活動報告(ブログ)

2020年11月12日(木)衆議院農林水産委員会

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令和2年11月12日 衆議院農林水産委員会議事速報(未定稿)

○髙鳥委員長 次に、亀井亜紀子君。

○亀井委員 亀井亜紀子でございます。

 野上大臣にかわって初めての質問になります。よろしくお願い致します。

 では、はじめの質問ですけれども、政府の種子の開発や保護についての基本的な考え方について、まず伺いたいと思います。

 実は、私達は、廃止されてしまった主要農作物種子法の復活法案を提出をしておりまして、過去に一度この委員会で審議をされたまま、ずっと継続審議で、店晒しになっております。まあ店晒しになるということは、政府の方は種子法を復活する必要はないと考え、与党もそう考えているから審議をされないのだと思いますけれども、この背景にどういう考え方があるのかというのをまず伺いたいと思います。

 種子法の復活法案についてこの委員会で審議された時に、自民党の坂本先生が色々とお話をされていました。それを読むと、自民党さんの考え方というのがある程度見えてまいりますので、政府に伺いたいと思います。

 まず、種子法を廃止した背景として、もともと種子に関しては、戦後非常に劣悪なものが出回ったので、昭和22年に農産種苗法というのができて、そこから、議員立法で、主要農作物、米、麦、大豆が切り分けられる形で、昭和27年に種子法というものができた。これは、種子法とは言うけれども、要するに、稲、麦、大豆奨励品種増産法だと、増産をするための品種改良法なんですと坂本先生は当時言われています。

 それで、今もう米余りの時代で、食料増産の必要はないから、種子法は廃止して構わないということになったと私は理解しました。そして、種苗法の方で種は守る。

 坂本先生は、本来ならば、昭和53年、知的所有権が種子法から種苗法に返された時、あるいは、昭和61年、民間の参入が許された時、参入を認めた時に、また、平成10年、世界の知的所有権の中に、条約に肩を並べた時、つまり種苗法が改正されたこの平成10年の時に、もう種子法は廃止していてもよかったんだというふうに述べられているので、まあ、もう必要ないねということで廃止をされ、だから復活法案の審議もされないのだというふうに私はこの議事録などを読んで思い至ったのですけれども、政府のお考えはいかがでしょうか。

○野上国務大臣 国会での御審議についてはコメントは差し控えさせていただきますが、主要農作物種子法につきましては、昭和27年に、戦後の食料増産という国家的要請を背景にしまして、稲、麦、大豆の有用な種子の生産、普及を進める観点から制定をされて、食料増産に貢献をしてきたものと考えております。

 現在、米の供給不足が解消されまして、食料増産という当初の目的は達成をされました。一方で、都道府県に種子供給を一律に義務づけてきた結果、ブランド米には力を入れて供給する一方で、今需要が高まっております中食、外食用途に適した多収品種にはほぼ取り組めていないですとか、民間の品種が参入しにくいなどの課題も生じてきたところでありますので、こうしたことから、官民の総力を挙げて、多様なニーズに応じた種子供給を行える体制を構築するために、平成30年4月1日に種子法を廃止をされたものと考えております。

○亀井委員 私達は、立憲民主党及び種子法復活法案を出した提出会派は、種子法を単なる食料増産法だとは思っていないんですね。米、麦、大豆、主要農産物の種子というのはやはり公共の資産であって、近年、様々な企業が知的所有権を主張するようになって、登録品種もふえているけれども、やはり、食料自給率に深く関わる主要農産物に関しては、種子は、公共が前面に出て、予算もきちんと、根拠法を持った状態で、国や県の試験場に予算をつけて、良質な、多種多様な種を開発していくということも非常に大事だと考えておりますので、種苗法だけじゃなくて、種子法は必要だという立場です。

 それで、今、政府は、いわゆる種子法は食料増産法であったのだから種苗法の方で種子は守るという、そういう方向性の中で、では、種苗法のどの部分で、種子法の廃止を補うような、種子を保護しているような条項があるのですかというのを前回の国会で江藤前大臣に聞きましたところ、種苗法の六十一条だと。後は、予算については地方交付税措置をするというようなことだったんですけれども、その六十一条を読んでも、別に、六十一条というのは、指定種苗の生産、調整、保管それから包装について種苗業者が遵守すべき基準を定めて、これを守らないところには勧告をして、更に守らなければ公表をすると、その種苗業者を。そういう定めであるので、これをもって主要農作物の種子を公共の資産と考えて守っていくような、そういう要素は何も見えないんですけれども、果たして種苗法でどうやって種子を守っていくのか、大臣、お答えいただけますか。

○天羽政府参考人 お答え申し上げます。

 只今委員御質問の種苗法の第六十一条でございますけれども、この第六十一条に基づく告示というものがございます。種苗の生産等に関する基準という告示でございますけれども、この中で、種子の品質について、発芽率ですとか、異種、異品種粒の混入ですとか、様々な項目について、稲、麦、大豆の種子の品質基準を定めてございます。また、圃場の隔離に関する事項なども定めておるわけでございます。

 これは、従前は、旧種子法の時代は、旧種子法の四条五項に基づく告示ということでルールとして定められていたわけでございますけれども、種子法の廃止後は、種苗法の第六十一条第一項に基づく告示を改正して、稲、麦、大豆に係る規定を追加したという経緯がございます。

○亀井委員 ちょっと、まだあまりすっきりしないんですけれども、関連で次の質問に行きたいと思います。

 種子の開発については、民間企業の協力を求めというか、民間企業にそれを担ってもらうという方向性に法律が変わっていっているというふうに私は見ております。なぜかというと、それは、農業競争力強化支援法八条四項、これにおいて、種子に関する知見を、民間事業者への提供を推進することとあるので、積極的に税金を投じて種子の開発をしてきたその知見を民間事業者へ提供してくださいということですよね。

 それで伺いたいんですが、今回、優良な種子の海外流出をとめるために種苗法の改正があり、そして、果たして、では、自家増殖を禁止することが海外流出を止めることになるのだろうかという質問は他の議員もされたわけですけれども、そもそも、農業競争力強化支援法八条四項で、種子に関する知見を民間業者に提供しなさいとあって、この民間業者というのは外資系企業も含めますよね。含んでいますね。

 これは、種子法の廃止の時の参議院の方の質疑、答弁で見つけてきましたけれども、基本的に、法制度上、外国資本が主要農作物の種子産業に参入することは可能でございますという答弁が、当時、政府参考人からありました。そして、今、外資から見た場合に、「我が国の種子の市場がそれほど魅力的ではないというのが実態でございますので、現実にほとんど外資は入ってきていないという状況でございます。」と書かれているんですが、これはあくまでも日本の市場が魅力的に見えないからということだけでして、法制度上は民間業者に外資系企業というのは含まれ、そして、農業競争力強化支援法の八条四項のところで民間への知見の提供を推進しているわけですから、ここのところに穴が開いていて、簡単に色々な知見が外資系の企業にも渡ってしまうということじゃないんでしょうか。いかがですか。

○ 梨副大臣 お答え致します。

 農業競争力強化支援法第八条の規定ですが、これは、民間に種子を売り渡すとかそういうことではございませんで、当然、農研機構はしっかり予算をする、それから都道府県に対しては地方交付税措置をするということで、そちらもしっかりやるんですけれども、民間にもそういう知見を提供することで、種子の開発をちゃんとやっていただこうということなんです。

 その運用ですけれども、知見を渡す側の都道府県それから農研機構に対しては、これは通達ですが、重要な知見が流出することがないように利用目的をよく確認し、目的外使用や第三者譲渡の禁止を盛り込んだ利用契約を結ぶことなどを、通知を出しまして、指導を徹底しております。そして、同法の施行後、都道府県、農研機構が、目的外使用や第三者譲渡の禁止を利用者との契約に盛り込んでいます。

 この法律によって海外の外資系企業に知見が流出したという事例はございませんし、また、今後も適切に運用をしてまいりたいというふうに考えています。

○亀井委員 今のところ事例がないということですけれども、あくまでも運用上の話であって、法律のところで民間事業者への知見の提供は推進しているわけですから、これは今後どう変わっていくかはやはりわからないことだと思います。日本の会社であっても外国資本の割合が高かったりということがありますから、そういう中で、ここに穴が開いていて、それで一方で日本の種苗を海外に流出するのをこの法律で止めると言っているのは、非常に私は矛盾をして、今回の改正というのは非常に矛盾しているなと思います。

 なので、私達は、主要農作物種子復活法案の中に、農業競争力強化支援法の八条四項は削除しろというのを入れているのは、そういう理由からです。

 それでは、次の質問に移りますが、これは、果たして登録品種を自家増殖して栽培している農家が今回の改正によってどういうことになるのか、非常に不安を持っている農家が多いので、ちょっと事例を出して質問をしたいと思います。

 イチゴを例にしたいと思います。

 私の地元、島根県安来市というところはイチゴの栽培が盛んでして、だいたい農業者、65軒ぐらいイチゴ農家がありまして、栽培しているものは紅ほっぺと章姫、この2種類は静岡県の登録品種です。

 全体の品種の中で在来種がほとんどだから、一般品種がほとんどだから登録品種は少ないんだ、そういう論点がありますが、ただ、やはりブランドを推進している場合、その少ない登録品種を、地域で中心的に、ほぼどの農家もその登録品種を栽培しているという例はありますので、全体の中で登録品種の数が少ないから大丈夫だという話ではないと思うんです。

 それで、ある農家は、だいたい、じゃ、紅ほっぺの種苗の価格を1苗250円としましょう。250円を、じゃ、400苗買ってくる、そうすると10万円ですね。この400苗をだいたい1万苗ぐらいに増殖をして販売するんですね。それで、この250円の中に、今は自家増殖は禁止じゃないですし、契約によっては、その種苗代に自家増殖をする権利も含まれての値段なわけです。

 今、農家に色々誤解が広がっているというふうな指摘が与党側からもありますけれども、最大の農家の不安は、許諾料がいくらになるのかというのと、もしその許諾がとれなかった時に、じゃ、今400苗10万円の種苗代で済んでいるものが、1万全部買わなきゃいけないとなったら250万になるので、それじゃ経営ができない、そんなことじゃないですよねという、そういうまず不安があるので、そこは違いますということをはっきり言っていただきたいんですが、お願いします。

○太田政府参考人 お答え致します。

 イチゴにつきまして例示を出されましたので、イチゴにつきまして御説明を致します。

 イチゴにつきましては、農業者が原種苗を入手を致しまして、農業者自身が種苗を必要数増殖した上で収穫物を生産をしております。これは、収穫前でございますので、自家増殖とは認められない増殖行為ということになります。このため、現在、登録品種でイチゴ栽培を行っている農業者の方々は、自家増殖も含めた増殖全体について許諾を得られている種苗を購入しているということが一般的です。

 このような場合、農業者は、種苗代に含まれた許諾料相当分につきまして現在も支払っているということになりますので、法改正後も状況は変わらないのではないかというふうに考えております。

○亀井委員 では、イチゴというのは増殖を前提に栽培し、販売をするものなので、この法改正後も変わらないというふうに理解を致しましたが、ただ、値段は変わるのではないかという懸念はありまして、今度はこの部分を伺いたいと思います。

 お配りした資料1枚目、許諾料の例、これは農水省の資料から引いてきたものです。

 それで、イチゴがわかりにくくて、まず、A、B、Cとあります。その登録品種の登録されている県、自県農業者に無償提供の場合と、自県でもお金を取る場合と、無償提供、色々、A、B、Cとあって、これ、A、B、C、どういうふうにそもそも分けるのかというのもわからないんですが。

 じゃ、1番、Aの例をとりましょう。他県1県当たり約100万円とあります。日本の場合、イチゴの苗は、農協ですとか、あと種苗会社がまとめて持っているものが多いとして、じゃ、安来の農協がまとめて買います。この買う時に、静岡の登録品種を買ってくるわけですから、1県当たり100万円というのが乗った値段になるのか、一体そのどこに許諾料がどの程度かかって、それが農協から種苗を購入する農家にどの程度の負担になるのか全く見えないんですけれども、お答えいただけますか。

○太田政府参考人 お答えを致します。

 この例のイチゴAで申しますと、他県1県当たり約100万円ということで、例えば、この例に当たるかどうかはわかりませんけれども、JAが一括して100万円だけ払っております。そこから農家に販売するということになりますけれども、その販売につきまして、どれだけふやしてもこの100万円というのは変わらないという契約で進んでおりますので、先程も申しましたように、イチゴについては既に増殖、自家増殖、トータルで許諾を受けて、許諾料も、他県であれば100万円ということで既に払っておって、それが増えていくというような理由というのも特にないというふうに考えておりますので、仮に法施行後となったとしても、この許諾料が増えるということにはならないんじゃないかというふうに考えております。

○亀井委員 すみません、確認ですけれども、それでは、そのJAが負担する金額が、例えばこれ、3年当たりの許諾料が100万円として、それが新たに発生するということで、けれども、例えば、じゃ、1苗当たり250円の種苗が、それが多少上乗せされて300円になりますとか、そういうようなことなのか、そうではないのか。

 ちょっとそのあたり、もう一度お願いできますか。

○太田政府参考人 お答え致します。

 今現在で100万円を払っている場合であれば、法施行後も同じ100万円だということになります。それで、その100万円の許諾を得て増やしているわけでございますけれども、その量が変わらないとすれば、それぞれの中に含まれている許諾料相当分というのは変わらないということになります。

○亀井委員  では、今現在も、登録品種を他県で自家増殖するわけですから、その権利を農協が100万円程度支払って買っていて、そういうところであれば、もう既に支払って、今までもやってきているのだから状況は変わらない、そういう御答弁ですね。

 それでは、農家側の誤解もあるのかもしれませんけれども、確かに。ただ、私がやはり不安に思うのは、そうやって県主体で、県の農業試験場が開発した種子で、JAを通して提供されてきたものですけれども、その権利が先程申し上げたように民間の企業に移ってしまった時というのは、やはり今までのように安価に増殖できるようなことにはならないんじゃないだろうか、許諾料が上がっていくんじゃないだろうかという不安はどうしても残るんですね。

 だから、今回の種苗法の改正というのは、直後には仮にそう影響がなかったとしても、将来的に、やはり登録品種も増え、民間が権利を所有する種子が増えるのではないだろうかという不安が拭えないということだと私は思っております。

 それで、次に、自家増殖禁止といっても、例外品目をなぜ設けなかったのかというのが大きな疑問です。

 先程有機栽培の例も出ました。有機栽培については、これも農水省のホームページにあったものですけれども、有機JAS規格というのは、原則的に有機栽培由来の種苗の使用が必要で、それで、譲渡、交換や購入によって入手できない場合、または購入できても著しく高価な場合、しかも自家採種もできない場合に限り、慣行栽培由来の種苗を使用することが可能と書いてあるので、自家採種前提なんですよね、有機栽培というのは。

 今、日本が農産物を世界に輸出していくことを強化していて、その際、特にヨーロッパなどは農薬の規制も厳しくなり、有機栽培の作物がかなり人気が出てきていて、日本もその分野に力を入れましょうと言っている時に、この有機作物のところも例外にしないで、自家増殖は一律禁止ですよとすることの意味がよくわからないんですけれども、矛盾していないでしょうか。お伺い致します。

○野上国務大臣 有機栽培についてのお尋ねでありますが、有機農業者でありましても流出のリスクということは変わらないため、自家増殖の許諾の例外とすることは適切でないとは考えておりますが、しかしながら、有機栽培、有機農業者、自然農法に取り組む、これは非常に重要な取組だと思います。この農業者については、従来から栽培される一般品種の利用が多い、農水省が実施したアンケートでは9割が一般品種であったということでありますが、一般品種の利用が多いため、通常の農業者よりも影響は小さいと考えております。

○亀井委員 有機栽培、やはり変な種を増殖しても意味がないので、優良な登録品種を自家増殖して栽培している農家というのは普通にあるわけでして、国がこれから有機栽培に力を入れましょうというのであれば、私は、この有機作物というのは、自家増殖、許諾制にして原則禁止という、そこから例外として外すべきだと考えます。

 もう一つ、今日お配りした資料2枚目に、これは農水省からいただいた資料ですが、主要先進国における登録品種の自家増殖の扱いで、どこの国も例外を設けております。例外作物のところをご覧いただきたいんですが、飼料作物、穀類、バレイショでしたり、豆類でしたり、ざっと見ると、その国の主要農作物ですね。

 こうやって例外作物が設けられていて、米国のところだけ横線が引っ張ってあります。部会で質問した時に、日本は例外作物はないんですか、どのパターンになるんですかと聞きましたら、米国パターンですと言われたんですね。米国は横線が引いてあるので、一切例外作物がなくて、日本も一緒ですというような感じで説明をされたんですが、私、やはり農水省の説明というのはすごく不誠実だと思います。

 米国のところを見ますと、上の植物特許は自家増殖を認めていないですが、下の品種保護法は自家増殖を認めています。この中身について、私は調べてみました。それが、お配りした3枚目の資料です。

 3枚目の資料の右側の表を見ていただきたいんですが、ここに法律が3つ並んでいます。左から植物品種保護法、植物特許法、特許法とあります。

 それで、簡単に申し上げますと、もともとは、植物というのは知的所有権の対象ではなくて、植物品種保護法と植物特許法、この二つの法案でカバーされていたそうです。

 そして、上から3番目、保護される植物の種類で、植物品種保護法のところは有性繁殖植物及び塊茎植物。これはつまり、雄しべ、雌しべがあるような繁殖植物、それから、塊茎植物というのは芋とか根菜とか、そういうものは植物品種保護法の管理の下にあるので、この法律に基づくと、自家増殖は今でもできます。

 それで、その右、植物特許法の下には無性繁殖植物というのがあって、これは自家増殖は禁止されているんですけれども、実はここからバレイショとキクイモだけは例外品目として外されています。

 それで、一番右、一般特許、これは、もちろん自家増殖は禁止でして、1980年の米国の判決で初めて、生物体が、一般特許が認められました。

 それですので、一般特許で出願をされている、そして認められた登録品種でない限りは、すべて、左二つの植物品種保護法と植物特許法のもとに入りまして、そして、植物品種保護法の方で主要農作物などは全て自家増殖は認められておりますので、2枚目にお示しした農水省の資料で例外がないかのように見せているというのは、非常に私は不誠実だと思います。

 ですので、つまり、何にも例外品目をつくっていない、有機農作物も例外でもない自家増殖の禁止という法律というのはかなり異例だと思いますけれども、どうして一切の例外品目をつくらないのでしょうか。これは大臣に伺います。

○太田政府参考人 お答えを致します。

 米国の仕組みをまず簡単に申し上げます。

 米国では、果樹などは植物特許法でございます。そして、穀物、優良作物は植物品種保護法でございます。植物品種保護法は、おっしゃる通り、自家増殖につきまして育成者権は及びません。このため、大豆、菜種のようなアメリカの主力作物につきましては、先ほど言われたような工業特許の方で保護をしておりまして、工業製品と同様に特許法に基づき特許を取得して、自家増殖も含めてコントロール下に置いているということでございます。

 それで、どうして例外品目をつくらないかということでございますけれども、我々が、今、今回提出させていただいた法につきましては、例えば、何か特定の品目について例外を設けますと、それは、その品種自体、そのすべてについて特に守らないでいいというようなことを意味するということにもなりますし、それから、今回、海外流出につきまして、流出を何とか止めようということで法案を出しておるわけでございますけれども、海外流出を防止しようとする品目が現在ないとしても、将来優良な品種が開発されるということがありますし、それから、同じ一つの品目の中でも、品質を管理して徹底的にブランド化をしようという品目もあれば、それから、新たな病害に対応するために迅速に広範に普及をさせようという品目もあるわけでございますので、こういったことも含めて、一律にということではなくて、許諾下に置いて、必要なものは許諾をし、普及が必要なものにつきましては許諾を与えるというような方向で持っていこうということでございます。

○亀井委員 すみません、何だかよくわかりません。

 そして、これは大事な質問なので私は大臣に伺いたいんですけれども、先程申し上げています通り、有機作物を推進しようとしている国の方針を考えた時に、そして他国は主要農作物などを外している中で、どうして全く例外品目のないこういう法律が出てきたのか私は理解に苦しむんですけれども、大臣、いかがお考えでしょうか。

○野上国務大臣 有機農業者の話につきましては、先ほど御答弁申し上げましたが、流出のリスクが変わらないために、自家増殖の許諾の例外とすることは適切でないというふうに考えております。一般品種の利用が多いということも申し上げた通りでありますが。

 それで、自家増殖できる例外品目を設けることについては、今局長も答弁しましたけれども、やはり一つの品目の中にもいろいろなブランドがある、色々な用途がある。ブランド化を推進していくものもあれば、迅速に普及をさせていく必要があるというものもある。ある品目に属する品種を全て一律の扱いにすることは適当でないということがあります。

 それから、海外流出を防止すべき優良な品種がない、そういう品種であっても、将来これが優良な品種になる可能性もあるわけでありますし、海外流出をさせてもよいと受け止められかねない、例外品目を設けた場合に海外流出させても受け止められないということもありますので、適切ではないというふうに考えているわけであります。

○亀井委員 時間ですので、また次回質問させていただきますので、この件は続きをやりたいと思います。

 以上です。

【参考人質疑】

○髙鳥委員長 次に、亀井亜紀子君。

○亀井委員 立憲民主党の亀井亜紀子でございます。

 今日は、横田参考人、印鑰参考人、お時間をいただきまして、ありがとうございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 まずはじめに、農家でいらっしゃる横田参考人にいくつか伺いたいと思います。

 先程印鑰参考人のお話で、「国内の農家が海外流出の原因ということになるが、その明白な証拠は出されていない。国内の農家にとっては全くの濡れ衣以外の何ものでもない。」と資料にもありましたが、まさに、今日午前中、この種苗法について審議入りをしたんですけれども、農家が自家増殖をするということと、種苗が海外に持ち出されるということが、一体どう直接的に関係があるのかということが論点になりました。まさにこの点が我が党でも非常に大きな議論になっているところです。

 農水省曰く、許諾制にすると、許諾を与える時に、これは海外には持ち出してはいけませんよというように念押しできるようになるので、抑止力になるのだというんですけれども、でも、法改正したところで念押ししかできないのであれば、たいして変わらないと思うわけですね。ですから、本当に必要なのは、やはり品種登録を海外でも進めるということしか流出を止める方法はないのではないかと。

 つまり、はじめから苗を流出させようと思っている人は、わざわざ許諾を求めずにこっそりやるわけですから、結果として、これは正直者がバカを見る。正直な農家は許諾をとって許諾料を払って栽培をするのだけれども、はじめから悪意がある人はやはり持ち出してしまうから、正直な農家がバカを見る法律じゃないかなというふうに我が党では今議論しているところです。

 そこで、農家である横田参考人に伺いたいんですけれども、自分達が真面目に、経営上、自家増殖して栽培していることに対して、何か海外流出と結びつけられて言われる、もともと歴史的に自家採種することは農民の権利だと思いますけれども、そこに踏み込んできて、自家増殖は原則禁止であると、登録品種に関してですけれども、そう言われることに、何かちょっと違和感ですとか心外だと思われることはありませんか。

○横田参考人 御質問ありがとうございます。

 非常に答えるのが難しいなと思うんですけれども、文句を言われたらそれは困ったなと思いますけれども、でも、僕は今回のこの議論はすごく重要だなと思っています。

 私も、一方で、全国稲作経営者会議というお米農家の全国組織にも所属していて、若手の会なんかも、私は以前部会長なんかをやらせてもらっていたことがあるんですけれども、そういうメンバーと話をしていても、やはり、普段我々、一番重要な種の部分に意識がちょっと薄いというか、そういうことの問題意識がちょっと低いようなところがあったので、今回のこの議論をきっかけに、それがすごく高まったという意味で、僕は今回の議論はすごくよかったなというふうに感じています。

 例えば、稲作経営者会議で私も部会長をやっている時に、海外の米事情を色々みんなで調査に行ったんです。そうすると、やはり、海外で、現地で生産された、例えばコシヒカリとかと書いてある品種というものが売っているわけですよ。本当かどうかはわかりません。だけれども、そんなことも売られている。僕らはそれを見て、これは何なんだと思うわけですね。

 先程おっしゃったように、例えばそれは農家がこっそり持ち込んでいるのかどうかわかりませんけれども、そういうものを見て、僕らはやはり愕然とするわけです。今後は海外に輸出していく、じゃ、そのコシヒカリか何かわからないものと日本から持っていくもので勝負しなきゃいけないとかということになると、これは何なんだろうなと思ってしまいます。

 やはり、そういう意味で、我々、まず農家が意識を高めなきゃいけない。そういうことによって、今回のこれをきっかけにそういうことが起こるでしょうし、先程言った、正直者がバカを見るのかもしれませんけれども、でも、やはり業界全体としてそういうものをしっかりやっていかなきゃいけない。もし何かそういうものを見つけたら、これ、ダメなんじゃないのということをしっかり言える体制になるというのは僕は重要なのかなというふうには感じています。

○亀井委員 正直な御意見、ありがとうございます。

 もう一つ、じゃ、横田参考人に伺いたいんですけれども、午前中の質疑の中で、登録品種を自家増殖している農家というのはどのぐらいあるんだろうかという、そういう質問があって、農水省の方はほとんどありませんというような答弁であったと思います、後で議事録を確認しますけれども、そう多くはないよというようなニュアンスの答弁でした。

 一方、2015年に農水省がアンケートを行っておりまして、農家に自家増殖についてのアンケート調査をして、その時に、農家の52.2%は登録品種の自家増殖をしていると。その理由として、生産に必要な種苗を確保するためが34.6%、それから、種苗代金を節約するため、これが30%とあったんですけれども、横田参考人の感覚的なものとして、登録品種を自家増殖している農家というのはやはりその程度はあるだろうと思われますか。

○横田参考人 感覚でいうと、自家増殖している人は比較的多いのかなと。ただ、米の場合は、注意が必要なのは、例えば横田農場も、8品種、正確に言うと10品種ですけれども、つくっていますけれども、すべて均等の割合でつくっているわけではなくて、やはり従来から浸透している一般品種の作付の割合が高くて、これから新しいものを導入しようということで、少し、登録品種、新しい品種もつくっています。だから、品種は1品種、カウントしてありますけれども、じゃ、面積とか作付の規模とかで考えたときにそれがどれぐらいの割合かというと、低いということなのかなという印象は持っています。

○亀井委員 それでは、次の質問はお二人にしたいと思います。

 今日私は午前中の質疑の中で、なぜ例外品目をつくらないのかという質問をしました。つまり、自家増殖を一律に禁止すること自体、私はおかしいと思っていますけれども、それを百歩譲って、原則自家増殖を禁止にしたとしても、海外のように例外品目というのをなぜつくらないのですかという質問をして、まだ私は理解できる答えを得ていません。

 海外の事例として、主要農作物、ですから、穀類であったりバレイショであったり、そういうものが例外になっている。だから、日本であったら、米、麦、大豆ですとか。あと、自家増殖が当たり前に、それが前提で栽培されているようなものですとか。あと、もう一つ大事なのは有機栽培です。その有機栽培というのは、自家増殖、自家採種が前提として栽培をされているので、なぜそういうものを例外として指定をしないんですかという質問をしたんですけれども、それについてどう思われますでしょうか。例外を設けてほしいというお気持ちはありますか。お二人にお伺い致します。

○横田参考人 大変申し訳ないんですけれども、私は米以外はつくっていないので、ちょっと米以外の感覚を持ち合わせていないので、うまく答えられるかどうかわからないんですけれども、私の感覚でいうと、やはり農家自身が、これを守っていかなきゃいけないね、こういうちゃんと日本の品種を、それは我々が使う大切なものだから守っていかなきゃいけないねという意識を高めるという意味でいうと、これはいいよね、これはダメよねというよりは、原則、基本的に例外をつくらずに全部守っていくんだという姿勢は、そんなに間違っていないのかなという印象は持っています。

○印鑰参考人 特に有機の農業にとっては、自家増殖は不可欠なものになるわけですね。

 といいますのは、例えば登録品種を使う場合ですと、登録品種、無農薬の種というものは今の日本の制度の中でほとんど確保されていませんので、1回それを自家増殖することによって初めて有機農業に適した種がつくれるわけです。

 だから、これは、有機農業の種をつくるためのものは例外にするということをやらなかったら、日本の有機農業はダメになっちゃいますよね。その例外をつくっていないというのは、もう決定的にこれはまずいと思います。

 これは、有機農業というのは世界が向かっています。この20年間に世界では、もう5倍以上に市場が増えているんですね。それが日本で、日本は今、109位とか、面積比で98位とか、そういう世界の後ろに行ってしまっているわけです。日本は、有機農業のパイオニアであった国がそんな状態になっているというのは、これは本当に今回の中で大きな問題になると思います。そのような意味でも、この種苗法の中で例外を設けなきゃいけない。

 それから、後、例えばオーストラリア政府の知財局のページを見ていただければいいんですね。ファーム・セーブド・シーズというんですけれども、つまり、自家増殖に関して、これは基本的に人類が何千年もやってきたエッセンシャル、もう本質的なことですと書かれているんですね。そしてこれは、一番強調されているのは生存に不可欠だと。

 だから、まず、この問題というのは、何よりもこれは生存の問題なんですよね。食料安全の側からこの自家増殖というものは認められるべきだ、こういう項目があっていいんですけれども、それすらないというのは大きな欠陥ではないかなというふうに思います。

○亀井委員 ありがとうございます。

 午前中の政府の答弁では有機農業も例外ではないというようなことでしたので、一方で、国は今、有機農業を、日本の農産品を輸出するという意味で、そちらに力を入れていきたいという方針ですから、そこは矛盾するのではないかと。なぜその例外にしないかということは午前中も本当に何度も質問したところでして、もう少し、また政府に確認をしたいと思います。

 それから、これは印鑰参考人にお伺いしたいんですけれども、先程の資料で、外国法人の育種者登録のペースがふえているという資料がありました。それについてなんですけれども、資料の17のページのところですよね。「2017年新規登録の36%が外国をベースとした育種者。」とあります。

 それで、また午前中の質疑に言及しますが、我が方の篠原委員が資料を出しまして、2017年に種苗法が改正をされた時に、禁止品目、自家増殖禁止をする品目が拡大をされたと。この年から禁止品目の登録の数がふえてきて、2017年は289種、2018年356、2019年387、2020年396と急激に増えているわけなんですね。この急激に増えているのと、外国をベースとした育種者の登録が増えているというのはちょうど重なっているので、この増えている部分というのは外国ベースの育種者が登録をしていると考えてよいというか、その影響が大きいと思われますか。

○印鑰参考人 今、この外国企業が増えているものに関してはお花に集中しているんですね。お花そのものは早くからもう禁止の対象になっていますので、そこは必ずしも一致しないのかなと思います。

 それ以上に、今これから、様々な野菜であるとか、これまで野菜は入っていなかったんですけれども、野菜もほとんど急速に、ほとんどの、ニンジン、ホウレンソウ、そういうすべてのものが入ってしまいました。それは非常に大きな問題ではないかなと思います。

○亀井委員 ありがとうございます。では、注意して見ていきたいと思います。

 後もう一つは、今回の改正の中に特性表の導入というのがありまして、農家が知らずに、在来種だと思い、一般種だと思って栽培をしていたけれども、それとそっくりの登録品種があって、特性表をもとに、並べて栽培したら同一のものと判断され、それで訴えられるのではないか、そういう心配の声が上がっております。これについては私も政府に確認をしていきますけれども、過失か故意か、故意ということを証明できなければ罰せられないということではあるんですけれども、ただ、これによって農家が萎縮をして、在来種の数が減っていくようなそういう影響はあると思われますでしょうか。時間が来てしまったので、じゃ、これは印鑰委員に伺って終わりにします。

○印鑰参考人 萎縮効果はあり得ると思うんですね。この制度で一番問題なのは、従来までは裁判所で証明されるものが、農水大臣がこの特性表を見て判定できてしまう、その判定に対して異議があったとしてもどのようにできるのか、こういったことに関して全然わからない状態になっています。これではやはり、そういう、今、在来種が多くありますので、それをつくっている農家の方は不安になると思うのは間違いないんではないかなというふうに思います。

○亀井委員 時間になりましたので、終わりに致します。

 両参考人、ありがとうございました。

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