活動報告(ブログ)

2015年4月16日(木)古賀茂明氏の記者会見

4月16日(木)外国人記者クラブにて元経済産業省の古賀茂明氏の記者会見が開催されました。3月27日(金)の報道ステーション番組内での古館キャスターとの口論がメディアや自民党を騒がせていた時期だったので、古賀氏の言い分を聞きたくて参加しました。会見のテーマは報道と権力について。報道ステーションでの一件はおそらく事故のようなものであり(古館氏の反応が意外だったとのこと)、もっと重要な論点がたくさんありました。以下にまとめてみました。

日本は民主主義の国であるが、民主主義の国でクーデターではない方法で独裁は生まれるか、生まれるとしたらどのような過程で生まれるのか。次のようなステップを踏むのではないかと思う。
①ステップ1 「政府からの圧力」
日本の報道機関は政府から独立した組織にはなっていない。構造的にすべて政府の監督下に置かれている。例えば放送局の場合、総務省から電波を使用する免許を与えられている。新聞・雑誌の場合は再販制度によって価格が維持されている。(再販制度による価格維持は独占禁止法に違反するかもしれないが、今は特別扱いになっている。特別扱いがなくなると好きなだけ売れることになるので価格は下落する。)加えて消費税の軽減税率を適用してもらいたい新聞業界は政府に強く出られない。
②ステップ2 「自粛とすり寄り」
政府から圧力がかかるとメディアは戦うより「かわす」ようになる。すなわち自粛である。安倍政権はマスコミのトップと会食やゴルフを重ねている。マスコミトップが権力と近くなると自分達が政治を動かしているような気分になるのではないか。取材現場の人間はトップが守ってくれないと感じているので自然に報道を自粛するようになる。
③ステップ3 「重要なニュースが報道されなくなる。」
実は報道ステーションでフリップを用いてこのことを伝えたかった。ところがフリップを出した途端、古館キャスターが過剰に反応したので無駄に時間を使ってしまった。民主党政権の頃は既得権益や天下りの問題がもっと報道されていたが、安倍政権になってから非常に重要なニュースが報じられない、または小さく報じられるという現象が起きている。例えば政策金融機関の改革として政策投資銀行の民営化が決まっていたが、安倍政権下でいつの間にか民営化の期限がなくなってしまった。そして組織トップには財務省等の次官クラスが天下りしている。こういうニュースは以前なら大きく報じられたはずだ。圧力がかかっているのかと知り合いの記者に聞いたところ自粛しているわけではなく、記者が重要性に気付いていなかった。これは危機的だと思う。つまり自粛であれば物事の重要性には気付いている、自粛しているという意識が本人にあるわけだが、気が付かないということはニュースを見極めるジャーナリストとしての能力の低下、つまり政府にすり寄っている内に報道すべきことが見えなくなったということだ。こうなると政府に都合のよい情報しか報道されないので国民が洗脳され、選挙に行っても選択を間違う。こうやって民主主義の国で独裁が生まれるのではないか。

今、私は「フォーラム4」というキャンペーンを始めた。新しい政党を立ち上げる為の運動ではない。無党派層が増えているが彼らは無関心なのではなく投票したい候補者がいない、投票したい党が見当たらないのだと思う。構造改革と積極的平和(軍事)主義を縦軸、横軸に取って4分割した時、自民党は「改革はしない、戦争をする。」というスタンスである。「改革はしない、戦争もしない。」、「改革はする、戦争もする。」という野党はあるが、「改革はする、戦争はしない。」という政党が見当たらない。このすっぽり抜けた部分の声を結集する運動が「フォーラム4」なので興味のある方は検索してほしい。

また政府からの圧力の例として“No Borders”という組織のスクープ報道を紹介する。インターネットで検索すると前回の衆議院選挙前に自民党が報道ステーションのプロデューサー宛てに抗議した証拠文が公開されている。アベノミクスで金持ちが儲かっているという内容のVTRを流したことへの抗議である。番組編集について権力が口をはさむのは放送法の3条違反でこれは4条より大事。自民党はテレビ朝日とNHKを党本部に呼びつけたが本来なら行くべきではない。

「原発ホワイトアウト」、「東京ブラックアウト」という小説は現役の経産省官僚が書いている。なぜ小説にするかと言えばノンフィクションにした場合、巨大な組織を相手に戦っているのでほんの小さな間違いでも訴訟にされて大変なことになる。裁判に勝てるほどの裏を取って書くのは大変なので小説にしている。

自分の座右の銘としてガンジーの言葉がある。日本語でどう訳されているかわからないが、以下のような趣旨だ。「あなたがすることのほとんどは無意味だが、それをするのは世界を変える為ではなく自分が世界に変えられないためである。」、今こういう思いで活動している。

以上のような会見でした。私がその場にいて感じたことは強い「信念」です。恐らく私と古賀さんは改革について意見が異なる部分があると思います。私は小泉政権の構造改革に疑問を感じた側なので「改革」と言えば何でも正しいとは思わないし、ざっくり「改革しよう。」とは言えません。ただ何より自分の信念に従って行動し発信するということ、官僚を辞めてでも行動しているところに大いに共感します。本来は政治家が行動すべき場面であり、なぜ閣僚が大臣の椅子をかけて、あるいは自民党議員が離党も辞さず抗議しないのか理解できません。大臣を続けたい、次の選挙で公認が欲しいということが最優先で何も発言しないのか、それとも自粛しているわけではなく安倍総理の発言が正しいと思っているのかはわかりません。でも私から見ると安倍総理の論理は滅茶苦茶なので黙ってついていく与党、今の政治は気持ち悪いです。

PAGE TOP