活動報告(ブログ)

彫刻家、澄川喜一さんを悼んで

 吉賀町(旧六日市町)出身の彫刻家、元東京芸術大学学長の澄川喜一さんが4月9日(日)に死去していたことが報道されました。享年91歳。同じく旧六日市出身のファッションデザイナー、森英恵さんも昨年亡くなり、同じ町から生まれた2人の文化勲章受章者が共に90代で天寿を全うされました。

 写真は今年4月3日(月)まで益田市のグラントワ(島根県立石見美術館)で開催された澄川喜一展で撮ったものです。体調不良でオープニングを欠席されたこと、グラントワにたくさんの作品を寄贈された記念展だと聞いていたので、個展の終了を見届けて亡くなったのだと思います。

 生前、何度か個展に足を運び、作品の説明をご本人から受けました。日本刀からインスピレーションを得た「そりのあるかたち」シリーズ。日本刀は刃の側と棟の側があり、同じ曲線でも反り具合が異なります。この左右非対称であること、2つの曲線の間が部分的に膨らんで見えることが澄川作品の真髄です。

 澄川さんが監修した東京スカイツリー。「足元が正三角形で途中から円柱ならどうなりますか?」と訊かれました。スカイツリーは三角形のある1点からのみ左右対称に見え、残りの2点からは日本刀のように反って見えます。もしあなたが「あれ?スカイツリー、なんだか曲がって見えない?」と思ったら、それこそ「そりのあるかたち」澄川マジックです。

 澄川喜一さんのご冥福をお祈り致します。

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