一体改革関連8法案
☆議事録☆
亀井亜紀子委員
みどりの風の亀井亜紀子でございます。
今日は民自公3党から時間を配慮していただきましたので、初めてゆっくり色々と細かく質問させていただきます。
前回の質問で軽減税率について質問を1問してそこで終わってしまったので、その続きという意味合いで質問させていただきます。
火曜日の質問の時に、私は井堀利宏教授の政府の集中検討会議で使われた資料を提出を致しました。その時に政府の集中検討会議においては、井堀教授の理論というのがかなり当時の担当大臣、与謝野担当大臣に評価をされておりまして、軽減税率ということがあまり積極的に採用されなかったんです。
彼の理論は私が前回ご説明した通り、消費税の逆進性というのは、ある一時点で高所得者と低所得者を比較するべきではなくて、その人の生涯所得で評価をし、その中でどれだけの消費税を生涯に払ったか、それによって比較すべきものであると、そのような理論でありました。これはどうも税学者が井堀教授に限らず言っていることのようであります。そして消費税というのは所得に対する比例税であると。高額所得者は高いものを買ってそれだけ多く消費税を払うのだから、低所得者が一概に不利だ、不公平だというようなことは言うべきではないのではないかと、そういう理論でした。
私は非常に違和感がありまして、これが終身雇用で年功序列で賃金が上がっていくような体系であれば、もう少しそういう年齢によっての負担の差というのは出てくるのかもしれないけれども、今のように雇用が安定しない状況ではそれは言えないのではないかということを主張致しました。
私の質問はこの集中検討会議の時に、今申し述べたように、軽減税率というのがピシャッと否定をされる中で、財務省が言っていたこととして、また当時の井堀教授ですとか与謝野担当大臣が言っていたこととして、欧州のように、例えばスウェーデンのように25%とかイギリスのように20%というんだったらわかるけれども、日本のように5%、それが10%程度になるんだったら必要ないと、そういうことだったんです。
それで今いろんな委員の方が、例えば8%の時には軽減税率検討してもらえるのか、じゃ10%だったらどうかと、8%ではじゃ事務作業が間に合わないけれども、10%だったら考慮してもらえるのかというような質問が今までにありましたけれども、私は今まで財務省とやり取りをしてきた感想として、10%までは軽減税率は入れたくないのですと、かなり強硬だということを知っています。
そういう実感があるので伺いたいんですけれども、では10%の時、あるいはそれより上がる時に軽減税率を入れたとして、じゃその時点で税率が、単一税率ですけれども、そこから品目によって下がるものというのも出てくるんでしょうか。それとも最低税率が10%で、それに据え置きのものともっと高いものというような感じで考えておられますか。
岡田克也内閣府特命担当大臣(行政刷新担当)
今委員、二つのことを言われたと思うんですね。
一つは消費税に逆進性があるのかないのかという話で、これは学者とかいろんなご意見あると思います。逆進性がない、ある、両様あると思いますが、私はやはり逆進性はある程度はあると言うべきだと思うんですね。つまり全額消費に使う人と所得にある程度余裕があって貯蓄に回る人で、もうそこだけでも違ってくるわけでありますので、比例ではなくなってくるので、そういう意味で逆進性はやはりあると、一部あるということだと思います。そこをどういうふうに対応すべきかということで、今軽減税率、複数税率かそれとも給付付き税額控除かという議論を行っているということだと思います。
そのことについては、まだ少なくとも政府としてはどちらでいくということを決めておりませんので、どちらかというと給付付き税額控除の方がいいというふうに考えておりますが、軽減税率についても排除はしておりません。排除はしておりませんが、軽減税率と決めたわけでもありませんので、そこは前提にご議論いただければというふうに思います。
亀井亜紀子委員
私も給付付き税額控除という選択肢は排除しているわけではないんですけれども、ただ、今マイナンバー法案も審議されておりませんし、これはセットだと思います。つまり給付付き税額控除というのは、国民の所得というのを1人1人国民に番号を付けて所得の捕捉をしないと実現不可能ですから、ここがセットになっている以上、給付付きの税額控除の方が先に行ってしまって実現できないまま消費税だけが上がると大変な逆進性の増加になりますので、そこを懸念して軽減税率がなぜ難しいのかということを今までも質問をしてまいりました。そしてやはり私の中ですごく疑問が残っているので、更に伺いたいと思います。
財務省は今まで私がやり取りしてきた中で、やはり軽減税率をやりたくないという、そういう姿勢であるということをすごく感じています。そしてそれに加勢するのが経済産業省なんですね。経済産業省は中小企業団体から強い反対がある、だから複数税率はやめてほしいということで強硬に反対をしてきまして、ですから財務省と経済産業省が一体になって軽減税率を入れないように動いているような、そういう印象を私は持っております。
先日、地方公聴会に行きましたけれども、中小企業の団体の方がいらして、やはり主張されたのは、栃木県商工会議所連合会会長のご意見ですけれども、複数税率はやめてほしい、簡易課税を維持してほしいという要望なんですね。
なぜこんなに中小企業の反対、事務負担が増大するということなんですけれども、ここまで反対が強いのかということについて経済産業省にお伺い致します。
中根康浩経済産業大臣政務官
経産省からお答えを申し上げます。
まず軽減税率につきましては、本法案において財源の問題、対象範囲の限定、中小企業者の事務負担等を含め、様々な角度から総合的に検討するとされているところであり、今後の検討課題であるということはご理解をいただいておると思います。
その上で複数税率を導入した場合の問題でございますけれども、レジや会計システムの大幅な変更等のコストの発生、個々の商品に適用される税率を判別する負担、インボイス制度が必要となる為、個々の商品ごとのインボイス記載税額の積み上げ計算や、書類保存などの追加的な事務負担が生ずると考えております。
以上です。
亀井亜紀子委員
今のご答弁にありましたように、様々な事務負担ということをおっしゃるんですね。その様々なというところがいつも私はわからないわけなんです。
今IT化された社会ですから、スーパーで買い物をして、レジで昔のように打っておりません。バーコードでピッと読み取ればそれで金額がはじかれるわけですから、今のITをもってして、例えば2種類の税率があって、それが把握できないものかというのは非常に疑問なんです。ですのでその事務負担の増大というのが一体何を言っているのかというのがどうしてもわかりませんし、今まで論理的な説明が出てきたことはありません。
ですのでこれは私の推測ですけれども、簡易課税制度の中身というのがかなりブラックボックスになっているんじゃないかなと思うんです。そしてこの簡易課税の中に例えば益税ですとか、そういうものも含まれていたりして、ですからあまり中小企業が消費税のところの中身を見てもらいたくないというようなことがあるのではと推測をしております。
それで財務省に伺いますけれども、いつも中小企業団体からの反対が、経産省からの反対がとおっしゃるんですけれども、もしここのところの問題が話し合いをして解決ができたとしたら、複数税率の導入というのはもう少し積極的に考えられますか。それとも今まで私もこれ議論してきた中で聞こえてきたのは、海外も実は複数税率を入れて複雑な制度なので苦労していると、日本の簡易課税制度を羨ましがっていると、一度複数税率にしてしまったら二度と元に戻せないからこれは嫌だと、そういうことを言われたこともありますし、食品に軽減税率を導入すると2割ほど税収が減るから嫌だということも言っておりました。
ですので伺いますけれども、インボイスの導入と軽減税率というのは、中小企業団体の反対が和らいでも入れたくないというご見解でしょうか。
五十嵐文彦財務副大臣
軽減税率、絶対嫌だと言っているわけではないんですが、毎回お話が出ていますけれども、メリット、デメリットがありまして、消費者にとっても本当にじゃその分だけ安く買えるのかというと、コストがかかればそれはコストは価格に転嫁されますから、そういう意味では別に、中小企業事業者の為ということもありますけれども、それだけではなくて、消費者にとっても実は本当に効率的にできるのかという問題があると思うんですね。
つまりその分だけ税率を高くしないと、税収の効果が上がらなくなってきます。ですからその分だけ、例えばヨーロッパで軽減税率をしている国は税率が高いわけですよね。そういうことも考えて、それから金持ちの皆さんの方がより買い物をしますから、その人達の方がよりメリットが大きいということで、かえって不公平な面もあるということもあると思いますね。
更に言えば、そもそも間接税、消費税、消費課税というのは、所得を把握しなくても買える、購買力ですね、購買力があるということがその所得の裏付けになるという意味で、調査の費用やお金をかけて徴税をしなくても、だいたいある程度の比例的に徴収ができるというメリットがあって、それを所得をいちいち把握しなければいけないと、それに応じて取るんだというふうに、逆行するというコストも社会全体のコストとしてどうかという問題もあると思います。
それから普段言われていますように、食品といってもその範囲、軽減税率がわかりやすいというけれども、一見わかりやすいんですけれども、実際にはどこまでの範囲か、サービスと一体となった食品の提供というようなものもありますし、どこまでが本当に軽減すべきもの、範囲なのかというのを確定するのも大変難しいというような色々な問題があるというふうに思います。
亀井亜紀子委員
色々ご説明いただくんですけれども、どうも何か私しっくりいかないんですよね。それでこれは経済産業省にも以前聞いたことなんですけれども、同じ質問を致します。
8%、10%と2段階で税率を短い間に切り替えていくその事務負担と、一度の税率変更で軽減税率の、例えば5%据え置きと10%という2段階の税率をつくるということの、その事務負担の違いというのはどのようなものなんでしょうか。
またもう一つ次の質問も続けますけれども、給付付き税額控除と軽減税率を比較した時に、給付付き税額控除は申告して還付されるまでの間、先払いですよね。例えば低所得者がスーパーに行って食品を先に買って税を負担して後で返ってくるので、返ってくるまでが厳しいはずなんですね。ですからその点において、軽減税率よりも私は劣っているんじゃないかと思うんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。
高橋千秋社会保障と税の一体改革に関する特別委員長
財務省ですか、どちらですか。
亀井亜紀子委員
すみません、財務省に。
五十嵐文彦財務副大臣
単一税率を2段階で引き上げる場合、事業者にとって値札の張り替えという手間は2度かかります、確かに。ただ現行制度における納税事務方法を継続できるので、引き上げ後に追加的な費用が生じるわけではございません。
他方、複数税率を一度に実施する場合には、値札の張り替えの手間は一度で済むけれども、引き上げの後も継続的にレジの大幅なシステム変更や個々の商品に適用される税率を判断、判別する負担が発生致しますし、商品ごとの適用税率が異なりますのでインボイス制度の導入が必要になります。この個々の商品ごとのインボイス記載税額の積み上げ計算や書類保存などの事務負担が生じると考えられるわけで、相当なコスト高になると思っております。
亀井亜紀子委員
1問質問し忘れたので、また重ねて五十嵐財務副大臣にお伺い致します。
給付付き税額控除の方は、今マイナンバー法案が全く成立の見込みが立たないので、この消費税の増税法案が成立すると増税だけが先に決まると、それで制度の設計はこれからのことだということで、これは私はおかしいのではないかと思います。
財務省は簡素な給付措置という政策を出してこられました。これは私、財務省と色々と議論をしていて思い出すんですけれども、今のような私が問題点を指摘しましたら、それで軽減税率にしないのかと言いましたら、それだったらば低所得者にお金を配った方が手っ取り早いよと言われて、その後法律の文章で簡素な給付措置という言葉が出てきたんですね。
それで伺いますが、やはり給付付き税額控除のベースとなるマイナンバー法案がセットになっていない状況で、軽減税率の方もあまり真剣に検討せず、この消費税の法案だけ通すということについてどう思われますか。
五十嵐文彦財務副大臣
結局は逆進性といいますか、低所得者に負担が重くなるという部分をどう除去するかと。すべての所得階層の人にとって負担増分を軽減する、除去するという考え方とは違うんだと思います。低所得者層に特に負担が重くなる部分をどう見るかと。薄く広く皆さんに社会保障の経費を負担していただこうというのが趣旨でございますので、そういう意味では低所得層に限って負担軽減措置を図るというのは一つの考え方だというふうに思っておりまして、おっしゃっています給付付き税額控除については、諸外国でも例えば子ども手当のバランスを取る為とか、あるいは就労助成、就労促進という考え方から設計をされているのであって、私どもも単に全世代における消費税の負担増を除去する為とは考えておりませんので、そういう意味では少し委員のおっしゃっている意味とずれがあるのかなと、こう思っております。
亀井亜紀子委員
私がこれだけ複数税率について、軽減税率についてお伺いするのは、海外の消費税に比べて日本の5%は安いから、低いから上げる余地があるのだというような議論がよくあるんですけれども、それを税収、国税全体における消費税の割合という視点で見た時には、例えばスウェーデンのような消費税25%の国で、だいたい消費税の割合が2から3割程度ですよね。日本は5%で、そのうち国税というのは4%であるのにやはり全体に占める割合が2から3割でそう変わらない。
じゃ、その25%と日本の国税は4%分、これだけ税率に開きがあるのにどうして税収の構造上消費税に頼っている割合が大きいのかと考えたら、これはたぶん、欧州は付加価値税だからだと思うんですね。つまり欧州は消費税が高くてということは当たらない。つまり付加価値税ですから、食料品のように0%だったり軽減税率だったり、一方で高価なものには高い税率をかけという、そういう中での一番高いのはスウェーデンであれば25%なので、単純に欧州の付加価値税と日本の消費税を同じものだとして比較をするというのは私は間違っていると思うんですね。ですからこの軽減税率というのにこだわっています。
次の質問に移ります。
これは輸出還付金についてです。この輸出還付金についてしばしば、輸出をしている大手の企業に対する優遇税制である、不公平であるという指摘がされます。そして払ってもいない消費税分を戻してもらっているから、これは不公平だという指摘がされます。
それで私は財務省の方を呼んで、この税の仕組みについて説明をしていただいた時の資料を今日は添付しております。
これは原材料製造から完成品製造業者、卸売、小売、消費者と品物が流れていく中で、税がどのように上乗せされていくかということが書いてあります。はじめの原材料製造から完成品製造業者に行く時に、2万円の価格に対して税が1,000円乗って2万1,000円。その次の段階で、2万1,000円で仕入れたものに利益が3万円乗って税が1,500円乗って税込価格が5万2,500円と。そしてまた次の段階というふうに取り引きがされていくと、価格に含まれた税の部分というのが積み上がって最後、合計で5,000円になるという仕組みです。この5,000円が輸出の際には海外の業者から返してもらうというわけにいかないから、この取り引き段階で積み上がった税を返してもらっているのだと、だから払っていないものを返してもらっているのではないんだというのが財務省の説明でした。
これは確かにこの表を見ると、論理は通っていると思うんですね。じゃ、どうしてこんなに輸出還付金のことが不公平だと言われるかというと、実態が違うということのようです。つまりこの取り引きの多段階課税のところで、実際に今デフレですし価格転嫁できないので、この間の業者さんが消費税分を自腹で払っていて価格には上乗せできない、だから発生していないのに最後に輸出業者だけが還付してもらっているということが指摘されております。
そこで私は価格に転嫁できるようにインボイスを導入する、または前回も質問致しましたけど、内税から外税方式に戻して税が見えるようにするということを前に提案したことがありますけれども、それが通らない理由は何でしょうか。
五十嵐文彦財務副大臣
中間業者の問題は、ご存知の通りBツーBと言われますけれども、これは外税方式でやられておりますので、インボイスが入っていようといまいと、そういう意味ではあまり変わりはないというふうに思っております。おっしゃる通りなんですね。基本的には海外の最終消費者には消費税を取ることはできませんから、ここで課税をするとどういうことになるかというと、輸出課徴金みたいな性格になってしまって不利になるということがある。仕入れ税額に仕入れに入っている消費税分については還付をしないとおかしいということで、すっきりとそれは説明が付く話で。ただし亀井委員が言われたように、事実上単価をその分無理に引き下げさせるという形で、下請業者にこれを事実上持たせるということはあり得るんではないかということが問題だと思うんです。
それはもう下請法の問題なんですね。値決めの問題です。先程言いましたように、BツーBの取り引きは事実上税分がいくら、本体分いくらというふうに分けて請求をしているわけですから、実際に不正を行っているわけではない。ただ実態上そういうことが行われるとすれば、これは下請法の問題で、優越的な地位を利用した不当な取り引きということになりますから、これをさせないように監視をしなければいけないし、あるいは公取の方で厳しい措置をしていただかなければいけないと、そういうことで、その点については別途政府として対策を取るということを決めさせていただいている次第。問題は消費税の仕組みというよりは下請法、優越的な地位の利用をどうやめさせるかという問題だと思います。
亀井亜紀子委員
地方公聴会でこのようなことについても中小企業団体の方に伺いまして、そして内税から外税に戻したら価格転嫁ができるようになるんじゃないかと、そういうような質問もしたんですけれども、やはりそれに対してあまりいい答えが返ってこない。是非お願いしますというようなことではないんですよね。ですので私も何が困るのだろうかと色々考えたりはしております。ただ全体的にやはり途中の段階で発生している税に関して、簡易課税制度の中がブラックボックスになっているんじゃないかなという感覚は持っております。
次の質問に移りたいと思います。
今の輸出還付金との比較で質問致します。
税の中立性という観点から見ると、輸出取引においては還付金制度を導入し、一方で医療においては損税を放置するというのは、これはおかしいんじゃないでしょうか。この税の中立性という観点からどのように思われますか。また医療保険診療を非課税ではなくゼロ税率として還付できる仕組みにすると、これは輸出還付金制度と中立性は保たれると思うんですけど、いかがでしょうか。
五十嵐文彦財務副大臣
これは創立時に実は私、医師会にゼロ税率を要求した方がいいですよってアドバイスしたことがあるんですが、非課税を選ばれたわけですね。その結果がこういうことになっているんですが、その時にやはり損得勘定を色々されたかと思いますが、今の医療の仕組みでいうと、これは診療報酬改定に含まれているという形で、その中で一生懸命設備にお金をかけたところとそうでないところでは不公平が出てくるという問題は確かにあると思いますけれども、各国においても医療保険サービスについては非課税ということの方がむしろ自然で多いということになっておりますので、これはなかなか難しい問題だと。
現時点では、ですから診療報酬の中で面倒を見るということになっているわけで、これもまた消費税の問題というよりは別の問題だと思います。
亀井亜紀子委員
いえ、これは消費税の問題だと思います。仕入れですとか設備投資に係る消費税の話をしているので、これは消費税の問題だと私は思います。
先日、この点について古川議員と小宮山大臣の間でかなり深いやり取りがありました。あの時の議事録を読みまして、議論としては診療に課税できるかというような流れになっていたかと思うんですね。これ解決するには、診療に課税するかあるいは還付するかのどちらかしかないんだろうと思います。そしてゼロ税率にして還付制度を入れるとすると、もちろんその財源の問題が出てくるわけです。
そこで伺いたいんですけれども、輸出還付金の方ですね、輸出業者に対して何らかの絞り込みを行って、これ例えば単純に取引高みたいなことでいくと大企業しか還付されないようなことになるので、例えば金額や内部留保率とか、そういう何か指標をつくって全輸出業者が還付金は受けられない制度にしたとします。そこで多少戻し税が浮くと。そういうようなことで医療の方にも還付金制度というのを入れる可能性はありませんかというか、そういう考え方についてどのようにお考えでしょうか。
小宮山洋子厚生労働大臣
ご承知のように社会保険診療、これは高度の公共性があるということで今非課税になっていますが、ご指摘のように損税が発生するということで、診療報酬での手当てに加えて、今回は現場から非常にご希望の多い高額の投資については、新たに一定の基準に該当するものに対して医療保険制度で区分して手当てをするということを検討しています。
医療に係る消費税の在り方については引き続き検討すると法案ではされていますので、今中医協の下に専門家の方に集まっていただいた検証の場を設けていますので、その中で先日言っていただいた古川議員ともやり取りさせていただきましたが、社会保険診療の課税の在り方そのものについても議論をしていきたいと考えています。
還付金の制度をするかどうかというのは、私よりも財務省の方に聞いていただいた方がいいかと思います。
亀井亜紀子委員
同じ質問を財務大臣にしてもよろしいでしょうか。還付金制度についてどのように思われるか。
安住淳財務大臣
ちょっと失礼な言い方ですけれども、辻褄は合うのかもしれませんが、論理的ではないと思います。
亀井亜紀子委員
ちょっとそのご答弁は私はよくわかりません。この…(発言する者あり)ちょっと私にはやっぱり納得はできない答弁です。
これ実は集中検討会議で、医師会の方が意見陳述する機会はなかったんですけれども、やはり非常に懸念をしていたので、与謝野担当大臣とお話ししたことがあります。与謝野担当大臣は最初消費税が導入された時の経緯というのをよくご存知で、結局医療は聖域だということで非課税になったという経緯があって、それでだからあの時課税にしておけばよかったじゃないかというようなご意見だったんですけれども、じゃその後どうしたらいいの、課税にしたらいいの、還付にしたらいいのというところというのは全く踏み込まず、そのまま宙に浮いているんですよね。
今回、やはり社会保障というのは、特に国民、医療とか年金についての関心が高いわけです。ですからこの制度のところの根本的な議論は置いて、置いたままざっくりと消費税を5%上げますと言われてもなかなか納得できないです。少なくとも私は納得できないし、やはり一般市民でわからない人、多くおりますので、これ真剣に制度について議論をして、それとの見合いでの税率ですとか、何で見るのかということ、保険料も含めてそういう抜本的な改革をしていただきたいと思います。
先を急ぎます。
21年度税制改正法附則百四条についてお伺い致します。
この法律が提出された、それは附則百四条に基づいてのことであります。つまり麻生政権の時に成立したこの附則百四条に、平成23年度末に法案を提出すると書いてあるので提出をしたという経緯がございます。
それで平成21年11月17日の国会答弁、財金の議事録なんですけれども、この附則百四条について共産党の佐々木委員が質問されていて、藤井国務大臣が附則百四条、これをでき得れば修正するのが筋だと、そのようなご答弁をされております。つまりかなり早い段階から、これは財務省もどうするんですかと、附則百四条を改正しないんですかと言い続けてきたんですね。ですのでこれ、改正していれば3月末に法律を出す必要はなかったんです。
これを改正しなかった、政権交代しても改正しなかったのはなぜでしょうか。
安住淳財務大臣
先程の話は、貿易のお金で医療のお金を面倒見たらどうかというのは論理的でないですよと私申し上げたんです。それは3%や5%という高で非課税と社会政策として決めたわけだけれども、じゃ今後もっと税率高くなった時どうするんだという話は確かに課題としてありますから、ただ、今、現時点では厚労大臣がおっしゃったように、診療報酬等でやっぱりどういうふうに、じゃ本当にカバーできるのかということを議論しているという段階だということをご報告申し上げたわけであります。
平成21年の11月17日、衆議院財務金融委員会において、当時の藤井財務大臣は、附則百四条に関する答弁について、今委員がおっしゃったように、もし必要があればそれは修正をするというのも筋だと思っているという旨の発言をしたことは確かに事実でございます。
しかしその後、政府・与党において社会保障と税の一体改革について検討を進め、その議論の結果、昨年6月の一体改革成案において、平成21年度税制改正法附則百四条に示された道筋に従って、平成23年度中に必要な法制上の措置を講ずることと決定をされました。
つまりこれは急速な少子高齢化や社会経済状況の大きな変化の中で、世界に誇る我が国の社会保障制度を持続的なものにしていくには、将来世代に確実にこの制度を引き継いでいく為には、やはり今のような給付は高齢者、負担は現役世代という仕組みを改めて、改めてというのは直すという意味ですね、給付、負担両面で世代間、世代内の公平が確保された制度にする必要があると。
こういうことから言えば、将来世代のポケットに手を突っ込んで、つまり赤字公債を使って社会保障制度を維持している状況よりは、やはり我々自身がもう少し負担を現役世代でやっていこうというふうなことで、更に欧州における政府債務危機等が発生し、こうしたことが重なって消費税の引き上げ等についての必要性というものを菅政権の中で認めて、そこからスタートをさせていただきました。
あのお話のほとんど途中までたしか、私の記憶では亀井さんも議論に加わっておられたから経緯はわかっていると思います。もちろんその中でずいぶん反対論をお述べになられておりましたけれども、しかしその反対論に対しても我々は十分時間を取ってお話は聞かせていただいた、そして積み上げてきたのが今日あるということでございます。
亀井亜紀子委員
かなり意見は述べました。反対意見があった中で、それはあまり取り入れられなかったというのが私の印象です。
そこでまた伺いたいんですけれども、この附則百四条にある景気回復を前提としてという表現なんですけれども、果たして、ですから消費税を上げるということを決断するような景気回復になっているのかということが、あの時にかなり議論になりました。
そこで私は、これは財務省の主計局とまた議論した時に出てきたことなんですけれども、主計局は平成21年度の税制改正法を作った時に想定していた景気回復はされているという、そういう認識でした。それは彼らが言っていたのはリーマン・ショックの後ですか、3年間集中的な景気対策をやって、それで消費税を上げると決めたと、そのリーマン・ショックの時と比べると今は消費税増税法案を出す環境は整っていると、そういう認識だったんですね。
このことについて私は地方公聴会で聞きましたけれども、例えば参加していた木材店の社長さんは、そういう感覚は全くないと、リーマン・ショックというのは都会の話であって、バブル崩壊してから田舎はずっと大変だと、リーマン・ショックがあって、ああ都会の人も貧乏になったかという感じ方はしたけれども、もうこの10年、20年ずっと大変なんですというのが彼の実感でありました。また専修大学の経済学部教授、野口公述人もやはりその認識、リーマン前と後で切るというのがおかしいんじゃないかというようなことをお述べになっておられましたけれども、このリーマン前と後に分ける、そして前提となった景気回復はされているというような見解についてどのようにお考えでしょうか。
また重ねて質問しますけれども、景気弾力条項についてなんですが、これも数値目標を名目で入れることについて、かなり去年の12月の時点で大綱を決めるに当たって激しい議論がありました。そして財務省が入れたがらなかった理由としては、これが条件となって増税ができなくなったら嫌だということがありまして、かなり揉めたわけです。
最終的に数値としては入ってきましたけれども、でもこれ読む限り、やはり名目で3%、実質で2%を目指すということであって、引き上げを決めるかどうかというのはこの数字が直結して判断基準になるわけではなくて、経済状況を総合的に勘案すると書いてあるわけですから、直接的な判断基準にはならないと私には読めるんですけれども、そういうことでしょうか。
安住淳財務大臣
まず附則百四条においては、平成20年度を含む3年以内の景気回復に向けた集中的な取り組みにより経済状況を好転させることを前提として、遅滞なく消費税を含む税制抜本改革を実施することというふうな文言があります。この為、必要な法制上の措置について平成23年度までに講ずるものとするとされておりました。
自公政権下にあった平成20年以降、累次にわたる経済対策と景気回復に向けた集中的な取り組みが行われてきたところであり、法案提出時点においては、総合的な判断として経済状況はそれ以前に比べれば好転しているという見通しは立てられたところだと思います。
また消費税率を引き上げるに当たっては、十八条の附則の一、二、三項、新たに設けられましたけれども、名目、実質それぞれの成長率、物価動向など種々の経済指標を確認するとともに、経済指標に表れないものも含め、諸要素を総合的に勘案し、経済状況の好転を判断するということをきちっと盛り込んでおります。
一体改革と経済の再生というのは、これはどちらが先ということではなく、両方やり遂げなければならない課題でございますので、ここは私どもとしては、この附則百四条に書いてあるものに従って来年の経済状況を好転させて、再来年の引き上げを目指したいと思っております。
次に条項のことでございます。景気弾力条項でございますが、消費税の引き上げの実施は、最終的にその時の内閣が内閣の命運を懸けて判断するものであります。3党合意を踏まえた修正法案附則第十八条三項に従って、これは経済の好転について、名目、実質及び経済成長率、物価動向等、種々の経済指標を確認をして、第一項に規定されている経済活性化等に向けた各般の措置を踏まえると同時に、新たに追加された第二項に規定される資金の重点配分等の措置など、財政の機動的対応が可能となる中で実施され得ることも踏まえつつ、諸要素を総合的に判断することになります。
そういうことからいって、確かに委員がご指摘の通り、一項の名目三、実質二程度の成長は目指すと、つまりこれは政策の努力目標として政府としてやり抜いていきたいという意思を表しております。ですからデフレ脱却や経済活性化に向けて必要な施策を講じていく責務を課しているものでありますが、消費税率引き上げの前提条件としての数値目標を規定しているものではございません。
亀井亜紀子委員
そうですよね。ですから一応努力目標として入れたことは入れたんだけれども、この数値が達成されなくても消費税を上げるという判断は別にすると、そういう見解でありましたので、今やはり確認は取れました。
次の質問に移ります。
私、日本は財政危機なのかということについて、これは国民の生活が第一の方がずいぶん色々質問されていて、基本的に私も同じような理解でいます。
そして私の経験では、これは前々回の予算編成ですから、一昨年の12月ですけれども、政権交代して最初の予算編成で私達は、当時国民新党ですけれども、積極財政でまず景気回復をさせるべきであるという自民党さんの国土強靱計画なんて今出てきましたけど、当時、私達はかなり財政出動をしたいと思っていて、もともと選挙では3年間で100兆円と言っておりましたので、景気対策をやろうと思ったんですね。
ところが財務省とかなりぶつかりまして、無利子非課税国債を財源としてできないかという議論の中で、財務省の理財局が日本は財政危機ではないと言い出したんです。それは国債は安定的に償還されていると、なのでそんな無利子の国債などを出したら海外から日本の財政は大丈夫かと、日本は財政危機だと思われるからそんなものは出せないと言われまして、それで日本は財政危機なのかと、財政危機じゃなかったなら増税だ増税だと言うなということで散々揉めまして、でも財政危機ではないと言い切って帰ったんですね。
そういうことがありまして、当時の数字、政府の一般政府貸借対照表で資産と負債の方を見ますと、これ資産超過なんです。ですからやはり債務超過ではなくて資産超過ということは、日本はまだ財政危機ではないというふうに私は理解をしております。ですので必要以上に財政危機を煽って、だから消費税だという議論はそもそもおかしいと思います。
ここで財務省に伺いたいんですが、時間なくなってきましたけど、二つあります。
まず財務省が過去にやってきたこととして、為替介入の時に、1999年の9月までは為替介入の為の資金を日銀から調達していたんですけど、それを市中銀行から調達するようになった。つまり政府の短期証券を市中銀行に買わせるようになったということは、国民の預貯金が外貨に変わって積み上がるということなんです。これが、外貨が、準備金が積み上がると動かなくなります。つまり本来市場に回るべきお金が為替介入によって外貨に変わっちゃったということですけど、普通、為替介入というのは中央銀行がやるものだと思いますので、なぜそのようなオペレーションをされたのかということが1点。
それから次の質問は酒類総合研究所です。
これは私、事業仕分けで扱いまして、独法の仕分けの時ですけれども、私は酒類総研そのものは廃止とは考えませんでした。ですので独法のままでいいのではないかというふうに考えたわけですけれども、数ヶ月前に行財政改革の独法仕分けの結果が出てきた時に、多くの統廃合はあったんですけれども、この酒類総研のみ国に戻すとなっていたんですね。
ですから他の省庁の独法というのは統廃合される中で、財務省の所管の酒類総研だけ国に戻すというのはどういうことなんでしょうか。私は独法で残してもいいとは言いましたけど、国に戻していいとは言った覚えがないので、なぜ財務省だけはこんなにやりたい放題なのかなという意味で伺います。
安住淳財務大臣
まず第1問の、日本は財政危機かどうかということに関しては、明らかに見解の相違でございますので、これ以上申し上げません。
第2点については、為替介入の為の資金というのは、ご指摘のように平成11年の4月より、国庫に予期せざる資金需要が生じた場合等の例外的な場合には日本銀行が引き受けることとしつつ、原則として公募入札方式としておりますので、市中から調達することになったというだけの話でございます。これは円の国際化も踏まえつつ、短期金融市場の厚みを増すということも図ったことであり、私は妥当だと思っております。
酒類総研というのは、今従業員43人でございます。運営費交付金が24年現在で、実は13年時点では13億6,000万でしたが、今はもう10億5,000万まで減らしております。これは酒の適正な課税に必要となる調査をしておるところです。東広島市にありまして、実は西日本地区では杜氏の方が少なくなりまして、そういうことの研修にも必要だということで、今まで独法でやってきたんですが、整理合理化をするということになった時には、実は財務省に戻した方が遥かにコストが縮減できることがはっきりしましたので、そのことを提案をして了解をいただきました。
亀井さんの意見とは違いますが、亀井さん以外の方には賛成していただいております。
亀井亜紀子委員
私はかなりいろんな点で、景気の見方に関しても意見違いましたから、仕方がないかと思います。
時間がなくなりましたので、もう質問ではなくて、ちょっと意見を言わせていただきます。
今日お配りした資料、安心社会実現会議、これ麻生政権下のものです。それから3枚目は社会保障改革に関する集中検討会議ですけれども、幹事委員のメンバー、比較の為に添付致しました。申し上げたいことは、かなり人がダブっていたり、あるいは同じ会社から人が出ていたり、結局議論が偏る原因になったかと思います。
高橋千秋社会保障と税の一体改革に関する特別委員長
おまとめください。
亀井亜紀子委員
そして国民会議のことが色々言われておりますけれども、やはり委員の選び方というのは非常に重要だと思います。
また消費税については、目的化ではなくて目的税化、特別会計あるいは区分会計をするべきだと私は考えております。
時間ですので以上で終わります。ありがとうございました。