動物の愛護及び管理に関する法律の一部を改正する法律案
☆議事録☆
亀井亜紀子委員
みどりの風の亀井亜紀子でございます。
まずはじめにマイクロチップについてお伺いを致します。
私はこの法案の第一の目的は、幼齢の犬猫をあまり早いうちに親から引き離さないということであろうと理解をしておりましたが、この第五の、今日の趣旨説明でも、そのマイクロチップのところが妙に前のめりに聞こえるんですね。その装着を義務付けることに向けて検討というのは、例えばTPPへの参加に向けて検討というようなもので、何かこう装着することを前提に議論しているような感じがして気になりました。
それでこのマイクロチップの装着というのは、どのような経緯で今回法案に盛り込まれたんでしょうか。また装着を義務付ける必要はないと思うんですね。飼い主の選択でいいんじゃないかと思うんですけれども、その辺はいかがでしょうか。またこのマイクロチップを生産しているメーカーはどのような会社があるのでしょうか。お答えください。
田島一成衆議院議員
ご質問ありがとうございます。
今回のこの改正法案、民主、自民、そして国民の生活、公明の4党の実務者で協議を進めてきたところでございますが、その中でマイクロチップの装着について協議をしてきたところであります。
メリットという点につきましては、この間の東日本大震災でも、やはり迷い犬、誰が所有者かわからないというような問題もあり、所有者に返還を容易にするということでありますとか、今回の週齢規制にも関連致しますけれども、幼齢個体の販売制限でありますとか、それの実効性を確保していくという点では、そのマイクロチップに生年月日のデータ等々を入れられるという点で非常に有効性を発揮するだろうと。
加えまして、所管はこれ厚生労働省になりますけれども、狂犬病の予防であるとか蔓延の防止等々に寄与するというような点からのメリットを認識をしてきたところでもございます。
しかしながら今、マイクロチップの普及率と申し上げますと、実は僅か2、3%の非常に低い状況にもありますし、マイクロチップに関連付けられる情報を管理する体制自体も十分だとはとても言えるような状況にはございません。
従いまして、今回慌てて一気に義務化をしようとか、装着を義務化しようというようなところまではまいりませずに、5年間は、例えばマイクロチップ自体もメーカー、後で申し上げますけれども5社ほどが日本に入ってきているんですけれども、その規格もバラバラです。そして大きさも今だんだんと小型化されていますし、価格も低価格化の方向に来ております。こういった動向、技術開発等々をしっかりと見極めた上で、5年後の義務化に向けた検討をしましょうというような書きぶりにさせていただいたところでございます。
なおメーカーにつきましては、残念ながら日本のメーカーは1社もございません。スイスのデータマース社でありますとか、アメリカのアビッド社、そしてデジタルエンジェル社といったようなところが製造をし、日本の輸入会社、販売会社を経由して各獣医師の下でマイクロチップを装着しているというような状況になっています。
亀井亜紀子委員
何だか海外のメーカー主導のように聞こえるんですよね。これ導入した時に、例えば読み取りの機械ですとか、お金がかかる話ですから、国がもしこれに関わるとしたら、そういう開発費もかかりますし、そう簡単じゃないと思うんですよね。
このマイクロチップの装着の対象としては、これはとりあえずペットショップで扱う犬猫ということで、誰かの家で生まれた犬をもらってくる、そういう犬猫は対象になっていないと考えてよろしいでしょうか。
田島一成衆議院議員
今ご指摘いただきました通り、まずはペットショップ等々で販売に供される犬猫を対象としております。
各家庭で生まれた犬猫については、今回は対象からは外しておりますけれども、将来的には、またその時々の適切な判断によってなされるものというふうには承知をしておりますが、まずは販売用の犬猫のマイクロチップの装着ということで考えさせていただいております。
亀井亜紀子委員
ペットショップで扱う犬猫についても、とりあえず飼い主の選択に任せていいと思うんですよね、私は。
なぜこんなに私がこれを気にしているかといいますと、以前ちょっと耳にしたことがあるのが、これ、マイクロチップを作っている会社にとってみれば、売れれば売れるほどいいわけですよね。はじめに犬猫で始めて、その後でいわゆる徘回する老人に導入していこうと考えているんじゃないかというようなことをちょっと耳にしたことがあって、気持ち悪いと思ったんですね。まさかそんなことはないと思いますけれども、ただこういうものは体に埋め込むものなので、やはり選択制にした方がいいと思って、ちょっとこだわって伺いました。
次の質問ですけれども、以前この委員会でデザイン鑑札について私、伺ったことがあります。
保健所で殺処分される犬猫の中で、捨てられたものは仕方ないんですけれども、そうではなくて、鑑札を付けていない為に迷った犬猫が飼い主に戻れずに殺処分されてしまうことが往々にしてあるので、これを防ぐ活動をしている市民グループがあるんですね。自治体の基準の鑑札ですと、小型犬に対して大きすぎたり、あるいは全然デザイン性がなくて皆外したがるので、もう少しおしゃれなデザイン鑑札であればアクセサリーのように付けてもらえるかもしれない。その活動をしている人達がいるので、どの程度進んでいますかという質問をしたことがあるんですけど、以前の質問以降、どの程度普及致しましたでしょうか。
外山千也政府参考人
鑑札につきましては、平成19年4月から、文字の大きさ等の一定の要件を満たせば市町村ごとに自由な様式とすることを可能としたところでございます。
平成23年12月の時点での状況を調べましたところ、全市町村の約4割に当たる708市町村が独自のデザインを取り入れておりまして、平成22年4月の前回調査時より約200市町村増加しているところでございます。
亀井亜紀子委員
以上のように、市町村が以前よりは積極的に取り組むようになって、このデザイン鑑札というのも普及してきておりますので、そのデザイン鑑札とのバランスでマイクロチップ、慎重に検討していただきたいと思います。
次に犬猫の殺処分数について、過去3年間の都道府県ワーストスリーについて伺いたいと思います。以前この中に島根県が入ったことがありまして、それがきっかけでデザイン鑑札の普及活動が進みましたので、最近の状況についてお伺い致します。
後もう一つ続けて次の質問もしてしまいます。
この委員会で小笠原諸島に視察に行きました。その時に生態系を荒らす野猫の捕獲活動をされているグループがありましたけれども、その後、この野猫の捕獲、東京の獣医師会にお願いして引き取っていただいていますが、その進捗状況について教えてください。
伊藤哲夫政府参考人
まず犬猫の殺処分数について自治体にアンケートした結果によれば、犬猫合わせた殺処分数の多い都道府県を順に挙げますと、過去3年間でございますけれども、平成20年で最も多かったのは沖縄県の10,034頭、次に千葉県の9,943頭、茨城県の9,028頭でございました。21年度は千葉県の8,309頭、沖縄県8,144頭、茨城県7,228頭。平成22年度は沖縄県が7,451頭、千葉県6,785頭、茨城県6,346頭。順次減ってはございますけれども、一応こういうふうな状況でございます。
それから小笠原の野猫対策の進捗状況でございますけれども、昨年6月に世界自然遺産に登録された小笠原諸島では、アカガシラカラスバト等の希少な鳥類が野猫による食害を受けているということから、環境省では野猫の対策事業を平成17年から関係機関とともに開始しているところでございます。
これまでの野猫の捕獲作業の結果、父島及び母島以外の島では野猫の排除が確認された、もう野猫はいないという状況になりました。父島及び母島では引き続き野猫の捕獲や進入防止柵の設置を進めており、父島では野猫の捕獲数やモニタリングカメラに撮影される件数が非常に低下しているということ、また母島では南崎において10年ぶりにオナガミズナギドリの繁殖が確認されているなど、一定の効果を上げてきているんではないかというふうに認識しております。
世界自然遺産である小笠原諸島の価値が失われないよう、野猫対策を含めた生態系保全の為の事業を引き続き推進してまいりたいというふうに考えております。
亀井亜紀子委員
ありがとうございます。
殺処分数に関しては沖縄の数字が悪いということがよくわかりました。
それから小笠原について、視察をした時に1匹残らず捕まえないと繁殖してしまうということでしたので、ずいぶん大変な作業だと思って気になっていたので質問致しました。
ありがとうございました。以上です。