だけに会う、都合のいい人だけに囲まれ、都合のいいことだけを耳に入れる。一国の総理がとるべき態度ではありません。

さらに、データの問題も、先ほど西村議員が指摘したとおり、数え切れないほどの異常なデータが我々の調査で次々に発覚し、総理答弁はついに撤回に追い込まれ、裁量労働制は法案から削除を余儀なくされました。

しかし、問題はこれにとどまりませんでした。全データの2割を削除した以上、もはや調査結果の信憑性は失われているのに、信頼性が高いなどと信じられない答弁を加藤厚労大臣が繰り返す。そして、そのデータを二重に集計していたという事実を、何とけさになって明らかにする。もはや、論外を通り越して、あきれ果て、怒りしか沸いてきません。

法案の採決など論外です。与党の皆さん、こんな法案を押し通すなど、恥ずかしくないですか。過労死家族の皆さんに、データはいろいろ間違っていますが、この法案は大丈夫ですと胸を張って言えますか。政治家としての良識を疑います。

働かせ方改悪法案だけでもこのありさまです。さらに、1年以上にわたって、改ざん、隠蔽、捏造、口裏合わせに、国会要求に合わせての資料破棄。あげくの果てには、高級官僚のセクハラ、辞任にまで続く異常事態。どれをとっても論外の重大事案です。

中でも、特に問題なのは、虚偽の資料を出して虚偽の答弁を繰り返し、行政府が立法府を欺き続けたという重い事実です。国権の最高機関たる国会がだまされ続けたというこの深刻さを、与党の皆さんはもっと真剣に考えるべきです。与党からこうした声が上がらないのが、私には不思議でなりません。

冒頭、与党議員の皆さんの猛省を強く促し、働き方改革法案ならぬ働き方改悪法案の採決などもってのほかであると申し上げておきます。

それでは、卸売市場法及び食品流通構造改善促進法の一部を改正する法律案について、反対の立場から討論いたします。

まず初めに、本法律案は、生産者や市場関係者のための改正ではないことを指摘いたします。

議論の始まりは、平成28年11月11日に、未来投資会議構造改革徹底推進会合「ローカルアベノミクスの深化」会合と規制改革推進会議農業ワーキング・グループが連名でまとめた提言でした。その中に、卸売市場法という特別の法制度に基づく時代おくれの規制は廃止するとの記述があり、関係者の間に大きな衝撃が走りました。

市場を廃止せよとの提言に比べれば、本改正案で卸売市場と幾つかの規制が守られたので、これならよいだろうと与党の皆さんは安堵しているのでしょう。果たしてそうでしょうか。ショック療法にかかってしまって危機感がないと私は思います。

委員会質疑を通して問題点が明確になったので、以下、申し上げます。

反対理由の第1は、法目的から卸売市場の整備に関する文言がなくなり、国の関与が曖昧になったことです。

これは、国が卸売市場の適正な配置については関知しない、国として卸売市場流通システム全体のビジョンに全く関与しないことを示しています。

理由の第2は、開設者に対する懸念です。

本法律案では、民間事業者も中央卸売市場の開設者になることが認められています。開設者たる民間事業者が、卸売市場の取引ルールを自由につくって、卸売市場を上意下達で運営することが可能となる規制緩和なのです。

理由の第3は、第三者販売、つまり、卸売業者は中央卸売市場において仲卸業者及び売買参加者以外の者に卸売をしてはならないという規定が削除されていることです。

卸売市場の重要な役割の1つは価格決定機能であり、それは長年、仲卸業者という目ききによって維持されてきました。今後、量販店が卸売業者から直接買いたたき、価格を不当に下落させるおそれがあります。また、小規模事業者が市場で買い付けできなくなるおそれもあります。

そして、理由の第4は、卸売市場が認可制から認定制に変わることです。これは本改正の核心部分と言ってよいでしょう。

認可と認定は何がどう違うのかという大串議員の質問に対する昨日の政府の答弁は驚くべきものでした。現行法では、農林水産大臣や都道府県知事の許認可を受けなければ卸売市場の開設はできません。ところが、法改正により、卸売市場の開設は許認可を受けずとも行い得る制度となるのです。公正な取引の場として一定の要件を満たす卸売市場については農林水産大臣が認定をするとのことでした。

つまり、今後認定を受けない卸売市場が出現し、そこでは、現在卸売市場に課せられているルール、例えば、売買取引の方法の公表とか、差別的取扱いの禁止とか、受託拒否の禁止とか、今回の法改正で守られたとされる規制は一切適用されません。

さらに、不公正な取引については公正取引委員会に通知せよとの御答弁でした。これでは、農水省が卸売市場へ関与しなくなると言っても過言ではないでしょう。

認定を受けない市場は施設整備への補助金は得られませんが、大手資本であれば自力で市場を開設できます。今後、地方の卸売市場が買収され、あるいはなくなるかもしれません。

卸売市場の高い公共性は、国内の生産者、消費者のためにも、将来にわたって維持されるべきです。市場をなくせと提言した規制改革推進会議の新自由主義の信奉者たちは、巧妙に文言を変えることで、得たいものを手にしようとしています。与党の皆さんも、だまされたと思いませんか。認可制から認定制に変わる、そして第三者販売が解禁されるということで、実質的には市場がなくなることと同じことが起こり得るのです。

今からでも遅くありません。日本の食料の流通制度を根底から壊すであろう本法律案が今国会で廃案となることを願い、私の反対討論といたします。

御清聴ありがとうございました。

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