18時より雲南市三日市ラボ向かいの交流センターにドイツ人講師を招き、ドイツの政治教育に関する勉強会が開催されました。当初は三日市ラボで行う予定でしたが、嬉しいことに参加者が予定より多く、交流センターに場所が変わりました。
この企画が持ち上がった背景には、昨夏から付託された18歳選挙権が関係しています。聞くところによると国からは18歳の投票率向上を求められるが、学校でどう政治を教えたらよいのか、教育現場は困っているそうです。まず市民グループが政治塾を開催して補ってはどうかと雲南市の教育委員会と市民グループが動き出し、私は縁あって講師の手配をお手伝いすることになりました。大事なことは、いかにして政治色なしに中立的に政治を教えられるかということ。私は以前、ドイツ政府の招聘事業で現地視察をした時、政治教育(シンクタンクの中立性)について感心したので、ドイツから学びたいと思いました。(海外の活動報告参照)市民グループも同じ認識で、ちょうどドイツ人講師を探していたのです。
結局当日は京都の同志社大学から博士課程の研究者と交換留学で来ている大学生、そして島根大学の留学生の計3人を迎え、京都からの2人に日本語で講演していただきました。以下、この日の講演のポイントだった「ボイステルバッハ・コンセンサス」を紹介しておきます。
<ボイステルバッハ・コンセンサス>
1976年に示されたドイツの政治教育の三原則。
①教員が生徒を圧倒し、生徒の判断を侵してはならない。
②学問的・政治的論争のある事柄は、授業でも論争があるものとして扱わなければならない。
③生徒が自分の関心や理解に基づき、効果的に政治に参加できるように、必要な能力の獲得を促す。
例えば①については、教師は自分の意見を言ってもよいが、他の意見も紹介する。②については、学問に議論は大切であり、対立はあるものとして扱う。③については、政治参加は権利ではなく義務だと教える。
ボイステルバッハ・コンセンサスには学生運動が関係しているそうです。1960年代から学生運動が激しくなり、倒閣の運動が起きた。そして1972年に18歳選挙権が付託され、1976年にボイステルバッハ・コンセンサスが生まれたそうで、ドイツもここに行き着くまでに苦労したのですね。目的は「一人一人が意見を持つこと。」、やはりドイツからは学ぶべきことは多かった…。参加者も全員がコメントする形をとり、まさに政治塾というべき充実した内容でした。今回をスタートして、雲南市でよいプログラムができ上がることを楽しみにしています。