活動報告(ブログ)

2013年4月25日(木)農林水産委員会質問議事録

外国政府に対して有する米穀の売渡しに係る債権の免除に関する特別措置法案

☆議事録☆
亀井亜紀子参議院委員
みどりの風の亀井亜紀子でございます。

今日は舟山委員がTPPの調査でワシントンに行っておりまして、私は舟山委員の代わりに質問を致します。

農林水産委員会は約3年ぶりの出席になります。今回の法案を拝見致しまして、私が農林水産委員会におりました頃に質問したことを思い出しましたので、今日はその関連で質問をさせていただきます。

私が農林水産委員会にいた頃、事故米のことがかなり世間を騒がせておりました。あの時ミニマムアクセス米が話題になりまして、つまり事故米の件というのは、ミニマムアクセス米というのが日本人の口に合わないので倉庫に店晒しになっていた、それを本来食用には使わないということで二束三文で業者に渡したところ、それが加工されてせんべいになったり日本酒になったりしたという、そういう事件でした。

その時に私は、ミニマムアクセス米を日本人が好んで食べないのであれば、それを途上国の支援に回してはどうかということを申し上げました。当時の農水省の回答は、ミニマムアクセス米というのは一度国内に入れる、受け入れるということが条件とされているから、なかなか例えばタイ米を日本の引き取り分だけアフリカに支援に回しましょうということは難しいんですということを言われていたんですが、何かちょっと工夫をしてみますというか、検討しますというような言いぶりでありました。

その後、何か検討はされたのでしょうか。お伺い致します。

稲津久農林水産大臣政務官
ミニマムアクセス米についてのご質問でございますが、まず最初に一つ、こちらの方からも説明をさせていただきたいと思うんですけれども、国家貿易により輸入したミニマムアクセス米について、国産米では十分対応ができない加工食品の原料ですとか、それから飼料用等に、これが中心に販売をしているということでございますが、海外への食糧援助についても活用しているところでございます。

ご指摘の今のところのご質問なんですけれども、このミニマムアクセス米について、いわゆる通関されていない以上、ミニマムアクセス米輸入実績としてカウントをするということが、これ実質的に困難でございまして、保税の倉庫に納めて外国産米を我が国に持ち込まずに直接援助用に仕向けるということが、このことについては現段階では困難なものであると、このように考えているところでございます。

ただ今後とも、この輸入をしたミニマムアクセス米の援助への使用についてなんですけれども、これは国際食料問題への貢献の観点に立った上で、外国または国際機関から要請を踏まえて、WTOの協定等、国際ルールとの整合性にも留意を致しまして、関係省庁と連携を図り適切に対応していきたいと、このように考えているところでございます。

亀井亜紀子参議院議員
一度通関させなければいけないという条件はそのままのようですけれども、通関させた後でも一部支援に使っているようですが、そういう動きをもう少し積極的にやっていっていただきたいと思います。

次の質問、ネリカ米については紙委員と質問がダブってしまいましたが、簡単にお伺い致します。

このネリカ米の普及にJICAは力を入れているようでありますし、以前タンザニアのダカワというところで寺尾式農業というものが普及していると聞いたこともあります。基本的に日本の支援というのは、かんがい施設や肥料などがなくても栽培ができる、現地に合った稲作支援だと聞いておりますけれども、このような取り組み、広がっておりますでしょうか。

稲津久農林大臣政務官
非常に大事なご指摘でございますので、少し中身も含めて答弁をさせていただきたいと思いますが、まず第4回のアフリカ開発会議におきまして、これは2008年ですけれども、2018年までの10年間、先程のご質問にもありました、サハラ以南のアフリカでの米の生産量を倍増するという計画が打ち出されまして、我が国はその実現に向けて国際機関としっかり連携協力した上で取り組みを進めているという状況でございます。

この中で農林水産省では、現地に合った取り組みとして国連の世界食糧計画、これが農民の方々による水田や水路の復旧を支援する事業、それからアフリカの稲センターが低コストな稲作営農手法を、これを実証して、その技術を農民の方々に普及する事業、いわゆる普及事業などの取り組みを支援しているところでございます。

これらのことによりまして、平成24年度から28年度までリベリア等で200ヘクタールの水田の復旧を支援、これは内戦で田畑等が著しい破壊を受けた、この復旧支援、それから平成21年度から、これはベナンですけれども、実証
展示圃、いわゆる実証実験の田んぼですね、これを12ヶ所設置を致しまして、農家の方々への技術普及を支援しているところでございます。

こうしたことで支援の輪は拡大しているというふうに認識をしておりまして、今後とも議員ご指摘のことも踏まえて、現地で活動するこれらの機関と協力して、いわゆる現地に合った稲作支援を進めてまいりたいと、このように考えておるところでございます。

亀井亜紀子参議院議員
時間が少なくなってまいりましたので、次の質問、二つ続けて大臣にお伺いをしたいと思います。

最近私が読んだ農業関係の本で非常に参考になったのが、この「日本農業への正しい絶望法」という本でございます。松江出身の神門善久という農業の研究者が書かれた本なんですけれども、帯のところに「有機栽培だからおいしい 農業は成長産業だ 日本人の舌は厳しい 全部、ウソです。」と書いてあります。この本のおもしろいところは誰にも味方をしていない、つまり政府にも農協にも農業者にも味方をしていない、かなり中立的に言いたいことを言っているという点で非常に参考になる本でした。

この本を参考にしながら質問に入りたいと思います。

まず食料自給率についてなんですけれども、実はみどりの風が自民党さんにご挨拶に行った時に、石破幹事長とお話をしました。その時に食料自給率の話になったんですけれども、食料自給率なんということを言っていちゃいかぬですよという趣旨のことを言われました。そう言われたんですけれども、今このTPPに参加表明した政府であり自民党でありますけれども、かつては食料自給率の向上ですとか食料安全保障という概念がかなり強くあったのですけれども、それはもうなくなったんでしょうか。それとも今、食料自給率の目標値というのはきちんとあるのでしょうか。そして農業を成長産業に、農業者の所得倍増といった、そういう勇ましいスローガンは聞こえてくるんですけれども、それは誰に対して売るのでしょうか。例えば中国の富裕層に対して売るというような、そのような発想であるのか、仮にその場合に、国内の食料自給率の向上にはつながるんでしょうか。

まず、じゃ、ここで切りたいと思います。

林芳正農林水産大臣
ちょっとその本を後でまた拝見させていただく機会があればと思いますが。

この食料自給率でございます。やはり食料の安定供給を将来にわたって確保していくということは、国家の最も基本的な責務であると考えておりまして、そういった意味で自給率の向上とか不測時の食料安全保障、これは食料・農業・農村基本法に基本施策として明記をされておりまして、TPP交渉如何に関わらず、国として取り組むべき課題であるということでございます。

その基本法に基づく食料・農業・農村基本計画というのがございまして、これで現行のカロリーベースは50%、生産額ベースで70%ということをそこに明記をしてあるということでございます。

もう一つのお尋ねはこの需要の拡大と、こういうことでございましたが、いろんなことが考えられると思いますし、それから供給の方と需要の方をやはり横串を刺して全省統一的に検討する必要があると思いまして、1月に省内に攻めの農林水産業推進本部を設置してそこで今やっておりますが、農林水産業のやっぱり強みを分析する。仙台にお邪魔した時に、1粒1,000円、1箱じゃなくて、で売っているイチゴなども見せてもらいましたけれども、こういう付加価値をつくること、丹念に作っていってそういうことをやるですとかブランド化するとか、それから中国の富裕層も含めて世界の食市場が、これATカーニーの資料ですが、今後10年ぐらいで340兆から680兆、その伸びのうちの大宗をアジアが占めていると、こういうところでございますので、当然中国のみに留まらず、外の市場も需要として開拓していくということが大事だと思っておりまして、それの具体的な戦略を今検討しておるところでございます。

亀井亜紀子参議院議員
今のお話ですと、やはり付加価値の高い、高品質の高い農産物を海外に出していくという発想であると理解しました。

その場合に、TPPで関税をなくして国境を開いた時に、完全な価格競争になりますから、日本で栽培された安全で高くておいしいものを中国の富裕層が買い、中国の危険な土壌で、汚染された土壌で生産されたけれども安い農産物を日本の消費者が好んで食べるというようなことも出てくるんじゃないかと心配をしております。

それで次の質問なんですけれども、欧米諸国というのは食料自給率がかなりありまして、余剰の農産物を輸出補助金を付けることによって途上国にダンピング輸出をしてきた、これがかなり今問題視をされております。

この食料増産を狙った補助金を減らしなさいというのが今のWTOの一つの要請であり、全体的な農業交渉の中では、関税を削減すること、輸出補助金を削減すること、そして増産効果の高い補助金を削減することというのが非常に重要視されると。

そう考えた時に、日本の戸別所得補償というのはこの増産効果の高い補助金に当たるのではないかと考えることもできます。今回の自民党の予算というのは戸別所得補償の方を減らして農業土木を増やしたと、そういうふうに私は捉えておりますけれども、この戸別所得補償、このような補助金を減らした理由として、増産効果の高い、OTDSと言いますけれども、補助金を減らさなければならないと、それに引っかかるから減らすと考えられたのかどうかという質問がまず1点です。

また最後の質問をまとめますが、規模拡大についてですが、この神門教授の指摘によりますと、規模拡大の為に補助金を出します。耕作機械が通りやすい区画された農地というのは実は転用もしやすくなる、住宅に転用しやすくなるので、実は農業者というのがみんな善良ではなくて、補助金で区画整理をしてもらって何年かしたらアパートにでも転用しよう、それを狙って規模拡大に応じるということがあると。何が起きるかというと、その区画整理された中で一生懸命農業をやっている人の農地の横に住宅が建つというような虫食い状態になっていくと、それが問題視されています。ですので政府としてすべきことは、計画的な農地転用、ここは農地だけ集めますというような計画的な農地転用や、農地基本台帳の管理や情報公開ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

林芳正農林水産大臣
いくつかいただきましたのでまとめて手短にお答えしたいと思いますが、まず先程ちょっと最後おっしゃった、中国から安いものが入ってくるというところは、安くて安全でいいものであればあり得るかもしれませんが、別途SPSというのはWTO上ございますので、安全でないものがどんどん入ってくるということはないということは基本的に申し上げておきたいと思います。

その上でこのOTDSですね、貿易歪曲的国内支持ということでございますが、これはまだWTO協定の中で議論をされている段階でございまして、まだ協定の中できちっと位置付けられておりません。従ってまだこの制度というのはないわけでございまして、これに該当するかどうかという議論もできない段階と、こういうことでございます。

そういうことでございますので、経営所得安定対策というふうに名前を変えて戸別所得補償を、現場が混乱しないようにやっていく為に名前は変えましたけれども、実際の制度、現場の混乱を最小限にする為に同様の制度でやっていこうというのが今年でございますので、予算を削ったということも実はないわけでございますので、まずそのOTDS自体がまだ概念上成立していないということと、従って予算の、そもそも削っていないわけですが、関連性もないということでございます。

それから大区画化のご質問がありましたが、農業農村整備で大区画化をしたり排水状況をよくするということで生産性を高めて担い手に集積を進捗させる、大変大事なことだと思っております。これは農家のご負担ももちろんございますし、それから事業完了後8年は優良農地として位置付けて、農地転用許可は原則として認めないということになっております。今後もこういう優良農地に該当するものはもちろんですが、該当しない農地についてもこの制度の適正な運用をしていきたいと、こういうふうに考えております。

中谷智司農林水産委員長
加治屋農林水産副大臣。答弁は簡潔にお願い致します。

加治屋義人農林水産副大臣
区画整理については大臣もお話しの通りでございますが、この農地の基本台帳についてお答えしたいと思います。

農業委員会が整備する農地の基本台帳は、農地に関する業務の基礎資料として、農地の地番、所有者、借受人等についての情報を記載しているものであります。農地基本台帳はほぼすべての農業委員会で整備されているところでありますが、その情報の更新については、9割以上の農業委員会で毎年少なくとも1回は情報が更新されております。また1割弱の農業委員会では、マンパワー不足による更新が進んでいない状況にあります。このような状況に対応する為に、農地基本台帳のデータの電子化や固定資産課税台帳などの情報の突き合わせが容易に行えるようにすることが重要だと思っております。この為、従来から国として農地基本台帳の電子化等を支援してきたところでありますが、今後とも農地基本台帳の更なる充実に努めてまいりたいと思います。

以上です。

亀井亜紀子参議院議員
色々申し上げたいことはありますが、時間ですので終わります。

ありがとうございました。

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