活動報告(ブログ)

2013年4月3日(水)憲法審査会質問議事録

二院制の存在意義

☆議事録☆
亀井亜紀子委員
みどりの風の亀井亜紀子でございます。

両参考人に一つずつ違う質問をしたいと思います。

まずはじめに加藤秀治郎参考人にお尋ねを致します。

昨今、現憲法はGHQが作った占領憲法であるので、一番過激な人はこの憲法を破棄すべきであると言いますし、そうでなくても前文から書き直す、いわゆる自主憲法を制定すべきである、それでこそ独立国家だという意見が強くなってきております。

今日お配りいただいたこの資料を拝見していて感じたことなんですけれども、先生の資料の2ページ目に、憲法制定過程での両院制に関しての記述がございます。この時、GHQ草案は一院制であった、マッカーサーは一院制をよしとした。直属の部下のケーディスの発言では、場合によっては一院制では譲ってよいが、その代わり他は変えさせないと。結果として日本側が粘り参議院を創設。第二の考慮の機会を置く為の上院とあります。

ここからも見られるように、私の感想というのは、あのGHQに占領されていた中で、なかなかアメリカにものを言えない環境の中で、当時の日本人はいくつか頑張って自分達の意思を入れていったと、その中の一つがこの二院制であったのだろうなというふうに捉えているんですけれども、先生のご見解についてお伺いしたいと思います。

加藤秀治郎参考人
日本側が修正したことはいくつかあるんですが、そのうちの一つが一院制を二院制にして参議院をつくるということだったんですが、これはまあアメリカ側の、それこそこういう議事録まで公表しているところがいかにもアメリカ的らしいんですが、内部で、日本が何か言ってくるだろうから、その時はここを変えようということをいくつか用意していまして、その一つに一院制でなくしたいと言ってきたら二院制を認めようといって、これを取引の種というふうに言って用意をしていたわけですね。

ですから日本が考えがあって二院制をつくるなら、つくるということでよかったんだと思いますが、欠けていたのは、貴族院については明確な理念を持ってつくられた議院だと思いますが、参議院をつくる時の参議院は何をするところかというところの議論ですね、それを読んでみてもいま一つはっきりしないというところが問題で、つくったことはそれで意味があったと思いますが、意味を持ち得るような改正だったと思いますが、そういう入れ物、革袋にちゃんとしたお酒を入れたかどうかというと、やはり私は疑問で、それはずっとこの六十何年宿題として残されていて、参議院がそれこそ議論しなきゃいけなかったんですが、先程から申しているように、良識の府というふうな何となく格好いい看板を盾に内部の議論を怠ってきたのではないかということを、そういう印象を持っております。

亀井亜紀子委員
ありがとうございます。

二院制はどうあるべきかということがこの憲法審査会の一つの争点であり、その中に、では一院制ではどうなのかということが話し合われているわけですけれども、少なくとも事実として、当時占領下にあって日本人がかなり強い意思でこの二院制を、まあ将来の問題点が予測できなかったにしろ、日本人の意思で入れたということは間違いがないことだろうと思います。

そこで二院制を維持すべきであると主張されている加藤一彦先生にお尋ねしたいのですが、今の問題点は、やはり選挙制度が似通ってきて、参議院も政党化をしてしまった。同じような選び方をされて、同じような議論を2回やって、参議院がいわゆる政争に明け暮れているような状態であっては、二つ院がある意味はないではないかというところが出発点なのではないかと思うのですが、そこで一票の格差についてお伺いしたいと思います。

昨今、衆議院の方は、高裁で選挙無効とまでの判決が出ました。参議院の方はまだ無効という判決は出ておりませんけれども、違憲状態という判決が出ております。

亡き西岡参議院議長が、選挙制度改革について議長のお立場でかなり積極的に、中立的な立場で関わっておられました。その時に西岡議長は、各県の代表、つまり地域代表という位置付けを残せないかと色々お考えになって、アメリカで各州で2人代表がいるように県代表を残せないかと考えたのですけれども、アメリカは連邦制を取っているので、人口に関係なく各州が同等であると。けれども日本は連邦制ではないので、憲法にそこまで書き込まれていないので、各県を同等に扱うということを言い切れないのではないかと、そういう学者さんの意見があって、それで各県の代表ということを諦め、ブロック制での比例という考え方を出されたという経緯があります。

ただ一方で、一票の格差について衆参が全く同じでいいのかと。そういう見解ですと、この二つの院はやはりどうしても限りなく近づいていってしまう。なのでここに工夫は必要だろうと思うんです。

私は人口が少なくて、けれども非常に投票率の高い県から選出をされています。7割の人が投票に行く県です。それで人口が少ない県から見ると、人口が多いけど、ほとんど半分…

小坂憲次憲法審査会会長
答弁時間を確保してください。

亀井亜紀子委員
はい。

投票率も考慮したような選挙制度ができないのかというふうな声も聞こえてくるんですけれども、すみません、時間短くなりましたが、何か最高裁が言うことがすべてなのかどうかも、そういう点も含めてご意見をいただけたらと思います。

加藤一彦参考人
参議院の選挙制度改革という違う論点のお話ですので、これ話し始めるとちょっと長くなりますので、ポイントだけ指摘しておきます。

西岡議長の下でつくられたブロック案が、恐らくはこれがベースになる改革案であるというふうに私も思います。昨年の最高裁判所の判決では、都道府県別及び非拘束名簿式比例代表制の下での選挙制度ではもはや限界だという指摘を受けているはずです。であるならば、この最高裁の判例に従った格好での選挙制度の改革をされた方がよろしい、これが一つのポイント。

第二番目のポイントは、衆議院の選挙制度のみならず、参議院の選挙制度の時に1対2とか1対3とか、そういう話が平然と出てきます。これが恐らくは多くの、これは衆議院、参議院、それぞれ院を構成される国会議員の方々が勘違いされているところが1個あると思います。最高裁判所が1対2であるとダメなんだというのは、制度としてダメなのではないと、これは権利の問題なんだと、要するに有権者サイドからすると、平等選挙が実現されていないんだという権利論なんだということを忘れないでいただきたいということであります。従って制度で何が一番適合できるかということを考える時には、有権者の権利というサイド、その視点を忘れないでくださいということ。

以上です。

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