【11/13衆議院農林水産委員会】
亀井亜紀子の質疑を、以下ビデオライブラリーにてご覧いただけます。
<質問要旨>中海干拓事業、豚コレラ、主要農作物種子法
http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=49541&media_type=
令和元年11月13日 衆議院農林水産委員会議事録(文責:亀井事務所)
○吉野委員長 次に、亀井亜紀子君。
○亀井委員 おはようございます。亀井亜紀子でございます。
質疑時間をいただきまして、ありがとうございます。
質問に先立ちまして、会派として一言申し上げたいことがございます。
毎回充実した審議をするために、時間の配分をいたしておりますけれども、時間は使い切っていただきたいということを会派として申し上げますので、理事会でも取り上げていただきたく、お願い申し上げます。よろしいですか。
○吉野委員長 はい、理事会で検討いたします。
○亀井委員 はい、ありがとうございます。
それでは、質問に入らせていただきます。
きょうは一般質疑ということで、私も余り地元の問題というのは今まで取り上げてこなかったんですけれども、きょう初めのトピックは、地元が抱える問題でございます。中止された中海の干拓事業です。
この委員会に所属して2年たちますけれども、この間、委員の方々が諫早の干拓事業、それから八郎潟や霞ケ浦について質問されていました。そういう質問を拝聴して感じていたことは、やはり自然を大きくいじると弊害があるものだな、どの質問も水質汚染についてでしたから、そう感じておりました。
そして、私の地元、公共事業はなかなか、始まるととまらないと言われますが、その中で珍しく中止された中海干拓事業が今どうなっているか、どういう問題を抱えているかということについて質問をさせていただきます。
皆様に地図をお配りいたしました。ちょっと説明をさせてください。
右側が中海、左側が宍道湖です。それで、この宍道湖と中海は、この間、大橋川という川でつながっております。水の流れは、左側の宍道湖から始まりまして、宍道湖からこの大橋川を流れて中海に水が流れ込む。そして、中海の水は、この右上のところ、境水道とありますが、ここを通って日本海に流れる、そういう水系でございます。
その中で、この中海、真ん中に大根島とございます。これは朝鮮ニンジンの栽培が盛んなところで大根島と言われておりますが、この大根島の左上のところ、堤防が2つございます。森山堤と、あと左下は大海崎堤。この内側を本庄工区といいまして、諫早のように、まさに埋め立てようとしていました。
この堤防、一度完全に完成いたしまして、水が閉じ込められておりました。ただ、地元の反対運動が本当に強くて、皆頑張りましたので、何とかとまりまして、はっきり申し上げれば、そのまま農水省はいなくなってしまいました。大変無責任だと思います。
当然、水が一部仕切られているわけですから、中海の水質は悪くなりましたし、昔はアカガイがとれていたものがとれなくなった。また、海底にヘドロがたまっているということで、大変大きな問題になっております。
けれども、その後、国交省がこの堤防を一部開削いたしました。なぜかといいますと、この宍道湖と中海をつなぐ大橋川、ここに河川事業が計画されていまして、大橋川を拡幅したい、そういう動きがあります。中海は島根県と鳥取県にまたがっているんですが、鳥取県側が、大橋川を拡幅するのであれば、中海に以前よりも流れ込んでくる水の量がふえるであろうから、一部堤防で区切ってしまっていては中海がどういう状況になるかわからない、だから、大橋川の河川事業を進めるのであればこの堤防を開削しなさいというふうに鳥取県側が条件を出して、そして、河川事業を進めたい国交省が、この森山堤と大海崎堤、開削をしました。
ですので、現在の状況は、水は通っております。つまり、堤防の一部があいて、水は一通り抜けるようにはなっているんですけれども、ここで質問です。政府参考人の方で構いませんけれども、この堤防が一部開削されてからの水質についてどのように分析をされているか、お伺いいたします。
○小野政府参考人 お答えしたいと思います。
委員が御指摘になりました当該の地域でございますけれども、当水域でございますけれども、県の方で水質の測定をしております。この本庄の場所については、県の方で2カ所測定点を設けまして、平成の17年度から水質の測定をいたしております。
その中で、水質汚濁の指標でございますCODを例にとって、その数値を紹介いたしますと、平成17年では、例えば5.2とか5.3ミリグラム・パー・リットルという数字でございましたが、直近の平成30年度では3.9とか4という数字でございますので、当時、平成17年度に比べますと、改善の傾向にあるというところでございます。
○亀井委員 よくこの委員会で、諫早の水門をあけるあけない、あけたらば水質がどうなるか、よくなる、いや、かえって悪くなるというような議論が展開されるわけですけれども、中海というのは一つの事例だと思います。堤防を開削して水が通るようになって、どうなっていくかというのをぜひ継続的に調べていただきたいです。
そして、私たちの感想ですけれども、水質は改善はしていると思います。なぜかといいますと、中海、アカガイがとれなくなっていたのがとれるようになりました。ただし、昔は海底にあったわけですけれども、海底にはやはりヘドロがたまっていたり無酸素地帯がある。なので、養殖のいかだでつって、表面は潮流がありますから、それでようやく中海でアカガイがとれるようになったというのが最近の状態です。
ただ、本庄工区、この本庄に住んでいる方たちの話を聞きますと、堤防を一部、例えば60メートル開削しただけじゃやはり足りないし、潮流はもとのようには当然戻らない。本当は撤去してほしいし、人によっては、その海底、コンクリートが敷き詰められているわけですけれども、これを撤去しないと戻らないんじゃないかと言う方もあります。
そこで、私は、まずこの工事がどこまで進んでいたのかということを伺いたいと思います。
本庄の人の話によりますと、まず、堤防が完全にできて、水が閉じられていたということは誰もがわかっていることなんですけれども、この本庄工区の海底というのは道路もあれば水路もある、つまり、あとは水門から水を抜いて、乾かして、土を盛ったらおしまいというところまで来ていたんだと。そう言われたんですけれども、それは本当なんでしょうか。この本庄工区の底というのはもう100%完成していたのかということについて、お伺いいたします。
○牧元政府参考人 お答えを申し上げます。
中海干拓事業でございますけれども、これは昭和38年に事業着手をいたしまして、その後、干拓地につきまして約500ヘクタールを造成したところでございますけれども、その後、平成12年に、今御指摘ございましたような、本庄工区については干陸中止ということになったところでございます。あわせまして、この事業におきましては中海、宍道湖を淡水化するということを目指しておりましたので、淡水化のための施設、中浦水門でございますとか佐陀川水門でございますとか、あるいは、先ほど御指摘いただいたような森山堤といったような堤防も完成をしていたというような状況でございます。
したがいまして、平成12年の干陸中止の時点では、こういう淡水化のための施設についてはおおむね整備をされていた状況というふうに承知をしております。
○亀井委員 今質問をいたしましたのは、本庄工区、ここの海底がどうなっていますかという質問をしたんですけれども、お答えいただけないでしょうか。実際、道路とか水路とか、全部でき上がっていて、全てコンクリで敷き詰められているということでよろしいでしょうか。
○牧元政府参考人 お答えを申し上げます。
その当時の工事の状況として、御指摘いただいたような、道路とか水路とか、そういうところまで全て完備されていた状況ではなかったというふうに承知をしております。
○亀井委員 わかりました。
できれば、後日で構いませんので、どういう状況に湖底がなっているかということについて資料をいただければと思います。
この中海干拓事業、淡水化事業というのは、諫早の干拓事業と本当にそっくりだと思います。私たちは本当にこれはとまってよかったと思っているわけですけれども、初めに申しましたとおり、農水省はこれだけ大きな構造物を中海にどおんとつくって、中止して、いなくなっちゃった。あとは国交省が河川事業をやりたいんだったら堤防を一部壊していいですよと。ほったらかしというのは余りにも無責任ではないかと地元の者が申しておりますし、私もそう思います。もうこれは干拓を中止して淡水化もしないわけですから、そもそも堤防は要らないんじゃないでしょうか。
私、NHKをぶっ壊したいと思わないんですけれども、この中海の堤防はぶっ壊したいんです。これをぶっ壊して、橋にしてもらった方がよっぽど地元のためになると思います。中海の環境も戻るでしょうし、橋ができればもう少し観光にも役に立つかと思いますけれども、農水省、これは大臣に伺います。中海の干拓事業のこの後処理、どのようにお考えでしょうか。堤防は撤去していただけないんでしょうか。
○牧元政府参考人 若干経緯がある話でございますので、経緯について私から御説明をしたいと思います。
この中海干拓事業につきましては、平成12年度本庄工区の干陸中止、それに引き続きまして、平成14年度に淡水化の中止を決定をしたところでございます。
その後、農水省は何もしなかったのではないかという御指摘でございますけれども、淡水化の中止に伴いまして、先ほども御指摘申し上げました中浦水門の撤去とか、その後の淡水化中止に伴う工事をしているところでございます。
そしてまた、平成15年から17年にかけまして、国土交通省さん、また鳥取県、島根県で構成をいたしました中海に関する協議会、その中でいろいろと対応を協議をさせていただいておりまして、先ほど御指摘いただきました森山堤の一部開削というものも、その後行われたというふうに承知をしております。
また、水質改善につきましても、この中海に関する協議会を引き継ぎました中海会議におきまして、これも国交省さん、環境省さん、また両県と協議をいたしまして、水質改善についての取組、これは例えば化学肥料を減らすとかそういうような取組についても、農水省として取り組ませていただいているところでございます。
○江藤国務大臣 無責任じゃないかと。確かにそういう側面は認めざるを得ないと私は思います。
そして、17年にラムサール条約の登録もされているということでありますので、ということであると、湿地保護ですから、ラムサール条約の要件は。ちょっとまた個人的にお話しできればと思いますけれども、完全に開削してしまうと今度は湿地じゃなくなってしまいませんかね。まあ、海水が入っているんですよね。ちょっと、地図上は、朝ちゃんとグーグルマップで見て、ああこんな感じなのかというのは、全体像と、地球儀の、日本列島の中でこういう感じと見てきましたけれども、ちょっと知見が私、足りませんので、なかなか申し上げられませんが、協議会とか会議とか、いろいろあるということでありますから、そういったところの議事もちょっと読ませていただいて、どんな議論がされているのか、少し勉強させていただきたいと思います。
○亀井委員 きょうは突然ですので、ぜひまたお話しできればと思うんですけれども、もともと堤防はなかったわけですからね。なくなったからといって、撤去したからといって環境が悪くなるということはありませんで、私は農水省、まあ農業土木、いろいろございますけれども、今後の農業土木のあり方として、環境を回復させるような公共工事というのがあってもいいだろうと思うんですね。つくる一方じゃないと私は思うんですけれども。
その一つの事例として、この中海の環境回復、つくってしまった堤防は壊すというようなことをお考えいただきたいと思っておりますが、もう一度、今後の農業土木のあり方、環境を回復させる、そういう土木事業、お考えになりませんか。
○江藤国務大臣 確かに、つくるだけではなくて、環境の変化に伴って柔軟に対応することはやはり考えるべき点だろうと思います。
これは、堤防を取って橋をかけた方がいいということであれば、農林水産省だけじゃなくて、国交省なり自治体との意見交換も十分必要だと思いますし、地域の方々、人・農地プランではありませんけれども、やはり地域の方々の話合いはしっかりしていただいて、どういう御要望があるのか、まずは把握することから始めなければならないんだろうと思っております。
しかし、我々は環境保全型の農業の支払いも実はやっておったりもいたしておりますので、そういうことも考えると、先生の御指摘も考えるべき点があるなというふうに考えます。
○亀井委員 ありがとうございます。
きょうは国交省の方もお呼びしております。中海、大橋川の河川改修事業なども進めておられる、そういう意味で中海には非常に関心が高い国交省さんですけれども、大根島と島根半島の間に堤防にかわって橋をかけるというようなことをお考えいただけませんか。
○江藤国務大臣 担当の方が来ておられないようでございまして、正確なお答えはできませんが、本当に土地カンが私、全くないので、例えば私の宮崎なんかでいくと、大淀川の堤防の上には立派な道が走っていたりすることもあるわけですよ。堤防が道として機能することも、もしかしたらあるのかもしれません。
うかつなことは申し上げられませんが、省庁横断的に、少しまた後で話をさせていただきます。
○亀井委員 国交省に通告はしてあったんですけれども、大臣、ありがとうございます。また後日、国交省には伺いたいと思います。
それでは、このトピックはここまでにして、次、豚コレラについてお伺いをいたします。
先ほど質問に立った方が、CSF、クラシカル・スワイン・フィーバー、まだ言いなれないなとおっしゃいましたけれども、私、安倍政権というのはよく言葉をかえていく政権だと思っているんですね。例えば、非正規雇用、非正規という言葉は労働者に失礼だから何かかわる言葉はないかとか、過疎という言葉は、何だかちょっと失礼な、負のイメージがあるから、田舎だって魅力があるんだから、それにかわる言葉はないかとか、そういう議論がされていると聞こえてくるんですけれども、でも、言葉をかえたからといって問題がなくなるわけではないと思うんですね。
ですので、CSFという片仮名にしてしまうことで何か、この豚コレラの問題が解決したかのようなイメージを与えはしないかなと思ったりもしているんですが、コレラという言葉が強いということかと思いますけれども、今回のこの名称の変更について、大臣のお考えをお聞かせください。
○江藤国務大臣 正直申しまして迷いはありました。ごまかしているんじゃないかと言われるのは大変心外でもありますし、これによって逆に飼養衛生管理基準を守るという意識が薄れてしまうのではないかということもあって逡巡もいたしましたが、いろいろ勉強させていただいて、もともとBSEは牛海綿状脳症というものがBSEと言われて、今は完全にBSEで定着いたしております。これは人間にもうつる可能性がある、全く違うものでありますけれども。
もともと豚コレラと何でなったかということになると、1800年代にアメリカで初めて確認された、人のコレラ、ホグコレラというものを何か直訳してしまって豚コレラということになって、じゃ、アメリカでもコレラという名称を今使っているかというと、アメリカではもう使っておりません。CSFということでアメリカでも統一されております。
ですけれども、これを家伝法上でしっかり直すことも視野に入れて考えていこうと思いますが、しかし、どちらの方と意見交換をしても、やはり風評被害が怖い、とにかく風評被害を防ぐための努力をしてくれと。
うまくいくかどうかは、それはもうわかりませんけれども、コレラ、コレラ、コレラと言われるよりも、みんなが100回も200回もCSFと言っていれば定着、先生もぜひCSFと言っていただければありがたいなと思いまして、これは現場で養豚業を営んでいる方々の気持ちに応える意味で、こういうふうに今させていただいているということでございます。
○亀井委員 大臣のお気持ちはわかりました。
確かに、BSEと言われると、みんな、何のことかわかりますので。メディアで繰り返しCSFと言ったら、ああ豚の病気ねとわかるレベルまで浸透するのかわかりませんけれども、でも、何のことだかわかるようにして広めていくしか……(江藤国務大臣「人にうつらないから」と呼ぶ)はい。
人にうつらないということで、コレラという表現はやめたということで、大臣の御説明はわかりました。問題には継続的に取り組んでいただきたく、お願いをいたします。
この委員会で9月に視察に行かせていただきました。ドイツとデンマークに参りました。豚コレラについてもいろいろ参考になりましたので、皆様にも御紹介したいと思います。
きょうお配りした資料2枚目、これはドイツの標識の写真です。どこかといいますと、9月の16日に、私たち、宿泊先のシュツットガルトから車で2時間ほどアウトバーンを走りまして、黒い森まで行ったんですけれども、シュバルツバルトまで行ったんですが、その道中、アウトバーンに、何というんでしょう、ドライブインというか休憩所がありまして、そこにあった看板です。これは何かといいますと、ごみの捨て方なんですよね。
ヨーロッパは地続きですから、輸送のトラックを介して病気が感染します。今、豚コレラはルーマニアやブルガリア、ヨーロッパの南部の方で発生をしていて、それがドイツなどにトラックのドライバーによって持ち込まれないようにというのに非常に神経を使っていまして、例えば、では、ルーマニアでお昼にハムサンドを買った人が、食べかけのものをぽいっとその辺のごみ箱に捨てて、それをイノシシが食べたら、豚コレラに感染する可能性があるわけですよね。それはだめですよという、その啓発の標識です。
そう考えますと、日本はやはりごみ問題が非常に対策が薄いと思います。ドイツのごみ箱はイノシシが少々ぶつかっても倒れないような固定されたごみ箱でして、それに引きかえ、日本ですと、今、地元の例えばお祭りでジビエ料理などが振る舞われていて、そのジビエを食べ残して、その辺のごみ箱にぽいっと捨てて、それを地元のイノシシが食べたら、うつる可能性がありますよね。
そういう意味で、ドイツと比べるとやはりごみ箱の対策が非常に私はおくれていると思うんですけれども、大臣、御認識はいかがでしょうか。
○江藤国務大臣 大変重要な御指摘だと思います。
篠原先生から、もう大分前になりますが、お電話をいただいて、国の名前をあえて言いませんが、外国からのお客さんがお弁当を持ってきて、公園で食べて、食べ残して、それをごみ箱に、江藤君、投げ込むんだよと。そこら辺は市街地にもイノシシが来るようなところで、ごみ箱をあさるんだよと。その中に、肉製品、腸詰めのようなものが入っていれば、それで不活化されていないものがいれば、もう一発でうつってしまうよという御指摘をいただいて、もうかなり前の話で、御指導いただいたことを覚えております。
ですから、私どもとしましても、環境省それから国交省にこのお話をさせていただきまして、公園とか、そういったものについてもしっかり管理をしていただけるように。それから、キャンプ場ですね。そういった自然公園の中においても、残飯を通じて感染が広がらないように、通知とかを出させていただいて、お願いをしているところでございます。
○亀井委員 豚コレラが岐阜県で発生してから、この間どうやって広まっていったのかということをやはり検証する必要があると思います。その一つは、やはりごみを介して、今申しましたごみ問題もあるでしょうし、もう一つは輸送もあると思います。
このたび、農水委員会でデンマークを視察して、そこで、デンマークの輸送システムについてお話を伺いました。
デンマークは、肉類、ハムなどの輸出が非常に重要な産業ですから、輸送システムもかなり完璧なものができております。トラックはどのトラックも追跡ができるチップが入っていますし、何よりも感心をしたのは、豚コレラが発生しているような国にデンマークから生体の豚を運んだり何かを輸出するときに、デンマークのトラックが直接そこの国には行かないんです。中継地点でトラックをかえるんですね。
例えば、デンマークから生体の豚がドイツ、ポーランド、イタリアに行くとき、年間2.8万台のトラックがドイツとの国境付近にある認定施設で洗浄、消毒をされます。ここでトラックを乗りかえるんですね。ですので、デンマークのトラックはドイツの国境付近までしか行かなくて、そこでも洗浄されるし、戻ってきてからもまたデンマークで洗浄されるというシステムで、トラックにはGPSがついているので、もし何か発生したときには、そのトラックがどこをどう通ってきたかということが追跡できるようになっているんです。
予算の問題がありますので、デンマークのようなシステムはなかなかできないにしても、学ぶべきものというか、日本の国内の輸送に取り入れられる面があるんじゃないかと思います。つまり、豚コレラの感染地域からほかの県に何かを輸送するときに、中継地点でトラックを乗りかえる、そこで洗浄するというような対策をとられたらいかがでしょうか。
○江藤国務大臣 先日、ちょっと話がそれて恐縮ですけれども、ハンガリーの外務大臣がお越しになられました。ハンガリーは日本と同じように、今、アフリカ豚コレラ、日本とはちょっと違いますが、アフリカ豚コレラで大変悩んでいらっしゃって、しかし、養豚場には一切入っていないんですよ。チェコとかベルギーはイノシシ発生地域を隔離するというやり方ですから。ハンガリーの場合は、養豚場を隔離するという日本式のやり方で、入っていない。ですから、いろいろ教えていただきたいということで、外国に学ぼうという姿勢はまず持っているということを言いたかったわけであります。
チップを積むのはいい考えかもしれません。積みかえについては、参議院の昨日の委員会でもいろいろな御質問があったんですが、積みかえがかえって手間で大変だという声もありつつも、しかし、いろいろなところを広域的に移動するトラックについては、よほど丁寧にやらないとだめだと思います。
昨日ですが、群馬に行ったところも、三回消毒をやっておられましたから、先生の御意見もちょっとよく考えて、外国の知見も大分集めたつもりではおりますけれども、考えさせていただきたいと思います。
○亀井委員 ありがとうございます。
アフリカ豚コレラがもし入ってきてしまったら、ワクチンもないわけですから、輸送のシステムをきちっとつくり上げることでこれは対策をとるしかないんじゃないだろうかと私も思っております。ですので、この分野には予算をつけて、とにかく頑丈なごみ箱と、あと輸送システムの検討をぜひお願いをいたします。
それでは、最後の質問に移ります。種子法についてです。
主要農作物種子法が廃止をされました。それに対して、私たち野党は共同で種子法の復活法案というものを提出をしております。一度この委員会で質疑が行われましたけれども、その後、継続扱いになっております。この間、各県や市町村で、やはり種子法は復活させるべきだという声が多く上がってきていて、県によっては条例がつくられたり、市町村で決議が採択されたりしております。
そこで質問ですけれども、これまでの間、県の条例、市町村決議、採択件数は幾つありますでしょうか。お尋ねいたします。
○天羽政府参考人 お答え申し上げます。
種子法の廃止後、種子に関する条例、これは13道県で制定が行われたところでございます。
こうした道県では、稲、麦、大豆以外への対象品目の拡大や他県への種子供給を前提とした計画の策定を行うなど、それぞれの地域の農業にとって必要な措置につきましてみずから判断して講じようとしているものというふうに受けとめてございます。
また……(江藤国務大臣「件数を言えばそれでいいんです」と呼ぶ)はい。13道県でございます。
○亀井委員 市町村の決議等の状態も後ほど何か資料をいただければと思います。
それでは、最後は大臣に今の種子法の件で質問させていただきます。
先日、私は食料自給率の話もいたしましたし、食の安全を考えたときに、また自給率を考えたときに、やはり種子というのはきちんと国が管理すべきものだと思っています。種子に関する知見というのは公共のものだ、先祖代々引き継がれてきた公共の資産だと私は考えておりますので、主要農作物の種子法というのは必要だと思います。
特に、今、種子というのが世界のビジネスになっている、多国籍企業が種子を開発してかなりその市場を独占していることを考えますと、やはり種子法というのはきちんと復活をさせて、国が責任を持つべきだと私は考えますけれども、大臣のお考えはいかがでしょうか。
○江藤国務大臣 長い答弁は避けさせていただきたいと思いますが、もともとこの種子法はかなり古くて、日本人が食うに困った時代に、何とか飢えさせてはいけないということで、米と麦とそれから大豆について定めたものでございます。
この後、いわゆる食料不足の環境については解消がされたわけでありますけれども、この後の若干の弊害としては、例えば米について言うと、各地区でブランド米についてはがんがんやるけれども、例えば中食とか外食、今非常に需要が高まっていますけれども、それについての開発をしなきゃいけないんだという、県の農業試験場とかそういうところ、国もそうですけれども、気持ちはあるんだけれども、どうしても収益率のいいものに偏ってしまったという現実があるのではないかと思います。
そして、輸出するに当たっても、今の米の単価ではなかなか厳しいので、品質を保ちながら収量は上がって価格を抑えられる米をつくりたいというようなニーズもあります。
ですから、種子法の廃止がまず先にあるのではなくて、現場の方々のお話も、私も、この当時のことを思い出しますけれども、聞きましたけれども、やはり、県で使っているやつだけではなくて、民間でもいいものはあるのでそういうものも自由に使いたいんだよねという意見があって、それじゃ、この際この種子法を廃止して、種苗法という別の法律もありますので、そちらの方でやらせていただく部分もあるよねということで廃止になりました。
しかし、先生のおっしゃるように、種子については、国によってはもうバイオセキュリティー並みに、とんでもない金庫のようなものをつくって、国家財産として管理している国もあることも重々承知もいたしておりますので、この取扱いについては考えるべき部分もあるかもしれませんが、この場で復活させるべきだということを申し上げるまではなかなか申し上げられないところでございます。
○亀井委員 食料安全保障という観点でもう一度お考え直しいただければと思います。
時間ですので、ここでやめさせていただきます。ありがとうございました。