活動報告(ブログ)

安倍政権の大暴走

安倍政権の暴走が止まりません。総理が御用学者を集めて私的諮問機関(安保法制懇)を作り、その国民の信託を得ていない学者達が作成した総理好みの報告書を閣議決定するだけで憲法9条が変わるとしたら、それはもはや国民主権ではなく民主主義の破壊です。憲法は国の最高法規であり、主権者は国民なので、改正する場合はまず国民の代表である国会議員の3分の2以上が発議すると定められており、これは法律を作る立法府、つまり国会の仕事です。三権分立は司法、立法、行政の3つであり、行政府の長である総理が閣議決定で憲法の解釈を変えることはそもそも越権行為なのです。どう考えても最高権力者である総理が憲法9条を好きなように解釈し、それによって自衛隊の運用が変わり、その根拠が特定機密保護法で秘密にされるということは、権力が暴走した戦前に戻りつつあるとしか思えません。

安倍総理が憲法9条改正論者であることは周知の事実であり、そういう考え方があっても構いませんが、問題は進め方です。総理は昨年、憲法96条を改正することで憲法を変えやすくしようと試みました。この時点では少なくとも憲法改正によって9条を変えよう、憲法に定められたプロセスに従おうという姿勢が総理自身に見られました。ところが中身も決めずにただ憲法を変えやすくしようというのは如何なものか、と国民の反発が強かった…。すると一足飛びに憲法なんて無視してしまえ、改正しないで好きに解釈すればいいんだと開き直ってしまったわけで、これはもう独裁者の思考パターンです。恐らく総理は「目的の為には手段を選ばず」-自分は正しいことをしているんだから、いずれ後世の人間が判断してくれるだろうと思っているのでしょう。けれども独裁者というのは勝手に自分が正しいと思って強引に進める人、ルールやプロセスを無視する人のことを言うのであり、対して民主主義というのはプロセスがすべてです。時間はかかるけれども丁寧に議論して合意を積み重ねる、そのプロセスを経て結論に達するのが民主主義であり、安倍総理は物腰はソフトだけれど、やり方は独裁者そのものです。ドイツ国民はヒットラーの演説に高揚してリーダーに選んだ結果、大失敗しました。日本国民も「好景気」というムードに高揚して安倍政権を勝たせてしまいましたが、9条改正論者も反対論者もまずは民主主義を守ることで結束しないとドイツの二の舞になりかねません。平和ボケをすると誰がやっても政治は変わらない、何が起きてもとりあえず自由と平和だけは続くだろうと錯覚しがちですが、世界の歴史を見れば1人の独裁者がほんの数年で国を混乱させてしまう例はいくらでもあるのです。

さてこの局面で公明党の役割は非常に大事です。私は公明党でも創価学会でもないけれど、集団的自衛権に関する山口那津男代表の発言は極めて良識的です。ご本人が法律家(弁護士)ですから理路整然としていて、これまでの政府見解、プロセスの積み重ねを重視した発言に徹しています。公明党が筋を通して毅然としていればよいのですが、私は国民新党の分裂というかクーデターを経験しましたから、政権与党への執着心、特に大臣、副大臣、政務官に就いている人間の異常なまでのポストへの執着心が公明党にも出てくるのではないかと懸念しています。でもそこで主義主張を曲げることは政党としての自殺行為であり、ただ与党でいることだけが目的の集団になってしまうと右往左往して結局は転落するでしょう。

国民新党の場合は消費増税の閣議決定が分裂の始まりでした。閣議決定を前に当時の亀井静香代表が連立離脱を発表しましたが、私を除いて全員が政権に執着し、遂には代表を追い出すというクーデターに発展しました。何が起きたかというと、党本部を占拠した議員達が金庫を勝手に開けて政党印を押印し、代表差し替えの書類を総務省に提出したのです。役所というのは形式主義ですから、登録印が押されていれば、それが盗まれた印鑑であっても書類としては受理します。亀井静香代表は弁護士を立てて争うようなことはせず、「代表のまま離党する。」と言い残して国民新党を去りました。私も一緒に離党したのはご承知の通りです。その後、国民新党は総選挙による政権交代で野党に転落し、権力を失った途端に数ヶ月で崩壊(解散)してしまいました。

「集団的自衛権の問題で連立離脱することはない。」との声が公明党内にあると報道で目にしましたが、それではなりふり構わず政権にしがみつきますと言っているようなもので、今後「平和の党」などと声高に主張しても完全にしらけてしまうでしょう。執着心というのは醜いだけで何も生み出しません。公明党がどういう対応をするか、果たして所属議員が結束していられるのか、私は注目しています。そして自民党は与党として政府の暴走を止めること、安倍総理を党首に選んだのは自民党員ですから、彼らにまず一義的な責任があるわけで、政府を止めるなり党首を解任するなり行動すべきでしょう。郵政民営化の時、政府に待ったをかけたように自民党内に反対勢力が生まれるか、それとも単なる大政翼賛党になり下がってしまったのか、ここは正念場です。1強と言われる自民党が大政翼賛党であるとしたら戦前と同じであり、国民にとっては絶望的、まさに戦後最大の危機だと思います。

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