活動報告(ブログ)

2012年8月6日(月)社会保障と税の一体改革に関する特別委員会公聴会質問議事録

中央公聴会

☆議事録☆
亀井亜紀子委員
みどりの風の亀井亜紀子でございます。

本日は公述人の皆様、お忙しい中、貴重なご意見をいただきましてありがとうございます。限られた時間でございますので、全員の皆様に質問する時間はないかと思いますので、一部の方にご質問をさせていただきます。ご了承ください。

まずはじめに、私は飯田公述人にお伺いをしたいと思います。

飯田公述人は、今回の消費税増税というのは財政再建の根本的な解決策にはならないので反対であるとおっしゃいました。私も全く同感です。私はやはり本当の意味での社会保障と税の一体改革が必要だと思っておりまして、今回のこの消費税の増税法案というのは、制度改正とその抜本改革とは全く整合性がありませんので、その意味でも反対です。

そこでお伺いしたいんですけれども、まず年金制度です。

私はこの法案のたたき台となった政府の社会保障改革に関する集中検討会議にずっと出ておりましたから、その過程でどのような論争があったかということはよく存じております。その中で年金についてですが、賦課方式から積立方式に変えるということについて、前向きな発言は出席者の中からはありませんでした。有識者がどのような基準で選ばれているのかはわかりませんけれど
も、出席した方から前向きな回答はありませんでした。

年金については各団体、経団連ですとか経済同友会、日本商工会議所、連合、それから各新聞社からの案というのを発表していただきまして、それから有識者の発表がありました。そこで印象的だったのは、慶應義塾大学の駒村康平教授ですが、彼は高齢化社会では積立方式にすれば対応できるというのは神話であって、直ちに持続可能な年金になるわけではない、経済成長がなければ積立方式でも実質的な価値のある年金は給付できないし、成長があれば賦課方式の年金でも持続可能である、賦課方式から積立方式への移行は困難という見解を述べられました。

こういった意見がベースとなって積立方式に変えるという議論には、そちらの方向にはならなかったんですけれども、飯田公述人は積立方式を推奨されていると私は認識しておりますので、どういうやり方であれば可能なのか、もしあれば教えていただきたく思います。

飯田泰之公述人
財政再建の為の消費増税であれば、やはりその消費増税、何%にすれば何ができるのかというのを示すべきであると。その為に社会保障に関する不足額というのを明確にするべきだと。その際に一つの方法が積立方式への転換でありますし、積立方式でありましても、改革前の年金と改革後の年金というのを取り扱いを分けることによって、ほぼ似たような効果は達成できるかと思います。

これに関しましては、しばしば企業再建、またはJRの民営化の際にも同じような手法を取りましたけれども、旧制度部分というのを会計方式として切り離すこと、これが再生の第一歩になると。その際に最もすっきりしているのは、このような問題がどのような経済成長においても起きないであろう積立方式への転換でありますし、またこれは同時に主張しているところでありますが、十分な経済成長があれば現行方式の改善でもこれは可能になる、これはどちらの選択肢も排除せずに議論をしていくべきではないかと考えております。

亀井亜紀子委員
ありがとうございます。じゃ、基本的には、改正前と改正後でその会計を切り離すということがまず大事であるということですね。ありがとうございます。

では次の質問に進みます。

醍醐参考人にまずお伺いをしたいと思います。

先程の附則十八条二項のことをおっしゃいましたけれども、この委員会でもずいぶん議題に上がっております。私は財務省と今まで議論をした結果、財務省はこれを、消費税というのは基本的に一般財源にしておきたいというのが基本でして、目的化か目的税化かということで散々やり合ったんですけれども、今でも消費税は目的税であると、社会保障目的に使うと書いてあるのだから目的税であって、それを特別会計とか区分会計すべきじゃないというふうに財務省は言います。

このことについて、では社会保障に使うというのであれば、区分会計ですとか、とにかく分けなさいということを言いますと、財務省だけではなくて、業界団体も反対をするところがあります。それは、彼らの言い分は、社会保障の財源として消費税と決めてしまうと、景気によって左右されますから、消費税収が少なかった時に他から補充をしてもらえないんじゃないかと。なのでそういうふうに括ってしまわない方がいいだろうという意見が聞かれるんですけれども、この消費税の会計処理について、目的化か目的税化か、どのようにお考えでしょうか。

醍醐聰公述人
結論から言いますと、社会保障改革法の中に、社会保障の主たる財源は消費税にするとありますね。これは一言こう書いてあることは、今後に非常にこれは重大な問題を投げかけていると私は考えております。

つまり言わば私学が学費を上げるのも物価スライドですね。つまり財源が足りなくなったら、それを補うのは消費税、主たるとは言っていますけれども、消費税ですと。社会保障経費が伸びたら、その財源は消費税ですと。それ以外の財源を充てることは原則考えないということを、ここで宣言する法案だと私は思っております。これは将来、非常に重大な問題を投げかけると。本当にそういうことを認識の上で、やはり法案のこの是非を議論していただく必要があるんじゃないか。私も議員がどうお考えかわかりませんけれども、縛るべきではないというふうにもともと考えております。

ただ先程、社会保障に全部充てられるのかどうかということは、整合性の問題としてそれを申し上げているというつもりでございます。整合性というのは政府見解との整合性、法案の題目との整合性ということでございます。

亀井亜紀子委員
私の考えですけれども、ここでの政府見解で社会保障にすべて使いますと言ったところで、一般財源に入っている限り、他のことに使われてしまうかもしれないので、私はそれは口約束であって意味がないことだと思うんですね、いくら前向きな答弁を引き出しても。そういう意味で、中が見えるようにするという意味では区分会計にするべきだと思っているんです。ただその時に他からの補充がないということにはすべきじゃないので、そこをはっきりさせたいわけなんですね。

それはどういう方法がいいかと、どういう書きぶりがいいかという問題なんですけれども、同じ質問、つまり社会保障の財源としてそもそも消費税を充てることが正しいのかということについて、では植草公述人にお伺い致します。

植草一秀公述人
お答え致します。

先程年金制度の収支試算について、2004年の厚労省試算と2012年内閣府が発表した試算、これご都合主義ということを申し上げたかったわけですけれども、その時の目的に応じていいとこ取りをしてしまうという意味で、この消費税による目的税化の議論にも似たような部分がありまして、財源が余っている時にはこれを他にも使えるようにするということをやりながら、一方で今も醍醐先生からお話ありました、社会保障制度改革推進法案の第二条の第四号でありますけれども、社会保障給付に要する費用に係る負担の主要な財源は消費税を充てると、こういう規定が盛り込まれておりますので、これを拡大解釈しますと、消費税が増えない限りもう社会保障支出は増やさないというような解釈も成り立ち得ると思いますので、私もともとお金に色はありませんので、使途を限定するという立場は取らない方がいいと。ただ財政事情が非常に厳しいという中で無理して増税するということであれば、それが社会保障の充実の為という名目であれば、そこで上がった税収を他の支出に充てるということは筋が通らない、そこは国会審議において筋を通していくべきと。

ただ逆に言いますと、先程ご指摘のありました、将来足りなくなった時に他の財源を回せるかということについては、それができるということを明確にしておくことが不可欠だというふうに思います。

亀井亜紀子委員
ありがとうございます。

やはり今回、社会保障の主たる財源として消費税を充てると書いてあるということは、確かに危険だと思います。また一条のところで財政再建と社会保障を同列に書いていますので、使う方に関しては、財政再建と言えば何でも当たりますから使えてしまうということも非常に問題だと考えています。

次に軽減税率について、私は長谷川公述人にお伺いしたいと思います。

軽減税率を推奨していらっしゃいますが、先程欧州の例も挙げていただきました。欧州の付加価値税と今の日本の消費税というのは、私は別物だと考えています。つまり単一税率であらゆる財とサービスに掛けるというのは、やはり付加価値税、贅沢税的なものですから、それとは私は違うと思っていまして、後全体の基幹税に占める消費税の割合ということも非常に気にしております。

もし先程のご意見ですと、付加価値税を導入して、軽減税率のものもあるけれども、それでも十分税収は上がっているとおっしゃいました。ということは、逆に日本の今の制度で、単一税率で結構、何というんでしょう、2、3割はその税収の中を占めているわけでして、それを軽減税率なしに、5から10%というと倍ですから、そうなった時には欧州並みというか、それ以上に国民が重税感を持つのではないかと気になるんですけれども、その辺はいかがでしょうか。

長谷川聰哲公述人
先程も議論にありましたけれども、福祉を手当てする為の財源という場合に、我が国の租税負担率の今の状況というのは、それが持つ水準であるかどうかという問題があります。仮に長期的にそういった部分を考えるとした場合に、多くの国民、消費者、家計の生活をどのようにそれまでの、あるいは現在のような形の基礎的な支出を維持させることができるかということを考えますと、将来の消費税に更に偏るようなことがあるかもしれない、そういった長期の視野の中では、軽減税率という形で基礎的な消費支出を保障するという仕組みが重要だというのが私の考えであります。

亀井亜紀子委員
ありがとうございます。

最後の質問を、もう一度醍醐公述人にお伺いしたいんですが、価格転嫁の問題です。

私は例えば軽減税率でインボイスの導入ですとか、あるいは税が見やすいように内税から外税に戻すですとか、そういう提案をしたんですけれども、これが財務省のみならず中小企業団体からも反対意見が来るんですね。それは事務負担の増大であるとかいろんな理由があるんですけれども、とにかく反対であると。ですから中小企業に負担がかかるからと思って提案をすると、当の中小企業団体から反対が来るというような現実なんですけれども、なぜ中小企業が軽減税率、複数税率に反対するのか、なぜ外税方式に反対するのかということについて、もしご存知でしたらご意見を伺いたいと思います。

醍醐聰公述人
確たることはわかりませんが、恐らく中小企業者さんといっても、業種によってその軽減税率の線引きが、恐らくこれは意見がまとまらないんじゃないのかなと。従って業界全体で、そういう中でなかなかまとまりにくいことについては前向きにはなれないというお気持ちと、それからそれ以前に、損税の問題で恐らく頭がいっぱいで、各論になかなか入る気持ちになれないのかなというふうに感じます。

それからもう1点、対顧客関係でなくて、私は下請関係で、先程中村公述人から企業間はうまくいっているとおっしゃいましたけれども、私の認識は全く逆でございまして、経産省の指導の仕方は、両者をウイン・ウイン関係でやりなさい、消費税の転嫁だけが問題じゃないんです、その分だけいかにコスト削減できるかを考えなさいと、そういう業界指導的な形なんですね。これをやっぱり改めない限りは、下請関係のところは泣き寝入りで終わっているだろうと私は考えております。

亀井亜紀子委員
ありがとうございました。

時間ですので、以上で終わります。

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