活動報告(ブログ)

2013年2月28日(木)政府開発援助等に関する特別委員会質問議事録

政府開発援助等に関する調査(参考人質疑 ○一般財団法人国際開発機構理事長 杉下恒夫君 ○独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所 国際交流・研修室長兼開発スクール事務局長・教授 山形辰史君)

亀井亜紀子委員
みどりの風の亀井亜紀子でございます。

まずはじめに杉下参考人にお伺いしたいと思います。グローバル人材の育成についてでございます。

実は私は20代の頃にFASIDに数ヶ月勤めたことがございます。国際会議の事務局におりまして、翻訳などを担当致しておりました。当時のFASIDは国際開発機構ではなくて、確か高等教育という言葉が入っていたと思います。FASIDのASはアドバンスト・スタディーズだと記憶をしております。当時から日本の大学では国際開発に関わる高等教育のカリキュラムがない、だから大学院でそのようなカリキュラムを作って人材育成すべきであると、そのような活動をされていたと思います。現在もそのようなことを仕事の一部とされているのかと思いますけれども。

私も思いますに、このODAの予算が減ってくる中で、いわゆる日本の人材が現場の前線に見えることが大事なんだろうと思います。つまり海外青年協力隊が2年、3年行くということも大事ですけれども、その上のレベルの人間、国際のプロジェクトでコーディネートができる人達、お金が他国から出ていても、あるいは国際機関から出ていても。つまり日本としてはあまりお金がかからない、けれども現場においてその要となる人材が、コーディネーターが日本人であるということだけで、その国の人にとっては、あの日本人に助けられたという印象がかなり広まるわけですから、そこの要に来る人材を育てることが大事
だと思うんですけれども、今日本に何が欠けているのでしょうか。またこのポジションに上がっていくにはどうしても、教育も海外で受ける人もちろん多いですし、英語を堪能に使う為には海外での生活がどうしても長くなるので、なかなか日本からキャリアをスタートできないということがあるんですけれども、その問題ですとか、この人材が日本に帰ってきて将来できることがあるのかどうかということも伺いたいと思います。

まず杉下参考人にお伺い致します。

杉下恒夫参考人
亀井先生の方が私よりもFASIDのことはお詳しいんじゃないかと思うんですが、おっしゃる通りだと思います。で、何が足らないかというと、やはり今おっしゃる通り、プロジェクトのコーディネーターとかマネジメントができる、国際組織の中でのマネジメントまでできる人、それがなかなか今、日本に欠けているんじゃないか。つまりそういう教育が行われていないということですね。英語まで勉強する、いろんな知識は勉強するけど、その上のマネジメントまでできる人、そういう人が日本の場合、まだなかなかそういう教育機関がない。

ですから今もし先生のご質問に対するお答えとして私が考えるのは、つまり社会人の再教育とか、これは非常に重要なんですね。要するにビジネスをやった方をもう一回国際社会の中で使えるような、これはもともと素養がありますから、単なる語学力とか、それからそういった国際社会の慣習みたいなものを身にさえ付けてもらえれば、この人達は即戦力になると思いますね。だからこういう社会人の再教育。それから海外や留学から帰ってきた人達、これはなかなか今、ポスドクみたいなところがございまして、なかなか仕事がない人がいますね。こういう人達をもう1回再教育することによって日本の戦力となる。もう1回再教育、このままじゃ使えない人も多いと思う。こういう人達の再教育。

ですから私は、我々の組織がこれからやりたいと思うのは、そういう再教育をやって、もう1回ワンランク上の人間をつくっていく。そして初めて先生がおっしゃるような仕事に就ける人間ができるんじゃないかなと思っています。

亀井亜紀子委員
ありがとうございます。

今の質問は、この委員会でも取り組んでいることですが、青年海外協力隊の希望者が少ないというのは、戻ってきた時に就職に有利にならないので希望者が少ないのではないかというような視点がございまして、やはりその人材の活用ということを視点に置いております。その中でもっと高いレベルの人材が日本に戻ってきた時に、どういうふうに社会に入っていったらいいのかということを考えておりました。

山形参考人にもお伺いしたいんですけれども、これは今度、協力の仕方、二国間と、また国際機関に対する援助との比率の問題なんですけれども、やはり予算がふんだんにありませんので、今までのように二国間でばらまきというのは難しいので、先に入っている国と協力をする協調した援助という方向に行くことで、多少は日本の援助の額というのは減らすことができるんでしょうし、その分を国際機関に振り分けていくというような、そのようなことを提唱していらっしゃるんでしょうか。

そしてもう一つは、二国間の援助について、なかなか今までの関係は切れないわけですけれども、先に援助をしている国があるところに協力して入っていくことが正しいのか、また、あまり、例えば中国ですとか、他の国が入っていないところに進んで入っていって、そこは日本の影響を強めようと考えるのか、色々な視点がございますが、どのような組み合わせがよろしいでしょうか。

山形辰史参考人
ご質問ありがとうございます。

非常に難しい質問なんですが、一つ例を申し上げますと、国連ですとか世界銀行に出しております人間の安全保障基金というものがございまして、これはマルチで出しているわけですが、国連機関、世界銀行の方にかなり高く評価されているような、そういうお話を伺うことがあります。日本がマルチのドナーに対して出すことによって、二国間で出す時よりも色は薄まるわけですけれども、それでも強い効果を持ち得る例かなというふうに思います。

それで新しい国、新しい国といいますか、日本が今まで支援していない国に入っていく時にどうするかというご質問だったかと思いますが、これは撤退、卒業する、させるということと裏腹の話かと思います。一つあり得るのは中米のケースですけれども、ニカラグアを含む数ヶ国に対して算数の教科書を、数ヶ国に共通の算数の教科書を作って支援するというようなものがありまして、これは受け手側が複数になっている例なんです。

新しい支援をしていくという時に、二国間でやるのが難しいという時に、先方の地域共同体等を活用して支援するという手もあるかなというふうに今ちょっと考えた次第ですが。

亀井亜紀子委員
時間が迫っておりますので一言だけお伺いしたいんですが、日本の特徴、強みというのは何でしょうか。つまり北欧は人権ですとかありますけれども、客観的に見て日本というのはどのように見えているのでしょうか。それをお二方に、もし一言ございましたらお願い致します。

杉下恒夫参考人
一言で言うと、私は長年見ていて、やはり日本の場合は粘り強さというか、忍耐、我慢強さだと思います。

山形辰史参考人
私、バングラデシュで2000年代に見てきて感じたことですけど、一言で言いますと雑巾がけ。

と言いますのは、今のその粘り強さに近いかと思うんですけれども、これはバングラデシュの協調ですね、4ドナー、DFID、日本、世銀、ADBといったような協調がありました時に、日本側は参事官レベルの方が担当しておられて、他は大使レベルの方が出ておられたんですけど、その参事官の方が本当に汚れ仕事全部やりますというような感じで援助協調の中で役割を果たしておられて、これ日本は得意かなというふうに思ったことがございます。

亀井亜紀子委員
ありがとうございました。

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