令和2年4月15日 衆議院地方創生に関する特別委員会議事速報(未定稿)
○山口委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。亀井亜紀子君。
○亀井委員 立国社共同会派の亀井亜紀子でございます。
今日は、採決の前に一般質疑の時間をいただきました。ありがとうございます。
スーパーシティー法案について、私はまだ質問し足りないことがございますので、それに時間を使わせていただきます。
我が会派、このスーパーシティー法案の法案審査に至るまで、非常に時間がかかりました。なぜかと言いますと、法案審査に必要な情報が揃っていない、資料が揃っていないということで、メンバーから大変不満の声が噴出致しました。そこで、内閣府に資料の提出をずっと要求しておりまして、ようやく、先週、このスーパーシティー法案の検討経緯についての資料が出てきて、昨日、どんなことが検討されたのかという議事録も御提出をいただきました。
この間、何を揉めていたのかと申しますと、昨年、スーパーシティー法案は一度国会に提出をされているわけですが、それが廃案になって、今年また出し直されました。その間の1年間にどんな議論があったのか、前の法案は何が問題であったのかということが私達の疑問の一つでした。
先日、この委員会でそれについて質問した人がありましたけれども、その辺についての御答弁は、国会の会期末近くに提出されたということ、それから、今後また色々な要望が出てくると思われたので、一度廃案にしましたということでしたけれども、私たちはそれでは納得がいきませんでした。そして、ようやく、どういうことであったのか見えてきました。
今日、資料をお配りしております。
まず、これはもともと聞こえてきたことではありますけれども、以前の法案は、憲法九十四条に抵触するのではないかという指摘があったということです。それは、地方公共団体は、法律の範囲内で条例を制定することができるという部分に抵触をすると。はじめは、スーパーシティーで大胆な規制緩和をして、ミニ独立国家をつくるのだというような勢いで考えていたけれども、それはできないということで、検討をし直したのであろうと思います。
そこで、この1枚目の資料ですけれども、真ん中のところ、四角で囲ってある、6月7日に最初の法案、閣議決定、国会提出をされて、これが廃案になった後、9月の7日の会議のところから、スーパーシティ/スマートシティの相互運用性の確保という言葉が出てまいります。つまり、ここまではスーパーシティーという言葉単独でしたけれども、ここからスーパーシティー、スマートシティーの相互運用性、一体的にということで、方向が変わってまいります。
つまり、スーパーシティーとスマートシティー、どう違うのかと思っていたんですけれども、従来のスマートシティーではなかなか事業が進まないので、今回の法改正でスーパーシティーというものを別にまた認定をして、そこでは大胆な規制緩和を行う。そして、そこで行った規制緩和については、既に進んでいる各自治体でのスマートシティーにもその規制緩和を適用していくのだということで、一体にする。つまり、トップダウンで色々な規制緩和のルールが下りてくるということではないかなと思いますけれども、そうなりますと、国と地方の関係性、地方自治の独立性を大きく変える可能性も出てくると思います。
そこで、今私がこの法案を理解した、それを、考え方、経緯は正しいかどうかということと、それから、地方制度調査会等の開催をして地方の意見は聞かれたのかどうか、参考人の方にお伺い致します。
○村上政府参考人 お答え申し上げます。
まず、前回法案との違いの点でございますが、確認的に申し上げますと、前回、通常国会で提出を致しましたスーパーシティー関連の法案の中でも、区域計画に記載されたデータ連携基盤整備事業者が、先端的サービスの実施に活用するため、国、自治体、独立行政法人等の公的団体に対しても保有するデータの提供を求めることを認める、この一つの柱、それからもう一つは、複数分野の規制改革を同時一体、迅速に実現する仕組みを導入する、この骨格は前回と変化がございません、そのままでございます。
ただ、当時は、廃案処理をした時点で、留学生のスタートアップビザという議論が一つございまして、これが法律事項になるかどうか、まだ法制局との間で結論が出ていないという状況でございました。それから、特区民泊の制度につきまして、地方公共団体の方から、欠格事由の創設ということをそろそろ現場でやっていただかないとしんどいけれども、これは法律事項になりますというお話があったということで、この二つの候補が見えていたものですから、その他の可能性も含めて、廃案処理に致しませんと、次に法案を出す時にこれらの事項を含められなくなりますので、それも含めて、一旦廃案処理にしたということで、お願いをしたということでございます。
ただ、留学生のスタートアップビザの方につきましては、その後、運用でできるということが判明を致しましたので、今回の法案でもスタートアップビザの方は落ちまして、特区民泊の方の欠格事由の方が追加の形になっている、これが一つ目でございます。
それから、前回、通常国会で法案が廃案になりました後、今先生にも御指摘をいただいた、都市間の相互運用性の確保のための技術的な要件ということをこの際追加をしてはどうかという御意見を賜ったことと、それから、各府省で実施しているスマートシティー施策との連携を強化すべきだというところを、この際、時間があるのであれば踏み込んだらどうか、こういうこともございまして、それにつきましての検討を行い、そのうちの技術的な部分については、御指摘の検討会もやらせていただいて、お答えをいただいた上で、改めてその部分を追加したというような形で、スーパーシティー法案についての一部連携若しくは技術的要件についての条項の追加と、それから旅館業法上の欠格事項の追加ということで出させていただいているところでございます。
なお、もう1点お尋ねの、地方制度調査会の御意見を伺ったかどうかという点でございますけれども、本件につきまして、本法は、確かに、複数の最先端技術を活用したサービスを実現するために、複数の異なる規制の特例を同時一体、迅速に措置するための特例的な手続を設けているというところは変わらず、事実でございます。
ただ、結果と致しまして、従来にも増して、国の側に検討を自治体側の要望により急がせることはあっても、結果として、国の法令の枠の中でやりますと。いわば、当初、色々なことで言われておりました、政省令が国の法令を上書きするというようなことがあれば、それは国と地方の基本的な関係を変えかねないということになろうかと思いますが、国の法令と地方自治が、従来から認めてきた関係性の中で、そのスピードアップを手続上図るということになりましたものですから、基本的には、地方の行政体制のあり方について基本的な変更を求めるものではないだろうということで、今回は地方制度調査会の意見は伺っていないということでございます。
以上でございます。
○亀井委員 時間がないので、今日はどんどん行きます。
次、トヨタのスマートシティー構想について伺います。
本当は、参考人としてこういった企業の方に来ていただいて、どんな未来都市をつくられるのか聞いてみたいと思っていましたが、このような緊急事態宣言下ですので、それができなくて大変残念です。
このトヨタのスマートシティー構想ですが、特にスーパーシティーの事業の要望は出ていないということで、この法律がなくてもこの構想は進められるというふうに聞いておりますけれども、それは事実でしょうか。
また、その理由として、これは、新規開発、いわゆるグリーンフィールド型ですから、トヨタが、工場跡地、自分の土地で色々な実証実験をする分には、私有地でありますから、道路交通法であったり、色々な制限を受けることがないというようなことで特に要望が出ていないのだろうかと想像したりもしておりますけれども、この辺りについて政府参考人の方にお伺い致します。
○村上政府参考人 お答え申し上げます。
トヨタさんがウーブン・シティというお名前で、報道にも言われております通り、未来社会の暮らしの実現を目指すという取組を静岡県の方で企画をされているということについては、報道を通じて承知をしてございます。
色々お話は間接的にはいただいてございますけれども、ただ、報道以上のことは、正直に申し上げまして、詳細は我々も承知をしていないという意味では、自動車業界と通信業界、日本を代表する企業同士の資本提携ということも含めて、大変注目をしている事案であるのは事実ですが、具体的な話はまだ進んでございません。
ただ、1点、お尋ねのありました私有地だからということでございますけれども、例えばでございます、道路交通法の規定でいえば、私有地の中であれば道路交通法の道路の規制が入らないかということで言いますと、第三者の往来が激しく入ってくるようなところにつきましては、道路としての規定が入るような状況が例えばございます。それから、例えば建築基準法の関連のようなものであれば、それは私有財産であってもなくても共通にかかる規制もございます。
そういう意味では、想像ではございますが、トヨタさんの取り組みも恐らく、やろうとすれば多くの規制改革事項を必要とされるのではないかということではございますけれども、いずれにせよ、私共、裾野市さん等がどのように考えておられるか、裾野市さんが関係事業者とどういう話をされているか。自来、御質問いただいていますが、我々、企業ありきでこの話を進めてございませんので、まずはその辺、地元の自治体さんからどういう声がかかるのかということを踏まえて、相談にはいつでも乗りますよということでお待ちをしている、こういう状況でございます。
○亀井委員 先日、個人情報保護法との関係についても質問させていただきました。グリーンフィールド型の場合は、そもそもこの実証実験に参加したいという同意をした人がその地域に、区画に移り住んで未来都市の実験が始まっていくのだと考えられるので、そういう点では問題が少ないのかと思います。ただ、これが今実際に人が居住している自治体でやりますということになると、住民の色々な意見がありますから、これは慎重にしなければいけないのではないかと思っております。
では、次の質問に移ります。
スーパーシティ法案の検討経緯について
今日お配りした資料の2枚目、3枚目でございます。
2枚目は、先日も私が触れましたけれども、スーパーシティー構想の実現に向けた有識者懇談会の名簿です。座長は、申し上げました通り、竹中平蔵さんです。
そして、その次のページが今現在のパソナのホームページ、トップページから取ってまいりました。今日現在も竹中平蔵さんはパソナの会長をされています。
そこで質問なんですけれども、先日、養父市でオリックスの子会社が事業認定されたということについて、私は竹中平蔵さんがオリックスの社外取締役であることも指摘して質問致しましたら、その事業認定されたころは彼は役員ではなかったという御答弁でした。ただ、私が申し上げたいのは、直接的にその事業認定に関わったかどうかということではなくて、利害関係者がこういう有識者の懇談会の座長になるということ自体というか、このメンバーに入ること自体が問題じゃないですかということなんです。規制緩和をする側とその規制緩和によって利益を得る側が同じところにいてはいけない、そういう問題意識で私は指摘を致しました。
そこで質問です。
今まで認定された国家戦略特区、10ヶ所ありますけれども、その中でパソナグループに認定された事業数とその場所について、また、私が今申し上げた通り、利害関係者がスーパーシティーの有識者懇談会の座長の座にあるということは問題ではないかと私は強く思いますけれども、大臣の御見解をお伺い致します。
○北村国務大臣 これまでの区域計画では、株式会社パソナグループ及びその子会社が実施主体として認定されたものはございません。
御指摘の有識者懇談会では、スーパーシティーに関して、国際的な動向をはじめとする優れた識見をお持ちの委員の方々に、スーパーシティー構想の企画立案に貢献していただいておると認識しております。
また、本有識者懇談会はスーパーシティー構想を実現するための制度のあり方を議論するものでございまして、その成果は、すべてのエリアや事業者に等しく活用の機会が開かれることになると存じます。
このように、本懇談会は特定の事業者を選定するなどの利益処分を行う場ではないことから、特定の事業者と利害関係を有する委員を除外する必要はないものと考えておるところでございます。
○亀井委員 私は、特定の企業と利害関係のある人間というのは有識者の懇談会には入れるべきではないと思います。いくらでも利害関係のない人で専門家はいるわけですから。
この国家戦略特区の問題点は、いつも同じような名前が出てくるということ、そして、その人達は選挙で選ばれたわけでもないですし、その選定過程が不透明であるということが大きな問題になっているわけで、私は、竹中座長は再来年まで任期があるというようなことを先日御答弁で伺いましたけれども、変えるべきだということを強く申し上げて、次の質問に行きたいと思います。
次は、この国会に個人情報保護法改正案と特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律案が出ております。この二つの法案はスーパーシティー構想と関連しているのではないかと私は思っています。
個人情報保護法の改正は、自治体が保有する情報等を加工して、ビッグデータとしてプラットフォーマーに提供することを促進するため、また、特定デジタルプラットフォーム法案は、スーパーシティーに参画するプラットフォーマーを特定し、国の関与等を必要最小限のものとするためであるのではないかと私には思えるのですけれども、政府参考人の方の御答弁をお願い致します。
○村上政府参考人 お答え申し上げます。
今回の個人情報保護法の改正につきましては、技術革新を踏まえた保護と利活用のバランス、両方の観点から個人情報保護のあり方を見直すものということで担当部局から話を伺っております。
例えば、そのうち、仮名加工情報の規定につきましては、これは、民間事業者が内部での分析等のために使用することが前提となっている規定でございまして、原則、仮名加工情報を第三者へ提供することは想定されていないという条項でございます。
従って、今般の個人情報保護法の改正条項部分自体が、地公体が保有する情報の加工とデータ連携基盤に対するその提供を促すということはないのではないかというふうに、私共、勉強させていただいて、そのように理解をしているところでございます。
それから、特定デジタルプラットフォーム法案の方でございますけれども、こちらにつきましては、特定のデジタルプラットフォームの提供者とこれを利用する中小企業との間の取引の透明化、公正化、ある意味BツーBの部分を主として見ておられるというのがこちらの法案というふうに理解をしてございます。
これに対しまして、スーパーシティーにおけるデータ連携基盤の方は、様々な生活者向けのサービスを提供していらっしゃる方のサービス間でのデータの連携、活用というところにフォーカス、ある意味BツーCのところを見てございまして、そういう意味では、結果として見ると、御指摘のような類似している側面があるのかもしれないなということは、御指摘をいただいて、我々も勉強させていただきましたが、基本的には、両者は対象とする事業と内容のフォーカスが異なっておりましたので、実は、立案過程でも我々は特段、特に意見交換等はしないまま、それぞれ独立に進んできた、こういう経緯がございます。
いずれにせよ、特定デジタルプラットフォーマーは、御指摘のように、データ連携基盤への国の関与を必要最小限とするためのものではない、逆に言えば、我々はちゃんと区域会議の構成員の一員としてしっかりと寄り添っていくという覚悟でございますので、いずれにせよ、個人情報保護法令を始めとした関係法令の徹底遵守は、これらの法案の改正若しくは制定とは関わりなく、しっかりとやらせていただきたい、このように考えているところでございます。
○亀井委員 今後、スーパーシティー構想がどのように進んでいくのか、どのような計画が出てくるのか、それはわかりませんけれども、残念なことに、プラットフォーマーというのが外国企業に独占されております。日本独自のシステムがないので、構想を進めていく段階で海外のプラットフォーマーが構想に入ってくるということが十分考えられます。その点で、やはりトロントなどで住民の反対が起きているのではないかと思います。
私達の情報が海外のプラットフォーマーにとられていくような、そういうことは私は問題ではないかと思っているんですけれども、大臣の御見解を伺いまして、質問を終わりに致します。
○北村国務大臣 データ連携基盤の整備を外国企業が行う場合でも、国内で個人情報を取得又は使用する場合に限り、我が国の個人情報保護法に基づいて法的責務が生じることに変わりはございません。
また、データ連携基盤整備事業に求められる安全管理基準の適用も、国内、国外のいずれの事業者にも等しく遵守が求められるとなるものであり、また、誰がデータ連携基盤整備事業者になるにせよ、自治体が管理する住民情報をデータ連携基盤整備事業者に提供するか否かは、各区域会議が判断することになります。且つ、その住民情報に個人情報が含まれる場合には、当然ながら、個人情報保護法の規定に基づきまして、対象となる住民の同意等を求めていただくこととなると存じます。
いずれに致しましても、国内、国外の事業者のいずれに関わらず、住民にとって魅力あるサービスを構築することが第一であり、住民の意向も常に確認しながら、よりよいサービスの実現に向けて、内閣府としても、地域の皆様方と共にしっかりと取り組んでまいりたいというふうに存じておる次第でございます。
○亀井委員 ありがとうございます。
それでは、質問を終わります。