活動報告(ブログ)

2019年3月19日(火) 衆議院地方創生に関する特別委員会

【3/19衆議院地方創生に関する特別委員会】
片山地方創生担当大臣の所信表明に対する亀井亜紀子の質疑を、以下ビデオライブラリーにてご覧いただけます。
<案件>第4次産業革命・スーパーシティ構想、少子化対策・人口減少、教育・文化と地方創生、地方大学・地域産業創生交付金
http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=48850&media_type=

平成31年3月19日 衆議院地方創生に関する特別委員会議事録(文責:亀井事務所)

○松野委員長 次に、亀井亜紀子君。
○亀井委員 おはようございます。立憲民主党の亀井亜紀子でございます。
人口減少が進む過疎地、島根県を地元としておりますので、この地方創生のテーマについてはたくさん申し上げたいことがございます。きょうはよろしくお願いいたします。
初めに、大臣所信の文章から1つ質問いたします。
実は昨年もこの委員会で大臣所信についての質問をして、規制のサンドボックスとは何ですかと、片仮名がよく政府の文書に使われますけれども、そういう質問をいたしました。
ことしも、国家戦略特区のところのこのパラグラフがすごくわかりにくいんですね。国家戦略特区、岩盤規制改革をスピード感を持って進めていく、ここはいいんですけれども、この次から、規制のサンドボックス制度を創設し、近未来技術の実証の加速を図るとともに、第4次産業革命を体現する最先端都市、スーパーシティー構想の実現に取り組んでまいります、これ、全然私はイメージできないんですね。
まず、加速している近未来技術、加速しているんですから、今現在、何かがあるわけですよね。その近未来技術の事例とはどんなものなんでしょうか。また、第4次産業革命、これは漠然とおっしゃっているのか、それとも、今あるこの技術が何かそういうものに発展していくという期待感があってのことなのか。また、最先端都市、スーパーシティー構想、これは何でしょうか。さらに、これが地方創生とどう関係してくるのか、どう役立つのかということについて、もう少し御説明いただきたく、お願いいたします。
○片山国務大臣 お答えいたします。
第4次産業革命とは何かということは、日本政府でも、未来投資戦略2018において、頭脳としてのAI、人工知能、筋肉としてのロボット、神経としてのIoTなど、人間の能力を飛躍的に拡張する技術に支えられるものであって、豊富なリアルデータを活用して、従来の大量生産、大量消費型の物、サービスの提供ではなくて、非常に個別化された製品やサービスの提供を通じて、さまざまな社会課題を解決できて、大きな付加価値を生むものというふうにしているんですが、この言葉を最初に考案されて世界的に広められた方が、シュワブ博士という方で、世界経済フォーラムを主宰されておられまして、先週来日されて、私も小一時間議論をさせていただきました。
まさにこの第4次産業革命の、第3次まではいわゆる機械化であったりコンピューター化だったりするわけですが、第4次が、違うところは今言ったようにいろいろありますが、この第4次産業革命の成果というのは、今までに比べて一番、あらゆる人に、地球的に見ればグローバルに、各国で見れば地域的にも、全ての人に裨益するという意味では、その可能性が最も高いということを強調をされておりました。
つまり、よくステークホルダー、これも片仮名で英語だからわかりにくいんですけれども、関係者です、関係者全部に行き渡りやすいという意味では、今、国民の半分が、昔では考えられなかった、高性能パソコンが事実上入っているアイフォンを持っているわけですが、そこでアプリ同士でもう既に展開できるという意味では、クラウド型ですから、そういう意味で、何が地方創生に役立つかということを体現しているのが、ある意味「スーパーシティー」でございます。
バルセロナで行われていることは、ごみの収集管理がもう自動的にできます。お年寄りであっても、大変であっても、山の上でも。それから、交通渋滞、バスであったりあるいは救急車であったりの管理は、もう中国の杭州でできるというように、それに、さらに教育の遠隔化、医療、介護の遠隔化も踏まえますと、むしろ日本では、中山間地のクオリティー・オブ・ライフを下げないために極めて有用な技術ではないかということがあるので、人口減少、高齢化に悩む地域においてこそ役立つ取組で、住民合意に基づいて、こういう最先端技術を実際の暮らしに導入できるように、ワンショットで規制緩和が行われるようにする枠組みがスーパーシティーであるということで考えている次第でございます。
○亀井委員 ありがとうございました。
人口減少は始まっていて、間違いなく人間が減っていくわけですから、そこはテクノロジーでカバーしていくしか方法はないんだろうと思いますので、シュワブ博士ですか、その博士の主張というのをもう少し勉強してみたいと思います。ありがとうございます。
次の質問に移ります。
この委員会は少子化と切り離せない委員会だと思います。大臣所信でも最初に人口減少のことを触れられておりますので、少子化について質問したいんですけれども、昨今、少子高齢化という言葉にかわって人口減少社会という言葉がよく使われるようになったと思います。そして、何かまるで自然災害であるかのように大変だ大変だと、いきなりそれがやってきたような騒ぎ方をしているんですけれども、私から見ると、そんなことはわかっていたでしょうと思うんですね。
といいますのは、1.57ショックと言われた、これが話題になったのは1990年なんです。1989年の人口動態調査で判明して、1990年に大変だと、合計特殊出生率が1.57で大騒ぎになったわけです。1989年というのは平成元年ですよね。ことし、間もなく平成が終わろうとしています。つまり、平成の30年間、少子化は毎年叫ばれていたわけですけれども、そして対策も打ったはずですけれども、とめられなかった。ということは、一生懸命やったけれども少子化対策には失敗したんですよね。では、なぜ失敗したのかというところを見ないと、またその人口減少という言葉だけが躍って、同じことが続いていくだろうと思います。
そこで質問なんですけれども、片山大臣はずっと第一線でキャリア女性として働いていらっしゃいましたが、客観的に見て、一体、その少子化対策の何がうまくいかなかったとお考えですか。
○片山国務大臣 地方創生、規制改革、まち・ひと・しごととともに女性活躍、男女共同参画も所管しておりまして、大変毎日この問いは自問するところでございますが、出生数が過去最少になってしまった、自然増減もマイナスになっているという中で、歯どめをかけることが喫緊の課題ですが、かけ切っていないから今があるのでございます。
それはもう認めざるを得ないんですが、まさに委員御地元の島根県ですとか鳥取県のお話を聞き、また、鳥取の方は、私は着任して最初に行った地方の出張先なんですけれども、小さな自治体で社会増を実現されているところがありまして、非常に勇気づけられるんですが、何をやられたかというと、徹底的に若いカップルへの御支援をなさっていますよ。その受入れ、金銭的な部分も、住むところの部分も、あるいは地域全体でやわらかく温かく抱える部分も、お仕事も含めてですね。ですから、そこまでやれば、実際に人口比では驚くべき人口増と人口吸引パワーを発揮しておられます。
ですから、それが全国的に展開できれば、これはもう明らかに変わってくるのでございまして、それは、やはりまだ若者の経済的な安定感が確保されていない、長時間労働も4月からの働き方改革で解消されねばならないと思っておりますが、現実にはあるし、仕事と子育ての両立はまだまだ困難で、そのために、我々、10月からの無償化もやるわけですが、保育士が足りないということも、今現在、この瞬間ではあるわけですね。それから、教育費の負担も、これから10月にどどっと下げますが、負担がゼロになるわけではない御家庭もたくさんあるわけですから、そういうことの中で、更にこれを、財源と相談しながらではありますが、飛躍的に進めていくということで、島根や鳥取型の効果をどこまで全国的に生むことができるんだろうということがあるのが一つ。
それから、今、ワーク・ライフ・バランスを非常に重視される若い方が多いんですよ。我々の猛烈働き世代とは違いますね。そういうことを考えながら、地域にこそ、職住隣接で、子育てとエコの両立という意味でも、いい環境があるんだということをお知らせして、そういうところで子育てしませんかという形のUIJターンも、今回の補助制度と相まって、多少は効果を生んでいただけるのではないかと思っております。
また、団地の問題も、先ほども別の委員からも御質問がありましたが、職住近接型のまちづくりを行いやすくするような改正法案も出させていただいておりますので、そういったことの総合的なことを一つ一つ詰めていきますと、女性の本音に寄り添い切れなかったので、今必死に寄り添おうとしているところでございますので、まさに御地元の島根県の好事例が全国になりますように、委員からも御指摘を更にいただいて、これを第2期の戦略に生かしてまいりたいと思っております。
○亀井委員 ありがとうございます。
島根県に言及していただいて、大体どこのことをおっしゃっているのかわかります。例えば邑南町などはよい取組をしておりますし、その成果を上げている一つのやり方として、やはり、国から人口減少だと漠然と言われても、では、何に取り組んだらいいんだかわからないんですよね。地元では、ミクロに落とし込むことをやっています。
研究者で藤山浩さんという方がおられるんですけれども、彼などが地元を回って、もっと具体的に、邑南町のどこどこ地区で、例えば5年の間に何カップル、Iターン者をそこに入れたらこの集落は維持できます、現状維持はできますという具体的な、落とし込んだ数値を集落に伝えて、それに向かって動いているということがありまして、私はこの取組をもっと広げていくことが大事だと思います。
人口消滅都市、あの本が出て、それに対して、いや、そんなことはないよ、過疎が進んでいるところほどむしろ好転してきているんだという、そういう反骨精神で一生懸命やった部分もあるんですけれども、やはりミクロに落とし込んで、地域の人に現実的な、できそうな目標を示すということが非常に大事だということを申し上げたいと思います。
次の質問に移ります。やはり人口減少がテーマです。
当面、少子化対策がうまくいかず、30年少子化が続いたわけですから、人口減少していくのは避けられないわけですよね。それを見据えた上で政策を立てていかなければいけないんですけれども、果たして人口減少というのは悪いことばかりなのかということについて考えてみたいと思います。
大臣は参議院にいらしたので参議院のことをよく御存じだと思いますけれども、調査会があります。私も参議院を1期やっていましたから、当時、調査会におりまして、国民生活・経済という調査会で、2007年から3年間、人口減少問題について取り組みました。
幸福度の高い社会の構築というテーマで仮説を立てました。それは、人口減少によって1人当たり国民所得は高まり、国民幸福度も向上する、この仮説についてどう思うかということで、いろいろな参考人を呼んで御意見を伺いました。
残念ながら、この仮説を証明することはできなかったんですけれども、いろいろ来ていただいた参考人の中で私がすごく印象に残ったのが、先日亡くなられた堺屋太一さんでした。彼がお話ししたことを引用させていただきます。

少子化が1人当たりの所得を増やし豊かな世の中をつくるかどうかを検証すると、歴史の中ではいろいろな例がある。ヨーロッパで1340年から1500年までの間に人口の激減時代を迎え、そのとき幸せになった国と不幸せになった国がある。スペイン、フランス、イタリア、ドイツは人口が減るが、中でも激しかったのはイタリア半島である。ところが、イタリアでは、生産性の高い土地や都市に人口が集中し、1人当たりの生産額は増加し、文化的な支出が増大し、ルネッサンス文化の華が開いた。貿易が自由化されて、祭りも盛んになり、教会への寄附も増えた結果、ミケランジェロやダビンチが絵筆を振るうような輝かしい時代になった。同じく人口が減少したドイツでは、封建諸侯の力が強く、農民を農地に縛り付け、いわゆる農奴化する現象があったため、都市への流入人口が減少し、都市の商業が衰退し、経済全体が衰えた。以上のように、人口が減少しても、自由な移動と転職があれば経済、文化は発展するが、それがなければ経済、文化は衰退するであろうと言われている。

こういう指摘があったんです。
これを踏まえまして、果たして人口減少というのはそれほど恐ろしいものなのか。それとも、人口が都市に集中していることが問題なのか。
結局、江戸時代は人口は1億もなかったわけですから、ずっと少なかったわけで、でも、もっと日本全国に分散して、それぞれの藩で文化は開いていました。ですから、人口減少そのものが問題じゃないかもしれませんね。そういった観点で大臣はどのようにお考えでしょうか。
○片山国務大臣 人口減少につきましては、いいことか悪いことかということとは別の次元で、我が国においてはもうそれは所与のファクトでございます。日本の一番楽観的なシナリオを見ましてもふえる想定はございませんので、これは我々が直面するファクトでございまして、2014年12月に閣議決定させていただいたまち・ひと・しごと創生長期ビジョンにおいては、中長期展望として、2060年に1億人程度を維持することを展望として示して、人口減少の克服に向けて中長期にわたって地方創生に取り組む必要があるとしているのは、そういった意味でございます。
堺屋太一さんの御指摘ということであれば、あれだけ有名な方ですから、そういった考え、一つの理論として当然あり得ると思いますが、我が国は、人口の減少、つまり、疾病や戦争などで急に減ったということではなく、高齢化も急速に進展する中で人口減少でございますので、社会保障費が増大し、相対的に働き手の割合が減るということによる経済規模の縮小など、経済や社会全体に大きな影響が出ることは、これは否めません。それが幸福度とどうかということは議論はあるかもしれませんが、それは否めないので、やはり克服すべき課題だというふうに認識されるのは当然なことだと思っております。
また、過度な東京一極集中が、生活環境上の問題も、それから、今現在では地方よりも出生率が相対的にはっきり低い東京圏への人口集中の問題が全体の低下を及ぼしかねないということもある上に、我が国の場合は、国土強靱化の観点から、レジリエンスの観点からいって、非常に高い確率で首都圏の直下型地震も予測されておりますので、そういった問題も含めて、日本国全体の国土保全の観点も含めて、やはり人口減少克服、東京一極集中の是正ということは引き続き全力で取り組む課題と考えているわけでございます。
○亀井委員 なぜ少子化がとまらないのかということについて、更に考えたいと思います。
ちょっと質問を一つ飛ばして次に行きますが、劇作家で平田オリザさんという人がおられて、彼が、やはり劇作家なので、政治家とは全く違う視点で少子化について指摘をしております。それがおもしろいので紹介をしたいと思います。
スキー人口はなぜ減ったかということを例に出しております。
スキー人口について、確かに減っているんですね。1993年から2012年までの20年の数字ですけれども、この間に3分の1、この間、スノーボーダーはふえているんですが、これを足しても、1800万から790万ですから、半減以下なんです。
この原因として、若者の人口が減ったからだというのが一番言われている説です。けれども、この期間にでは若者がどのぐらい減ったかというと、1000万人以上。かなり減っています。でも、それでも全体の2割5分減なんですね。ですから、スキー人口が半減以下になったということに比べると、それほどでもない。
では、原因はなぜなのでしょうねということで、彼のおもしろい理論があるので、これもちょっと紹介をいたします。

「日本中の観光学者たちが口を揃えて、「少子化だからスキー人口が減った」と言う。しかし、劇作家はそうは考えない。「スキー人口が減ったから少子化になったのだ」
かつて20代男子にとって、スキーは、女性を1泊旅行に誘える最も有効で健全な手段だった。それが減ったら、少子化になるに決まっている。当たり前のことだ。
もちろんスキーは、ひとつの喩えに過ぎない。だが、ここにはある種の本質的な問題が隠れていると私は思う。
街中に、映画館もジャズ喫茶もライブハウスも古本屋もなくし、のっぺりとしたつまらない街、男女の出会いのない街を創っておいて、行政が慣れない婚活パーティーなどをやっている。本末転倒ではないか。」

中略します。

「大学の教員を15年やっていて、「地方には雇用がないから帰らない」という学生には、ほとんど会ったことがない。彼らは口を揃えて、「地方はつまらない。だから帰らない」と言う。そうならば、つまらなくない街を創ればいい。あるいは、地方に住む女性たちは口を揃えて「この街には偶然の出会いがない」と言う。そうであるなら、偶然の出会いが、そこかしこに潜んでいる街を創ればいい。」

これは私はすごく本質的な指摘だと思います。
過疎地、島根を歩いていまして、島根県でも西部の石見地方というのが過疎が進んでいるんです。ここは石見神楽が盛んな地域です。神楽というのは、若者も子供もやっていまして、後継者がいます。この神楽に一生懸命な若者に話を聞きましたら、彼は神楽をやりたいから、続けたいから地元に残ったんだそうです。地元で一生懸命職を探した。
ですから、実は、文化というのは、人をそこにとどまらせるだけの力があると私は思います。少子化対策に欠けているのは、実は、少子化と関係ないように見える、遠いように見えるけれども、教育、文化予算、ここに力を入れてこなかったからじゃないかな。だから、みんな都会がおもしろく見えて、楽しそうに見えて、出ていってしまったんじゃないかなと思うんです。
ここで伺います。
教育、文化に力を入れると、地方が活性化して若者が定住すると思うんですけれども、文科省政務官、いかがお考えでしょうか、お伺いいたします。
○中村大臣政務官 お答え申し上げます。
教育、文化を通じた地域活性化の事例については、文部科学省としては網羅的には把握しておりませんけれども、具体的な例として、島根県海士町のように、急激に生徒数が減少する高校において、地域との協働のもとに、教育魅力化に向けた取組を行って、生徒数の増加や人口の社会増につながった例があるほか、鳥取県三朝町では、文化財の外国人向けの発信強化によって、また新潟県十日町市では、地域における芸術祭の実施によって、外国人観光客の増加や地域への経済波及効果につながった例があるということを承知しております。
文部科学省では、こうした事例も参考にしながら、高等学校が市町村、高等教育機関、産業界等と協働してコンソーシアムを構築して、地域課題の解決等の探求的な学びを実現する取組や、日本遺産等の魅力ある文化資源の磨き上げや、芸術祭を中核とした国際発信力のある拠点の形成等を通じて外国人観光客の地方誘致や、地域活性化を目指す取組等の推進によって教育や文化を通じた地方創生を進めてまいる所存でございます。
○亀井委員 海士町の事例を出していただいてありがとうございます。あれは本当に成功事例だと思います。
人材ですよね。島留学というコンセプトを打ち出した岩本さんという、学生時代に「流学日記」という本を出版した、1年間放浪した記録を書いた人なんですけれども、彼が島にやってきて、地域学というんでしょうか、そういう授業をつくって取り組んだ結果として、島前高校が、1クラスしかなかったのが2クラス化できたという事例で、今、高校魅力化コーディネーター、地域おこし協力隊の人を高校魅力化コーディネーターとして学校の中に入れて、教育を魅力あるものにしていくという取組をしております。これは私は非常にうまくいっている事業だと思います。
次の質問に行きます。
去年の通常国会で、東京の大学の定員数を10年間据置きする法律、そして地方の大学を魅力化するという法律が通りまして、地方大学・地域産業創生交付金が創設をされました。
この交付金を地元の島根大学がとったんですね。私は、これは大変いいことだと思って、それで大学の関係者によかったですねというふうにお話ししましたら、いや、それが大変なんです、心配なんですという声が現場から来まして、心配になったので指摘をさせていただきます。
この委員会で、鶴岡の慶応先端生命科学研究所に行きました。あの研究所では、クモの糸を人工的につくり出すという大学院生の研究がまずあって、それが成功して、そしてスパイバーという会社がその研究所の横にできました。まず最初に自由な発想の研究があり、その結果として、その成果に対して企業がついてきた、起業につながったということなんですね。
今やろうとしていることは、地元の企業に役に立つような研究を国立大学でやりましょうという、順序が逆なわけです。そうすると、現場の懸念としては、その地元企業に役立つ人材に大学の職員が置きかわっていくんじゃないかということなんですね。
5年間予算がつきます。5年間で60億円、物すごい予算ですね。これで人を雇うことができます。5年の契約で誰かを雇う。そして、国立大学ですから、今いる教授にやめなさいということはできません。ただ、5年間の間に定年退職していきますね。他の分野の教授が退職をしたときに、臨時で入れている研究所の職員をそこの教授のポジションにはめていくような形で、何年かたつと、今、島根大学は、日立金属があるので、金属素材の研究に力を入れようとしているんですが、その人材に置きかわっていくんじゃないだろうかと。
だけれども、大学というのはもっと自由に学問をするところなので、国の予算で企業の研究所みたいなものが大学の中にできてしまっては問題だ、そういう問題意識があるんです。
今回、文科省の法律で、学校教育法等の一部を改正する法律案が提出されています。この中に、大学の学長の職務を行う大学総括理事の新設ですとか、学校法人の役員の職務及び責任に関する規定の整備等と書いてあるんですが、もしかすると、研究所などが今度できて、トップの所長はイギリスから招聘するそうですが、副所長のところに今の大学の人と日立と両方入って、それで、企業から来た人の人事権が強くなると本当に置きかわっていくようなことが起きるわけですけれども、それと関連があるのではないかとちょっと疑っております。
この私の疑問について、御説明いただけますか。
○中村大臣政務官 お答え申し上げます。
議員御懸念の地方大学・地域産業創生交付金は、これは内閣府の事業でありますけれども、首長のリーダーシップのもと、産官学連携によって、地域の中核的産業の振興、金属であれば金属ということでしょうけれども、その中核的産業の振興や専門人材の育成などを行うすぐれた取組を重点的に支援するという内閣府の事業であるということを承知しております。
一方、今国会に文部科学省が提出させていただいている、学校教育法等の一部を改正する法律案については、大学等の教育研究の質の向上や管理運営の改善等を図るものでありまして、国立大学法人に大学総括理事を新設することについては、国立大学法人が複数大学を設置する場合などに、各法人の自主的な検討、判断によって、経営と教学を分担することができる制度的な選択肢を新たに設ける趣旨であります。
本法律案においては、国立大学法人に大学総括理事を新設する改正は、大学等の教育研究の質の向上や管理運営の改善等を図るものであって、地方大学・地方産業創生交付金とは直接関連することはございません。
御懸念は当たらないと思っております。
○亀井委員 注意深く、懸念に当たらないということですけれども、私も注意していきたいと思います。よろしくお願いいたします。
せっかく総務政務官に来ていただいたんですけれども、時間が来たようですので、大変申しわけないんですけれども、次回とさせていただきます。地域おこし協力隊について質問したかったんですけれども、済みません。ありがとうございます。
これで質問を終わります。

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