宇都宮地方公聴会
☆議事録☆
亀井亜紀子委員
みどりの風の亀井亜紀子でございます。
先週できたばかりの会派でして、もともとは国民新党というところで、与党におりました。まさにこの消費税の増税法案がきっかけとなりまして4月の頭に離党して、今、野党をやっております。
私の考えは、未来永劫、消費税を増税してはいけないということではないんですけれども、このデフレ不況の真っ最中に上げることはいかがなものかと。また財政再建と、後消費増税と両輪でやっていくんだと言いますけれども、景気対策と両輪でやるというふうに政府は言いますけど、アクセルとブレーキを同時に踏むようなもので、たいして思ったような効果が上がらないのではないかと、そういう意見を持っております。
今日は色々と皆様、公述人の方に貴重な意見いただきまして、本当にありがとうございます。短い時間ですけれども、何人かの方に質問させていただきます。
まずはじめに北村公述人にお伺いしたいと思います。
価格転嫁の問題、先程から他の委員の方も質問されていますし、深刻な問題だと思います。このことについて、政府の税制調査会で、内税から外税に戻してはどうかというような提案がされたことがあるんです。私もこれは一つの方法かと思ったんですけれども、これは私も理由はよくわかりませんけれども、採用はされなかったんですね。こういった対策というのは多少効果があるものかどうかということ。
それからもう1点は、軽減税率、いわゆる複数税率の採用について、中小企業団体の方が強く反対されているのは私も存じております。それは事務負担が増えるからだと。その事務負担の為に余計に人を雇わなくてはいけなくなったり、そういうことが発生するからやめてくれという要望があるというのは存じております。
ただ、今、IT社会ですよね。ですから例えば海外、日本でもそうですけれども、スーパーで物を買って、それでいちいち打っているわけではなくて、パッとバーコードを通すだけですよね。ですからそういうシステムを設計した時に、それほど事務負担が想像するほどではないのではないかという、私も具体的にどこが一番大変なのかというところが見えないんですけれども。
政府に2段階で8%、10%と、つまり税率を変えるその手間と、その事務負担と、5%据置きのものと10%と、1回に二つの税率をつくる、その事務負担と一体どう違うんだということを聞いても答えられないわけなんですよ。それで伺いたいんですけど、いかがでしょうか。
北村光弘公述人
外税と内税の問題は、私ども、間接税ということでビールとか何かみんな内税でやってきましたから。その時も東京の一部は外税だというあれがあったんですね。ですから大きなところは外税でもたぶんやっていけるんですよね。地方はだいたいみんな内税ということを言っていました。
それと複数税率につきましては、セット物なんかは全部たぶん別になってくると思うんですよね、箱とか食料品とか酒とか。そうすると非常に、どういう形でやっていっていいか、かなり混乱はすると思います、混乱はですね。だから当然、問屋段階では対応していくんでしょうけれども、かなりできないところがあると思いますね、かなりの頻度で。
亀井亜紀子委員
何かこう見えないものに対する不安、わからないものに対する不安というような気もするんですね。ですから仮にどうやったらできるのか、絶対難しいものなのかというのは、もうちょっと私は議論する必要があるんじゃないかと思います。
では次の質問に移ります。
金融円滑化法の延長をおっしゃったのは内野公述人かと思います。これはもともとは国民新党が出した返済猶予法案が原型です。これが出てきた背景としては、当時金融担当大臣だった亀井静香さんが、地元であまりにも中小企業が潰れていくので何とか救いたいと思って最初出した法案なんですね。返済猶予法案と言った時に、借金棒引きかということで金融業界からかなりガンガン非難を浴びまして、そして色々企業、団体の方、金融業界の方、ヒアリングをしてあの法案ができたんです。そして時限立法ですから1年ごとの延長で、1年後の延長の時がちょうど震災が起きましたから、これはもう無条件で1年前に反対した政党もみんな賛成で、全会一致で延長されました。
次の延長が今年の3月でした。その時に私達はやっぱり延長しようと思って動いたんですけれども、かなり批判がありまして、金融庁もそんなに積極的ではなかったんです。それは助ける必要がないところまで助けているみたいな批判があって、これをいつまで続ければいいのだみたいなことでして、3月に延長する為には12月ぐらいにある程度見通し付けなきゃいけないので、色々ヒアリングをしながら何とか延長しようと思って頑張っていたんですけれども、まあ何とか延長できましたが、このような、これはたいして効果がないんだ、早く整理してあげた方がいいのだというような声に対してどのように思われますか。
内野直忠公述人
私の実際での感覚から見たら、延長する必要がないところがあるなんというのはちょっと私には想像つきません。みんなこのおかげで、一見外から見ると好調なような中小企業でも、やっぱり返済をするなんということはもうほとんど無理なので、景気がよくなれば返済もできますけど、今の状況で返済はできません。ですからちょっとそれは理解できないです。
亀井亜紀子委員
ありがとうございます。実際にはそういう声があって、結構延長するのに苦労致しました。
この法案、ですから何というんでしょうね、暫定的な対策で、これにセットで景気対策をしないと結局経済はよくならないと思うんですね。ですので私などは5年間で100兆円使えと、国土強靱化計画とちょっと似ていますけれども、景気対策を大々的にやってから消費税を上げるべきだと主張してきたんですけれども、財務省の、政府の姿勢が緊縮財政ですので、なかなか思ったほど景気対策に回せないという状況がここ何年も続いています。
それで今度は景気の話に移りたいのですけれども、野口参考人にお伺いしたいと思います。
景気の下振れリスク、増税した時には必ず起きるんだということをおっしゃいました。そして97年の例を出して、その時にも一時的に景気がよくなって、そして後で景気が落ち込んだということをおっしゃいました。
これは今回の増税をするべきかどうかという、その政府の議論の中でやはり出されまして、今増税をしても景気の足を引っ張るだけだということを言ったのですけれども、政府側の見解としては、この時の景気が下振れしたというのは消費税増税のせいではないと、あの時にアジアの通貨危機があって、タイのバーツが下落したりした、そういう影響があったから景気が悪くなったのであるというのがまず財務省の見解だったんです。
そして今回の法案が提出された背景として、平成21年度の税制改正法案で、3年間の景気対策で景気回復することを前提としてこの消費税の増税法案を出すということで、じゃ、景気回復したんですかというと、これがまた大変議論になりました。
それで財務省側の見解というのは、当初考えていたその景気回復というのは達成したと。それは21年度の税制改正法を作った時の想定というのは、リーマン・ショックがあったのでリーマン・ショックの前のところまで、そこまでの景気回復ができたら増税をしていいのだと、今はそういう状態であるから増税法案、出す環境は整っているというのが財務省の意見だったんですね。
私は感覚的に違うんですけれども、その見解について野口公述人はどのようにお考えでしょうか。
野口旭公述人
まず橋本内閣の時の原因というのは、普通に常識的に考えて、あの時消費税を上げたというのは、まあ常識だと思うんですけど、実は財務省及び財務省系の学者の人達はそうじゃないというのは、むしろそういうのをプロパガンダしてきましたね。一つは銀行の問題と、当時、不良債権は確かに多かったと、それとあのアジア通貨危機の話を必ず出してきます、まあそれはもう定番なので。
そこでもう言ったって埒が明かないんですけれども、一つ言えることは、じゃ、増税して景気回復なんてあり得るんですかということなんですね。今、例えばヨーロッパを見ればわかるわけで、結局ギリシャにしても、税金もう25%ですよね。もちろん支出も減らしていると。もうそういうのをやらざるを得ない状況になって、じゃ、財政が健全化しているかといったら、逆にむしろ悪化し続けている状況ですから、そういうことを見れば、別に日本だけの話じゃなくて世界的に、不況の時に増税すれば更にひどくなるということはもうわかり切ったことだというふうに思います。
それでもう一つ、今、じゃ、どの程度回復したかというので、リーマン・ショック前というのを私初めて聞きましてビックリして、そんなことを誰か言っているんですかね。さすがにそういうことを言っている人はいないんじゃ…。じゃ、どういう基準で考えているのか。失業率見たってインフレ率見たって、先程お話しした名目GDPの、みんなの党の中西さんですか、お話しした名目GDPの数字のそれも見たって、全然回復なんというのは言えないわけで、本当にそういう人がいるんだったら、何を基準にしているのかと、こう問い詰めたいですよね。
亀井亜紀子委員
今のは財務省の主計局と言い合った時に、そういう言葉が出てきましたので伺いました。
同じ質問を大塚公述人に伺いたいんです。感覚的にリーマン・ショックの前までもまだ戻っていないという感覚だろうと思いますけれども、では景気というのはいつ頃から本当に悪くなったのか、そのリーマン・ショックというのが本当にひどい影響を与えてそこから立ち直っていないのか、それとも構造改革の頃の、例えば大店舗法改正ですとか、その辺りから規制緩和で弱ってしまったのか、どのように総括されますか。
大塚泰史公述人
先程からリーマン・ショックを一つのターニングポイントに皆さんおっしゃっているんですけれども、地方ではリーマン・ショックの影響どころではないんですね。あれはまあ我々からすると東京のお金持ちの問題で、我々はそれ以前から延々と痛めつけられているんですね。ですからそのリーマン・ショック前、後という我々に意識はあまりない。逆に言えば我々、じゃ、何かといったら、バブル以降延々と暗黒の時代が続いているというのが実感です。
ですからリーマンは逆に、ああ東京の金持ちもやっと貧乏になるのかというぐらいの気持ちで、リーマンがターニングポイントだという意識は我々にはちょっとないですね。もう延々と暗黒が続いています。
亀井亜紀子委員
正直な感想、ありがとうございます。私も選挙区島根なので、似たような感覚だと思います。
ただこの法律を作っている政府側、財務省の感覚というのはやっぱりリーマンのところで切っていますということを申し上げて、ではもう後1分ほどですので、ここで終わりにしたいと思います。
ありがとうございました。