活動報告(ブログ)

2020年11月17日(火)衆議院農林水産委員会

令和2年11月17日 衆議院農林水産委員会議事速報(未定稿)

○髙鳥委員長 次に、亀井亜紀子君。

○亀井委員 立憲民主党の亀井亜紀子でございます。

 先週に続き、質問を致します。

 先週の最後の質問は、自家増殖を原則は禁止するとしても、なぜ例外品目を設けないのですかということでした。それに対する大臣の御答弁は、品目を指定すると、その品目すべてについて自家増殖を認めることになるのが問題だと。例えば、私の地元には仁多米というブランド米がありますけれども、大臣がおっしゃる意味というのは、仁多米については他県で自家増殖をしてほしくない、そういうふうに個別に指定ができなくなる、米全体を例外品目にすると。だから品目で例外はつくらないのだというような意味であろうととったんですけれども、そうであるならば、現行法のまま原則自由にして、自家増殖をしてはいけない禁止品目を単純に登録していけばいいんじゃないでしょうか。

 篠原委員の質問で、2017年の種苗法の前回の改定以降、禁止品目が拡大されたと資料が提出をされています。2017年が289種、2018年356、2019、387、2020年が396、このように急速に増えているわけですから、単純に禁止品目を登録すればよいものを、何か、だいぶ数が増えたから原則をいっそのこと逆転させましょう、原則禁止にしてしまいましょうというように今回改正をしようとしているのかしらとも思うんですけれども、現行通りでなぜいけないんでしょうか。

○太田政府参考人 お答え致します。

 現行法につきましては、自家増殖に育成者権が及ぶ品種とされているのは栄養繁殖をする植物種のみになっております。したがいまして、今おっしゃった仁多米というお米であれば、栄養繁殖をする植物ではありませんので、現行法のままでは禁止品目として仁多米というものを挙げるということが不可能となっております。

 また、そういった品種ごとに自家増殖を制限するかどうかを登録させるということであれば、まさに、登録品種の自家増殖を育成者権者の許諾に基づくこととするという今回の法改正の内容と同様の措置になるのではないかと考えております。

○亀井委員 基本的に私達は主要農作物に関しては自由にするべきだと思っておりますし、現行の制度の方が、禁止品目として対象にすればよいだけの話なので、やはり原則を逆転させるというのは大変違和感があります。

 少なくとも、有機栽培については、先日の参考人の答弁もありました通り、種の自家採種を前提としての農業の形態でありますから、今、日本政府が農産品の輸出を促進しよう、特に有機栽培も力を入れていこうという時に、この有機栽培についても例外としなかったということは私はおかしな改正案だと思っております。

 それで、我が党は修正案を先週与党の方に御提示して、内々協議をしてきたんですけれども、それが一切受け入れられなかったということは大変残念に思います。

 それで、次の質問に行きますけれども、許諾料についてです。

 許諾制にするということを仮に受け入れたとしても、なぜ、誰が増殖をしているかという名前の登録だけではなくて、許諾料を取るのかということが疑問なんですけれども、お答えいただけますでしょうか。

○葉梨副大臣 お答え致します。

 一般論でございますが、品種開発、これには多大なコストと時間を要します。品種開発に係る費用は、種苗の販売利益あるいは増殖の許諾料を通じて回収することになります。農業者も新品種のメリットを享受するということでございますので、その受益に応じて必要な費用負担を行うことは自然なことだろうと思います。

 ただ、農研機構や都道府県が、普及することを目的として品種を開発しております。開発費の大半は運営費交付金などの公的負担で賄われておりまして、農業者から営農の支障となるような高額の許諾料をいただくということは通常ありません。民間の種苗会社においても、農研機構や都道府県の許諾料の水準を見ていますので、著しく高額な許諾料となるということは考えにくいと思います。

○亀井委員 私が感じたことは、種子法が廃止をされて、種子の開発の予算をつけるための根拠法がなくなりました。今のところ、やはり、県で条例をつくっているところも多いですし、なかなか、種子法がなくなったから一気に予算を減らすということはやりにくいかもしれませんけれども、だんだん地方交付税措置が減っていく中で、そのかわりとして許諾料というものを取って、いわゆる農家から取って補おうとしているんじゃないかなというふうに私は感じておりますので、そういう意図があるのではないかと思っております。

 今日は時間がないので、次の質問に行きます。

 先週、私は、なぜ種子法を廃止したのですかという質問をする中で、やはり大臣の御答弁で、種子法は食料増産法であったから、もう今の時代は米も余っているし必要ない、そして、政府、農研機構などが進める種子開発というのは、味のよい米の方に寄ってしまって、多収品種の開発、外食や中食に求められている、そういう多収品種の開発というのはほとんどできていないんだという御答弁でした。

 それで、伺いたいんですけれども、つまり、私、日本の政策は、日本という国は耕地面積が少ないですし、広い面積でたくさん栽培して安く売るような、そういう農業は海外と比較しても向かないので、そうではなくて、ブランド米ですとか質のよいものをつくって高い値段で売っていくというような方針であったと思っているのですけれども、大臣のおっしゃる意味ですと、たくさんとれる外食用の安い米が欲しいというように聞こえますし、そのために種子法を廃止したというふうに理解できるものですから、次、質問を致します。

 それでは、今、野菜の種というのは一代限りの種、F1が主流になっています。このF1については、収量が安定する、形ですとか大きさですとかそういうものが安定して、経営的には楽だということは言われていますけれども、一方で、農薬や肥料がセット販売されること、それから、何よりも、毎年種を買わなければいけなくなることが問題視されております。

 けれども、こういう多収量の種子が広がることはよいことだ、そのために民間にも種子を開発してほしいんだということでよろしいですか。F1が広まったということについて、政府は好ましいと思っているのか、問題だと思っているのか、その根本のところを伺いたいのですけれども、大臣にお尋ね致します。

○野上国務大臣 今お話のございましたF1の野菜の種子ということですが、生物には異なる系統を掛け合わせることで両親よりも優れた性質を持つ品種が生まれる場合があり、F1品種はそうした植物の特性を利用した品種で、生育が旺盛で栽培しやすいですとか、収量が安定するですとか、あるいは、形や品質のそろいがすぐれているといった特性があります。

 このような特性を生かして、戦後、野菜の種子等を扱う種苗会社を中心にしまして、農業の振興につながるようにと積極的に新品種開発が行われ、我が国の高品質な野菜等の安定供給を支える技術の一つとなっていると認識をしております。

 また、農業者は、自らの経営に合った品種、農薬、肥料を選択していると考えております。この中で、例えば、農薬や肥料とセットで種苗が販売されるビジネスが導入されたとしても、農業者が経営上の判断のメリットを検討の上で、このような形のセット販売の導入の是非を判断することになるということになると思いますので、農業者の経営の選択肢が増えること自体は否定すべきものではないと考えております。

○亀井委員 今の御答弁で、私達立憲民主党とは、やはり根本的な考え方が違うんだなということがわかりました。私達は、やはり多種多様な種、在来種を保護していきたい、多種多様であることが自然災害にも強いし、よいことだと思っていますし、だから、F1種が広がっていって、毎年、工業製品の原材料のように農家が種を全量買わなきゃいけなくなるという状態は自然に逆らっている、だから余り好ましくないと考えています。

 少なくとも、主要農作物、米、麦、大豆については、在来種を守っていかなきゃいけないと思っているんですけれども、大臣の御答弁ですと、それは農家の判断によるものです、F1で収量が安定して、たくさん栽培できるものが選択肢として広がるのはよいことですというふうにとれますので、やはり基本のところが、考え方が違うから、こういう種苗法の改正になるし、種子法も廃止されたんだなというふうに、賛同はできませんけれども、論理としては理解致しました。

 最後の質問に行きます。

 これは、先日、参考人質疑でも印鑰参考人が触れていたことなんですけれども、今回、特性表が導入をされます。従来であれば、栽培されているものが同じものか否かということ、そして、その判定について裁判に持ち込まれるものですけれども、今回の改正では、農水大臣が特性表を見て判断しと変わるわけでして、その判断に対して異議があった場合は、その後どうなるのか、裁判で判定をすることになるのか、全くわからないという指摘がありました。

 また、過失か故意か、農家が知らずに栽培していた、過失であったという時には、罰則は適用されずに済むのでしょうか。言いかえれば、故意だということを証明できなければ、過失であって農家は罰せられないということでよろしいですか。大臣にお尋ね致します。

○野上国務大臣 今般の改正案では、農林水産大臣が侵害が疑われる品種と品種登録審査において確認された登録品種の特徴を記録した特性表を比較しまして、育成者権が及ぶ品種かどうかを判定する制度を措置しています。

 この判定の結果は農林水産大臣の所見ということにすぎず、法的拘束力があるということではありません。したがって、これまで同様、育成者権の侵害は訴訟を通じて判断することになりますが、改正後は、判定の結果が裁判の証拠として提出された場合には、この結果の妥当性については、裁判所により改めて判断するということになります。

○亀井委員 そうですね、今伺った感想としては、裁判に提出をする、いわゆる権利侵害だという書類が一つ、大臣のお墨つきといいますか、一つ書類が増えたような形になるのかなというふうに思いました。

 今回のこの特性表の規定に関しては、やはり農家にかなり不安を与えている部分はあると思います。先日、参考人も萎縮する効果があると思うというふうに述べておりましたので、やはりこの改正のところもかなり不安が残るということを申し上げて、時間ですので、終わりにしたいと思います。

 以上です。

<修正案趣旨説明>

○亀井委員 只今議題となりました種苗法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 政府は、我が国の種苗にかかわる施策をここ数年で大きく転換させています。まず、規制改革推進会議の平成28年11月の提言を受け、主要農作物種子法を廃止し、また、農業競争力強化支援法を制定しました。稲、麦類及び大豆の優良な種子の生産、普及の促進を目的とした主要農作物種子法の廃止に関しては、これまで、政府は、種子法廃止の根拠として挙げていた、民間事業者の品種開発意欲の阻害という点について明確な根拠を示しておりません。

 農業競争力強化支援法においては、第八条第四号で、「種子その他の種苗について、民間事業者が行う技術開発及び新品種の育成その他の種苗の生産及び供給を促進するとともに、独立行政法人の試験研究機関及び都道府県が有する種苗の生産に関する知見の民間事業者への提供を促進すること。」が規定されています。政府は、農業競争力強化支援法第八条第四号は、種苗の生産に関する知見の提供だから全く問題ないという説明を繰り返しておりますが、各都道府県が地域農業の実情に合わせて取り組んできた新品種の育成を含めた種苗の生産に関するノウハウを民間事業者に渡すことを推し進めようとするものであり、公的試験研究機関の新品種育成の促進の観点からも、このような規定は全く不要であります。

 こうした施策が推進される中での種苗法の一部を改正する法律案の提出です。政府は、登録品種の海外流出を防止するために法改正が必要であると主張しておりますが、改正案では、農業者に自家増殖を認めていた規定を廃止する大転換を図ろうとしております。UPOV条約上も自家増殖は認められており、我が国では種苗法第二十一条第二項に基づき、これまでも原則として自家増殖が認められてきました。改正案では、例外的に自家増殖を認める方策を一切考慮することなく、一律に自家増殖を許諾制にしようとしておりますが、これは、自家採種で種苗を得ている有機農業を制限するものであり、有機農業推進の観点から極めて問題のある法案です。

 そこで、本修正案は、まず、法律の題名を種苗法及び農業競争力強化支援法の一部を改正する法律に改め、有機農業における自家増殖を育成者権の効力が及ぶ範囲の例外とし、また、農業競争力強化支援法第八条第四号を削除する等するものです。

 以上が、この修正案の趣旨であります。

 何卒委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

<反対討論>

○亀井委員 立憲民主党の亀井亜紀子です。

 私は、只今議題となりました種苗法の一部を改正する法律案について、反対の立場から討論致します。

 本法律案の最大の問題は、農家が登録品種について次期作付のために自家増殖する権利を原則禁止し、許諾制とすることです。種苗の海外流出を防ぐためとのことですが、そもそも、種苗を持ち出そうとする悪意を持った者がわざわざ許諾を申請するでしょうか。種苗の海外流出に対抗するには、農水省も認めているとおり、海外で品種登録する以外に方法はありません。行政がその手間を惜しみ、まるで農家が種をとる行為が海外流出の原因であるかのような本改正は、農家への責任転嫁であり、正直な農家に負担を強いるものです。

 また、諸外国は主要農作物について自家増殖を禁止していませんが、本改正には例外品目がありません。特に、種の自家採種を前提とした有機栽培を例外としていないのは、これから有機作物の輸出を促進しようという政府の方針に逆行するものです。

 許諾をとれば自家増殖できるのだから今までと変わらない、禁止するわけではないと政府は言いますが、原則自由から原則禁止に変わるということは180度の方針転換です。労働者派遣の対象業務が原則禁止から原則自由に変わり、社会構造が変わったことは、一つの示唆になると思います。

 また、単に許諾を登録する制度ではなく、許諾料が発生することも小規模農家に不安を与えています。

 更に、農業競争力強化支援法第八条第四号は、公的機関が有する種苗の生産に関する知見を民間事業者に提供するよう推進しており、合法的に外資系企業に知見を提供することも可能です。この条項を削除せず、品種の海外登録を進めないのでは、日本の種苗を守ることはできません。

 以上の理由から、本改正は種苗の海外流出をとめる効果はないと考え、本法案には反対と致します。

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