60年に一度、出雲大社で行われる遷宮の一連行事「平成の大遷宮」がいよいよ始まりました。午後7時から開始される本殿遷座祭に参加する為、1時間前に到着。この日、私は威儀物捧持(いぎものほうじ)というご奉仕をすることになっていて、その説明を受ける為に社務所に集合しました。
案内状によると、「威儀物捧持」奉仕とは、大国主大神様が御仮殿より麗しく蘇った御本殿にお帰りになられる還御の行列で、特に大神様の御神輿の前後にあって威儀物を捧持し参預していただくもの、とあります。服装は礼服、約500メートル程の距離をゆっくりと進むので、御本殿に至るまでにはかなりの時間を要するとも書いてあります。色々想像しながら、着物ではなく洋服で、歩きやすい靴を選んで参加しました。
威儀物とは、つまり神様の御引越(遷宮)の荷物にあたるもので、五色旗や錦旗、弓、矢などの威儀物、いわゆる飾り物は御神体と共に本殿内に納められるとても大事な品々です。私が捧持したのは金幣(すべて金属製の金色の御幣)で長いし重いし、オリンピックの旗手のように持ったのですが、かなり大変でした。すぐ横を神職の方々が歩き、いつでも介助をお願いできる体制ではありましたが、二度とない貴重な体験なので、ほとんど1人で頑張りました。境内の招待客12,000人が見守っていたので、そのプレッシャーを感じながら、暗闇の中、つまずいて転ばないように細心の注意を払い、何とか御奉仕を終えました。御仮殿と御本殿を囲む瑞垣の周りをちょうど8の字に1周し、御本殿の八足門をくぐり、もう一つ楼門をくぐって、御本殿正面で威儀物を神職に渡すまで30~40分はかかったと思います。私は御神輿の前を歩きました。奉賛会、氏子会役員の方々等、約300人の行列でした。
本殿遷座祭には皇室から三笠宮彬子様と高円宮典子様が参列され、古式に則った厳かな祭事でした。この日はあいにくの雨天で、遷座祭の間だけ雨が止み、遷座祭終了のアナウンス直後から、突然雨がザーッと降り始めたので本当に神秘的で、これは今、大社で語り草になっているそうです。確かにあの場にいた人は皆、目に見えない、神様の御力を感じたと思います。本当に二度とない貴重な体験をさせていただきました。
(写真撮影は禁止なので、ご想像にお任せします。)