【11/13衆議院農林水産委員会】
質疑の模様を、以下ビデオライブラリーにてご覧いただけます。
<質問要旨>成長産業の「成長」とは、TPP11の見直し・TPP12発効の見込み(米国が戻る見込み)など
http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=48447&media_type= …
平成30年11月13日衆議院農林水産委員会議事録(文責:亀井事務所 ※吉川の吉は土に口)
○武藤委員長 次に、亀井亜紀子君。
○亀井委員 おはようございます。立憲民主党の亀井亜紀子でございます。
吉川新大臣のもとで、新しい体制が始まりましたので、大臣の農林水産業に対する基本姿勢等、幾つか質問させていただきます。よろしくお願いいたします。
私は、昨年の選挙で国会に復帰して、この1年間、この農林水産委員会に所属をしておりました。感想としましては、大変忙しい委員会で、さきの通常国会でも、私たちは9本の法律を審議をいたしました。その合間にも一般質疑はありますし、ほぼ毎週、何日も稼働しているような非常に忙しい委員会だ、そういう印象を持っております。
そして、この短い臨時国会にも、70年ぶりの漁業法の大改正、これは大改正というよりも新法に近いものだと私たちは思っているんですけれども、この法律と、EPAに関連したGI法と、2本もかかっております。審議時間が全く足りない、そのように思っております。
それだけの幾つもの法律を審議しながら私が感じていることなんですけれども、政府の政策の中に必ず入ってくる文言というのが成長産業、農林水産業を成長産業にしなければならないということです。
今回の大臣所信でも、まず、若者が夢や希望を託すことができる魅力ある成長産業にしていかなければならないと。次に、そのための改革を推進してきていて、農林水産物、食品の輸出額が5年連続で過去最高を更新し、生産農業所得は過去18年で最高に達するなど、改革の成果が着実にあらわれ始めている、そのように御発言をされました。
そこで質問なんですけれども、農林水産業を成長産業にというときに、何を根拠に成長していると判断をされますでしょうか。ここにあるように、輸出額とか生産農業所得とか、いわゆる数字、先ほど数字が大事なんだとおっしゃった質問者がありまして、それはそうなんですが、果たしてその判断基準というものがこの輸出額、生産農業所得だけであるのか、それが最も大事なのか、大臣の基本姿勢についてお伺いいたします。
○吉川国務大臣 亀井筆頭理事におかれましては、どうぞよろしくお願いを申し上げたいと存じます。
ただいまの成長産業ということについて、私の方からお答えもさせていただきたいと思いますけれども、我が国の農林水産業におきましては、長年にわたりまして産業規模の縮小が続いてきたと思っております。
例えば、農業に関しましては、30年ほど前には11兆円を超えていた農業総産出額が平成20年代半ばには8兆円台と、5兆円台だった生産農業所得が3兆円を切る水準となるなど、ほぼ一貫して縮小をしてまいりました。
農林水産業に関しましては、食料の安定供給や地域社会の維持等に重要な役割を果たしていると存じておりまして、産業規模を再び大きくして、経済的に持続していくものにしなければ、若者が夢や希望を持って挑戦できる産業とはならないと存じておりまして、将来の食料安全保障の確保等にも大きな問題を生じる可能性もあるのではないかと思っております。
そのために、安倍内閣におきまして、農林水産全般にわたって抜本的な改革を推進をしてきたと存じております。これによりまして、直近の農業総産出額や生産農業所得が2年連続で伸びてきたと思っております。
さらに、農林水産物の食品の輸出が、5年連続で過去最高を更新もしてまいりました。40代以下の新規就業者も、統計開始以来初めて4年連続2万人を超えるということなど、着実に成果があらわれ始めてきているのかな、こうも思っております。
また、林業や水産業におきましても、山や海の潜在力を十分に引き出しながら、成長産業とするための抜本的な改革にも取り組んできているところでございまして、引き続き農林水産全般の政策改革に取り組んでまいりまして、若者の皆さんが夢や希望を託すことができる産業の実現を図ってまいりたいな、このように考えております。
○亀井委員 全体的なことをおっしゃって、余り大臣のお考えが伝わってこなかったので、なぜ私がこのような質問をしたかということをお話ししたいと思います。
今、党内で漁業法の改正案について勉強を重ねております。
漁業権の付与の仕方、基準も変わってくるわけですけれども、そういう中で感じていること。例えば、今回のような漁業法の改正がされた場合に、養殖業にかなり比重が傾いていくと思いますが、1つの浜があって、そこの浜にノリの養殖業者とクロマグロの養殖業者がいたとして、ノリの方の売上げが5千万で、クロマグロの方の売上げが5億で、輸出に貢献しているのはクロマグロの方だとしたら、このクロマグロの養殖をもっと頑張ってください、そういうような政策になりはしないか、そういう危惧を覚えております。
輸出産業により貢献している、売上高がより高いところが頑張っている企業であって、そこの企業により多くの若者が勤めていればそこを伸ばしていかなければいけないとなってくると、多様性であるとか中小の漁業者、まあ農業にも言えることですけれども、安倍政権の進めている農林水産業の改革というのが、やはり金額ベースで、それこそこれを市場原理主義というんだろうなと思うんですけれども、どの分野においても、輸出額とか生産額が1番大きな価値を置かれて、それに基づいた改革になっていると感じているんですけれども。
私が今お話ししたことについて、何かもし大臣、コメントがありましたらおっしゃってください。
○吉川国務大臣 今、ノリとクロマグロについて例示をいただいて、御質問をいただきましたけれども、私自身は、ノリももちろん大切です。クロマグロも、これは何も輸出ばかりではなくて、国内での消費量においてもとても大切な漁業だと思っておりますので、輸出ももちろん増やしていかなければなりませんけれども、国内においてのそういった養殖面でのノリを始めとする漁業ももちろん大切だ、このように思っておりますので、両面伸ばせるような、そういったことをしっかりと打ち出していく必要があるのではないか、こう思っております。
そのために、農林水産関連というのは、地域政策もあれば産業政策もあるのかなと、率直に私、そう思っております。
○亀井委員 私の農林水産業に対する姿勢というのは、この委員会でも何度も申し上げていますけれども、食料自給率、この数字というのを大事にしております。
まず、何のために農林水産業があるかというと、この国に住む私たちが食べるもの、なるべく国内で多く生産をされる、そしてそれに携わる人が生活をするだけの所得を得ることができる。農業は季節労働の側面もありますから、閑散期にはその地域のほかの仕事をしたり、全体として年間の所得が、生活ができる水準である、そのことによって地方が維持される、そこを1番私は大事にしておりますので、必ずしも、売上げが大きい、輸出に貢献しているからといって、そこを強めればいいかというと、私は大きな疑問があります。
輸出が伸びたからといって、じゃ、ある漁村に行って、元気な企業はあるけれども前より漁村の人口が減りましたとか、農村に行って、幾つか元気な企業があるんだけれども、周りの田畑は荒れていましたというのでは、これは基本姿勢として間違っているだろう、そういう観点で私は農林水産業について考えておりますので、これは私の考え方として述べさせていただきます。
次の質問に移ります。TPP11についてです。
前国会で、TPP11についてこの委員会でも審議をいたしました。連合審査にも入りました。あのときに、アメリカの復帰の見込みがないのになぜTPP11をそんなに急ぐのか。そして、農林水産分野については、アメリカが戻ってくる前提で、緊急輸入制限措置の発動基準値、米国割当て分も含まれている、非常に高い数字になっているので、実質的にセーフガードを発動するのは不可能な数値なわけですけれども。このことについて、TPP 12 協定が発効する見込みがなくなった場合に見直すことを各国は理解していると政府は繰り返し答弁をされてきました。
5月の11日に、私、外務委員会の方に行きまして、外務大臣に質問しました。協定の表現ぶりでコンシダー・エニー・アメンドメントと書いてあるのは、コンシダーというのは考えましょう、検討しましょうという意味なので、見直すとは書いていませんよということを外務大臣にも申し上げましたけれども、各国の理解を得ていると答弁されています。
6月7日の農水大臣の答弁でも、TPP11協定第6条は、TPP12協定が発効する見込みがいよいよなくなった場合には、締約国の要請に基づいてTPP11協定の見直しを行うということを定めたものとあります。
先日、TAG、日米物品貿易協定の2国間交渉の話が出てきました。アメリカがTPP12に戻るということは、これはもうないと思いますけれども、農水大臣は、この緊急輸入制限発動基準値など、見直しを協定第6条に基づいて求める、そういう予定はおありでしょうか。
○吉川国務大臣 この日米物品貿易協定についてでありまするけれども、まず、日米共同声明において、農林水産品については、過去の経済連携協定で約束した内容が最大限であるとの大前提に基づいて米国と合意をいたしていると承知をいたしております。
農林水産省といたしましては、これを踏まえて、農林水産業の維持発展を旨として関係府省と連携して交渉に臨んでいきたいと考えておりますので、TPP11協定第6条に関連してでありますけれども、この11協定が発効した後に、米国を含めたTPP12協定が発効する見込みがなくなった場合には、締約国の要請に基づきTPP11の協定の見直しを行うことを定めている、このように承知をいたしておりまして、我が国としては、TPP11の早期発効に全力を挙げる旨は米国にも説明をしていると存じておりまして、方針を転換したわけではないと承知もいたしております。
なお、日米共同声明をもって、このTPP11協定第6条に定める、TPP12が発効する見込みがなくなった場合に該当するかという点につきましては、内閣官房にお尋ねをいただきたい、このように思っております。
○大角政府参考人 内閣官房でございますけれども、米国との具体的な交渉につきましては、まさにこれからでございます。個別の事項については何ら決まっているものではない、このようになっております。したがいまして、我が国として、9月の日米共同声明の段階におきまして、米国を含むTPP12協定が発効する見込みがなくなったとは考えていないところでございます。
いずれにいたしましても、さまざまな面で農林漁業者に懸念がないように対応したいと考えております。
○亀井委員 今の御答弁、ちょっと驚きまして、アメリカがまだTPP12に戻ってくるということを期待している、可能性があると期待している、だからTPP11の方の第6条は使わないのだ、見直しは求めないのだということでしたけれども、それでは、ではTAGというのは何なんでしょうか。
今までの御説明ですと、アメリカが脱退した後TPP11協定に向けて突き進んだのは、多国間の枠組みにアメリカを戻すためである、2国間の交渉に持ち込まないためにTPP11を進めてアメリカを呼び戻すのだ、そういう論理だったはずなんですけれども、そこに2国間交渉、TAGが出てきたので、これは外交的に失敗ではないかと私は思っているんですけれども、この点も含めて、もう一度、大臣、御答弁をお願いいたします。
○吉川国務大臣 先ほども私最後に申し上げましたけれども、TPP11協定第6条の規定に基づく見直しにつきましては内閣官房にお尋ねをいただきたいな、このように思っております。
○亀井委員 全くわけのわからない御答弁なんですけれども、ちょっとこの問題で全部の時間を使ってしまいそうなので、また次回、質問させていただきます。これだけで本当に議論したいぐらいの気持ちです。
それでは、次の質問に移ります。
次はEPA関連です。
このEPAも、今、私たちは連合審査を要求しているところなんですけれども、非常に農水分野に、特に畜産、酪農に影響が大きいと思っておりまして、じっくり審議をさせていただきたいと思います。
今回、この臨時国会で、EPAに関連してGI法案の審議が予定をされております。対象となる日本の産品が48品目、EUの産品は71品目、かなりアンバランスだと思います。そして、EUでは、伝えられるところでは1,300品目余りが登録されているとも言われているんですけれども、今後EUの要求拡大の可能性はありますか。
登録品目数というのは同程度にすべきではないかと私は思っておりまして、まず日本の品目数48を71に近づけていく、それからの話ではないかと思うんですけれども、大臣の御見解を伺います。
○吉川国務大臣 EUにおきましてGI制度が確立されて、亀井委員も御承知のとおりであろうかと思いますが、大変歴史が長うございます。今指摘がありましたように1,300以上の産品が保護されているところと承知をいたしておりまして、我が国のGI法というのは、平成27年6月から運用を開始をいたしまして、まだ登録数が69ということでございます。
こうした中にありまして、今回の日・EU・EPAの合意におきましては、相互保護を行うEU側の商品を71にとどめたということでございまして、相互保護の対象となるEUのGI産品の追加に当たりましては、その都度、GI法に基づきまして、公示及び意見募集、さらには学識経験者からの意見聴取等の手続を行うこととなろうかと思っておりまして、この中で、日本で一般的に使われている名称は保護されていくことになろうかと思っております。
我々といたしましても、今後EUで保護される我が国のGI産品を追加していきたいと考えておりまして、我が国の産品を追加する中でEUのGI産品も追加で保護することはあり得るかなとも、このように考えております。
○亀井委員 まずは48品目をEUのレベルに、71に近づけていただきたいと思います。こちらが追加登録するときにあちらも、EUの方も、ではこれをと言ってくる可能性があるわけですけれども、これをずっと続けているといつまでたっても差が埋まらないので、日本側がより多く1回に登録ができるように力を入れていただきたいと要請をいたします。
GI法が発効するとどういうことになるのかについての質問です。
例えば、説明を伺いましたら、オーストラリア産神戸ビーフのようなものは出回らなくなるということでしたけれども、今、日本で販売されている製品も影響を受けることが予想されます。例えばですけれども、では、明治ブルガリアヨーグルトはブルガリアという名称が使えなくなるというようなことはあるんでしょうか。そういう制約は受けますか。
○新井政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘がございました明治ブルガリアヨーグルトという名称につきましては、EU側の71産品の名称に含まれておりませんので、相互保護の対象とはなっておりません。したがいまして、ブルガリアヨーグルトという名称が使えなくなるということはございません。
○亀井委員 今の御答弁で、明治ブルガリアヨーグルトは対象ではない、大丈夫だということでしたけれども、ほかに、今販売されている日本のブランド名で、GI法が発効すると名称が使えなくなる可能性のあるものというのは、農水省の方で把握されていますでしょうか。品目数ですとか対象のブランド。把握されているかどうか、伺います。もしそういったリストがあるのであれば、後日で構わないので、提出していただきたいと思います。
○新井政府参考人 今お尋ねがございました日・EU・EPA発効後のEU側の71産品の規制対象につきまして、そのGI産品を使用いたしました商品の名称を網羅的に把握しているわけではございません。
しかしながら、今回の71産品の保護の決定に当たりましては、生産者、関係団体等に広く周知をし説明会をするとともに、GI法に基づきまして3カ月間の公示を行いました。
その期間中に、今お話がありましたとおり、EU側の保護するものが普通名称であるかどうか、あるいは先使用の商品があるかどうかというものをチェックをいたしまして、保護の対象を決定いたしたものでございます。
例えば、カマンベール、チェダー、ゴーダ等、我が国で一般的に使用されている名称、これを一部使ったGI産品もございましたが、この名称はGI法に基づく規制の対象の外とするというような決定を行ったところでございます。
今後につきましても、今般の規制内容につきまして、関係団体等を通じて企業に周知を図っていきたいというふうに考えているところでございます。
○亀井委員 農水省の方でいろいろお調べいただいて、企業には早目に周知をすべきかと思いますので、よろしくお願いいたします。
次の質問も、やはりGIに関する質問です。
先日、GI登録されている日本側の品目を見ましたら、米沢牛がありました。
米沢牛について現地の人に伺うと、これは32カ月生育をさせないと米沢牛とは呼ばないそうです。EUについては、日本からの輸出に関して月齢制限がなく、米沢牛として輸出ができると理解しておりますけれども、それで正しいでしょうか。
また、台湾については30カ月の月齢制限があると聞いております。この場合は、ほぼ米沢牛とも言えないですし、米沢牛以外の名称、例えば山形牛ですとか、何かほかの名称で輸出するしか方法はないのでしょうか。また、日本政府は、月齢制限がある国に対して撤廃要請をしていますか。
以上について、参考人の方でも結構なので、お伺いいたします。
○新井政府参考人 お答え申し上げます。
米沢牛は、GI産品といたしましては、出荷月齢が生後32カ月以上の未経産の黒毛和種の由来の肉質等級が3等級以上の牛肉として登録をされております。
そのため、牛肉の輸出に関しまして月齢制限がないEUに対しては、GI登録の条件を満たした牛肉を米沢牛の名称で輸出することができるということでございます。
それに対しまして、台湾は、牛肉の輸出に関し30カ月月齢未満の月齢制限があるために、日本のGI産品である米沢牛は、別名称を使用したとしても輸出することができません。しかしながら、生産者団体の判断によりまして、30カ月齢未満の牛に由来する牛肉を、米沢牛と類似しない別名称で輸出することは可能でございます。
○池田政府参考人 月齢制限の撤廃についてお答えをいたします。
日本産牛肉に対します月齢制限がある国につきましては、これまでの協議の結果、シンガポール向け、香港向け、タイ向けにつきまして、順次制限を撤廃してきたところでございます。
一方、台湾そしてマカオ向けにつきましては、現在も月齢制限が課せられているところでございまして、我が国はその撤廃を要求しているところでございます。
これにつきましては、食品衛生を担当する厚生労働省と連携をいたしまして、引き続き月齢撤廃に向けた協議を行ってまいります。
○亀井委員 月齢制限の撤廃に向けて、引き続きの御努力をお願いいたします。台湾でも牛肉の需要が高まっているようでして、引き合いもあると聞いておりますけれども、月齢制限のことが一つネックになっておりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、次の質問に移りますが、これもやはりEPA関連です。
EPAについては、TPPと同等の、全品目の82%の関税の撤廃が合意されております。その中で、チーズについて、ゴーダチーズのようなハード系に加えて、EUでブランド力の高いソフトチーズ、カマンベールなど、これも、輸入枠3.1万トンを設けて関税を撤廃することが決まっております。
これによる国内乳製品の生産額の減少、203億円とも聞こえてまいりましたけれども、農水省はどの程度見積もっておられますか。また、それに対する国内生産者への対策はどのようにされるのでしょうか。大臣にお伺いいたします。
○ 吉川国務大臣 乳製品、特に今チーズのことにつきまして御指摘を頂戴いたしました。
御質問の中にもありましたように、このチーズ、31万トンということになったところでありますが、ハード系に関しまして、16年目までという長期の関税撤廃期間というものも確保いたしておりますので、補正をさせていただきたいと思います。
さらに、バター、脱脂粉乳等、国家貿易制度を維持しておりまして、最近の追加輸入量の範囲内で関税割当てを設定したということであります。
さらに、ホエーにつきましても、関税削減にとめるなどの措置を獲得したところでもございまして、このために、当面、輸入の急増見込みというのは考えておりません。乳製品全体の国内需給への影響は回避できると見込んでいるところでございます。
他方、ホエーとチーズの関税削減や関税撤廃等によりまして、長期的に競合する国産の脱脂粉乳、チーズの価格下落等が生じることによりまして、乳産品向けの乳価の下落も懸念をされますことから、乳製品全体で約134ないし203億円、うち、チーズにつきましては76ないし86億円の生産額の減少が見込まれると試算もいたしたところでございます。
このために、酪農に関しましては、総合的なTPP等関連政策大綱に基づきまして、従来の畜産クラスター事業による搾乳ロボットの導入など、施設整備等の体質強化対策に加えて、チーズの対策もつくらせていただきました。
その1つが、チーズ向け原料乳の高品質化に関する支援であります。2つ目が、チーズ工房等の施設整備に関する支援であります。3つ目に、国産チーズの品質向上やブランド化支援等の対策を講じまして、国産チーズの競争力の強化も図っていきたいと考えております。
国産のチーズというのは、大変おいしいと思いますし、塩分を控え目にしたチーズもたくさんございまして、極めて、今、チーズブームもこれからまさに起きてくるのではないかと思っておりますので、しっかりと支援もしてまいりたいと思います。
○亀井委員 我が党は北海道選出の議員が多うございまして、非常に懸念しておりますので、この点については、また他の議員も質問するかと思います。しっかりした支援をよろしくお願いいたします。
次は、餌米についてなんですけれども、政府は、餌米の生産を補助金をつけて奨励をしてきました。
このことについて、しばらく前に、経済学者の金子勝さんがいらっしゃいますが、議論をしたことがあります。今、政府の政策が、TPPそしてEPA、これは畜産、酪農に非常に打撃のある、そういう協定を結んでいるわけですから、これから酪農家や畜産農家が減少していく可能性があるわけです。そうすると、この餌米を食べる家畜の数が減っていくことが予想されるわけで、その一方で、餌米の生産をどんどん奨励したときに、この餌米を一体誰が食べるのだろうか、そういう議論になりました。
まさか人間が食べるようなことになったら、これはパロディー以外の何物でもありませんけれども、今のTPP、EPAの流れ、日本側の譲歩と、それに対する餌米の生産の奨励というのは、整合性がとれないのではと思うんですけれども、大臣はいかがお考えでしょうか。
○吉川国務大臣 申しわけありません。お答えをする前に、先ほど、チーズのところで、私、大変数字を誤ったことを申し上げてしまいまして、31万トンと申し上げましたが、3.1万トンの違いでございましたので、おわびをして訂正をさせていただきたいと存じます。
今の餌米の件につきましてお答えをさせていただきたいと思いますが、この主食用米の需要が毎年減少している中におきまして、食料の自給率、自給力の向上を図るために、主食用米から飼料用米、餌米と言われておりますが、転換によりまして、水田のフル活用を進めているところでございます。
トウモロコシ等の輸入穀物への過度の依存からも脱却をして、国内の飼料生産基盤に立脚した足腰の強い畜産に転換をする観点からも、飼料用米の利用拡大を進めているところでございまして、配合飼料メーカーからは、平成30年度は約120万トン、中長期的には200万トン弱の需要が見込まれると聞いております。
こうした中にありまして、TPPや日・EU・EPA交渉におきまして、乳製品の国家貿易制度や豚肉の差額関税制度の維持ですとか、関税割当て、セーフガードなどの有効な措置を獲得をして、我が国の畜産や酪農の再生産が引き続き可能となる国境措置を確保してきたところでもございまして、総合的なTPP等関連政策大綱に基づきまして、体質強化対策や経営安定対策の充実等を講ずることといたしております。
今、これらを実施することによりまして、畜産物の国内生産量が維持されるものと見込まれていることから、今後の飼料用米の需要見通しに大きな変化はないと考えておりまするけれども、引き続き、飼料用米の生産及び利用の拡大に努めてまいりたいなと考えております。
○亀井委員 まだ質問があったんですけれども、時間が来てしまいましたので、EPA関連については、また次回に質問させていただきます。以上で終わります。