国際問題、地球環境問題及び食糧問題に関する調査「世界の水問題と日本の対外戦略」(アフリカ及び中東の水問題への取組の課題) ○独立行政法人国際協力機構地球環境部長不破雅実参考人
☆議事録☆
藤原正司国際・地球環境・食糧問題に関する調査会長
亀井さん、お願いします。
3人に質問せないかぬと思い込む必要はありませんから。いや、皆さんそうですよ。
亀井亜紀子委員
先程の有村先生の質問で私も同じようなことを思いましたので、関連質問で不破参考人にお伺いしたいと思います。
以前、ワンガリ・マータイさんといって、ノーベル平和賞を受賞された女性、もうお亡くなりになりましたけれども、確か彼女が主張していたように記憶しているんですが、アフリカの問題というのはいわゆる旱魃と、今砂漠化で旱魃が進んでいるということと、あと遊牧民の問題もあるんだと。つまり村に定住する部族と、後何年間か遊牧をして伝統的にサイクルで動く部族がいて、この遊牧民の動ける範囲がその環境の変化、旱魃によってなくなってきたと。その土地の取り合いがいわゆるスーダンであったり、内戦のもとなのだというような話を私は聞いたことがあります。それがまた植林につながっていったということなんですけれども。
今アフリカで伝統的に遊牧をする、そういう部族というのはどのぐらいの割合なんでしょうか。つまり定着型の部族対遊牧型と言いましょうか、定住している部族のところに井戸を掘れば、それはそこにずっと安定して住むんでしょうけれども、生活スタイルがいわゆる国境を渡っていく人達の場合はまた対応が違うんだろうと思うのですが、その辺、もし御存知でしたらお教えいただけますか。
不破雅実参考人
これは私が知る範囲でということになりますけれども、私は中東におりましたので、例えばベドウィンの方々の場合ですと、そういう井戸、オアシスの中の水源をある程度管理といいますか、所有といいますか、しながら移動していくというようなことをやってきていると。何といいますか、その権利といいますか、それは部族ごとにかなり重要なものになっているということで、その井戸を押さえているということが権限そのものみたいな、そういう話だという
のは聞いたことがございます。
そういう土地に新たな水源を造っていくというような仕事というのはあまりしたことはないのですけれども基本的に移動していく人口を、ある規模でそういうふうに水を使っていかれているわけですから、それというのは十分サステーナブルな分しか、つまりそんなに大量に水を取ったりなんかしない、伝統的にやってきているということだと思うんですけれども。
今の問題というのは、そういう方々が遊牧をするだけの資源が、例えば気候変動なのか砂漠化なのかわかりませんけれども、できなくて、家畜が食べる草とかもなくなってきてしまって、その結果、遊牧をする生産手段をなくしてしまって都市にスラムとして流れ込んでくるというような、そういう変化があるんじゃないかということだと思います。それによってアフリカの都市人口というのがものすごく伸びてきていて、そういう二次的な変化による影響にどうやって対処しなきゃいかぬかという問題に問題が変化してきているようなところがあると思っています。
伝統的な遊牧で成り立っているところは、恐らく水の量と水を使う分というのは多分バランスしているような状態というのがあるんだろうと思うんですけれども、そこを崩すような条件というのが起こってきているというのがたぶん非常に厳しい問題としてあるんじゃないかというふうに思っております。