活動報告(ブログ)

2018年11月15日(木)衆議院農林水産委員会

【11/15衆議院農林水産委員会】
質疑の模様を、以下ビデオライブラリーにてご覧いただけます。
<質問要旨>ペンス米副大統領のFTA発言?、日米共同声明(TAG・サービス分野、FTA?)、TPP11の見直し、TPP12発効・米国が復帰する見込みなど
http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=48460&media_type=fp …

<参考資料>
日米共同記者発表(11月13日)におけるペンス米国副大統領の発言
(1はホワイトハウスHPに掲載されたもの、2は録音起こしによるもの)
181115資料

Japan-US Joint Statement
181115資料2
https://www.cas.go.jp/jp/tpp/ffr/pdf/180927_kyoudouseimei_en.pdf#search=%27JapanUS+Joint+Statement%27

平成30年11月15日衆議院農林水産委員会議事録(文責:亀井事務所 ※吉川の吉は土に口)

○武藤委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。亀井亜紀子君。
○亀井委員 おはようございます。立憲民主党の亀井亜紀子でございます。
一昨日、大臣所信に対して質問させていただきました。そのときに、後で質問される佐々木委員とともに、TPPやEPA、それからTAGと言われている二国間協定について質問をいたしました。それに対する御答弁がかなり不明瞭で、なかなか理解に苦しんだんですけれども、その質問をした一昨日にアメリカのペンス副大統領が来日をされ、安倍総理との共同記者会見がありました。そして、そのときに、9月に合意された二国間の協定というものがFTAなのかどうかということ、ペンス副大統領がFTAと言った言わないということで、報道現場でも混乱がありました。おとといの答弁の内容ともそごがありましたので、そこをただしたいと思いまして、本日、補充質疑の時間をいただきました。皆様の御配慮に、まず冒頭、感謝申し上げます。ありがとうございます。
それでは、質問に入らせていただきます。
一昨日の共同記者会見について質問をいたしましたところ、昨日の農水委員会の理事会で、官房の方から、外務省ですか、人が来られて、説明をされました。そのときに理事会に提出された資料を、きょう、そのまま私は提出をいたしました。クリップでとめてありますけれども、その片方の4枚紙の方が理事会に提出をされた資料です。そして、もう片方の提出資料、3枚物、これは私がホームページから拾ってきたものです。きょうはこの2つを使いながら質問させていただきます。
それでは、政府の方から理事会に提出された、日米共同記者発表におけるペンス米国副大統領の発言について質問をいたします。
昨日、この日本語訳の、同時通訳による訳出という方を指して、二国間の貿易協定と書いてあるのでFTAではないんだという御説明でした。けれども、同時通訳の訳というのは、やはり生放送の場で尺にはめなきゃいけないので、当然、一語一句訳したものにはなりませんし、意訳ですね、意味で捉えて短い言葉にするということはごく普通ですから、私も通訳の仕事を昔していましたので、それは普通のことでして、ですから、FTAと、意味で捉えてFTAだよねと言ったのは決して私は誤訳じゃないと思います。
この英文の方を見ていただきたいんですけれども、①のところ、フリー・フェア・アンド・レシプロカル・トレードというのは、自由で公正で互恵的な協定です、貿易。これを意訳してFTAと言ったんだと思います。この日本語の方の訳にあらわれている二国間の貿易協定というのは、②のところ、バイラテラル・トレード・アグリーメントのことを二国間の貿易協定と言っていますので、英文に対して日本語の方は訳が抜けています。ストレートにフリートレードと言っていなくても、フリー、フェア、レシプロカルというこの3つの形容詞はトレードという協定に係るわけで、フリートレードであることは変わりないんです。ですので、ペンス副大統領の発言のとおり、これはフリートレード、自由貿易協定じゃないんですか。御答弁をお願いいたします。
○あべ副大臣 亀井委員にお答えいたします。
本当に、亀井委員が通訳のお仕事もされていて、英語力も非常に卓越した中、今回の報道の混乱があったということは承知をしているところでございます。
そうした中で、私どもはこの米国側の同時通訳の訳が出たことに関しても承知をしているところでございますが、外務省といたしましての私どもの認識は、やはり何といいましても、この共同記者会見におきましての、自由で公正かつ相互的な貿易の最もよい機会、この二国間の貿易協定となるだろうと発言したものというふうに私は理解をさせていただいているところでございまして、包括的FTAとは異なるものであるというふうに理解をさせていただいているところでございます。以上でございます。
○亀井委員 どうしてそういう解釈になってしまうのか、私は不思議でなりません。英文を見る限り、そうは書いてありません。少なくとも、今回のペンス副大統領の会見でわかったことは、アメリカと日本側の認識が異なっているということだと思います。ペンス副大統領は完全にFTAだと思っています。
きょう提出したもう片方の資料をごらんください。これは、あの報道があった日ですから、一昨日の夜のテレビ朝日の報道ステーションで使われた報道なんですけれども、ペンス副大統領は、日本にやってくる前に、みずからのツイッターで、これから安倍総理とFTA交渉について話し合う、そういうふうにツイートして出かけているんですね。2ページ目もその画面のコピーですけれども、このようにフリー・トレード・アグリーメントとはっきり書いております。ですので、先方の認識はFTAであると明らかです。
また、もう一つ、10月の4日にペンス副大統領はハドソン・インスティテュートというところで講演をしております。これはホームページでもこの講演全体を動画で見ることができます。この講演の中でペンス副大統領は、やはり、はっきりフリー・トレード・アグリーメントと言っております。けれども、不思議なことに、それに対する書き起こし、これもホームページに出ているんですけれども、音声ではフリー・トレード・アグリーメントなのに、書き起こしのところではフリー・トレード・ディールといって、言葉を一つ変えてあるんです。
なぜこんなことをするのだろうと非常に不思議に思っているんですけれども、そのことについての報道が、きょうやはり提出しました3枚目の資料です。ペンス氏のFTA発言、アメリカが記録修正、日本に配慮かと書いてあります。ペンス氏がワシントンでの講演で、歴史的な二国間の自由貿易の交渉、フリー・トレード・ディール、間もなく始めるとホームページに記載されているけれども、もともとディールはアグリーメントだった、けれども、日本側が日米物品貿易協定、TAGという言葉を使っているので、それに配慮して書き起こしのところではアグリーメントじゃなくてディールと書いた、そのような報道がありますけれども、このことについて御存じでしたか。伺います。
○あべ副大臣 委員にお答えいたします。
1つは、まず最初に、ツイッターの件でございますが、ペンス副大統領のこの投稿について、私どもはコメントをする立場にはございません。
また、2点目のハドソン研究所の演説に関してでございますが、演説があったということは私ども承知をしているところでございますが、その発言の内容に関して私どもがコメントするところでもございません。
最後の、報道に関しては、私どもは拝見をさせていただいているところでございますが、報道機関が出したものであって、私ども政府といたしましては、外務省といたしましても、9月26日の日米共同声明、これに従って日米間の交渉は行うことで一致をしているところでございまして、この日米間の認識に齟齬はないというふうに政府では理解しているところでございます。
以上でございます。
○亀井委員 まず、相手側の発言に対して違うと思ったときには抗議をしないと相手の発言を認めたことになるというのが国際社会の常識だと思います。ですので、ペンス副大統領が総理の真横で会見をしていた、自分の思っていることと違う発言があったら、本当はそこでちょっと違うと言わなきゃいけないですよね。少なくとも終わった後すぐに抗議をしなければいけないわけで、それをしなかった時点で相手の発言を認めたということでこれは進んでいってしまうと思います。
そして、正式な文書は日米共同声明だとおっしゃいますので、まあそれはそうなんです。ですので、その共同声明の方に行きたいと思います。きょう、資料を提出しております。
大事なところは3と4だと思います。日本語訳と英文の方とつけてありまして、英文の方、済みません、ちょっと英語の授業みたいになってしまいますけれども、おつき合いください。
3番、線を引いてあるところですね。ジャパン・ユナイテッド・ステーツ・トレード・アグリーメント・オン・グッズ、物品です。ここまでが物品における協定ですけれども、その後、アズ・ウエル・アズ、これは同様に、オン・アザー・キー・エリアズ、他の重要な分野、インクルーディング・サービシーズ、ここでサービスも含むと書いてありますから、TAGというのは、この文章の中のトレード・アグリーメント、T、A、それからオン・グッズのGをただ大きくしてTAGと言ったんでしょうけれども、その後ろ、アズ・ウエル・アズ、この後ろの部分がすっぽり抜けております。
この後ろの部分、サービスも含むと書いてありますから、これ全体が今回の合意された協定なのであって、日米物品貿易協定で物品だけだと言うのには本当に無理があると思いますけれども、御答弁をお願いいたします。
○田中副大臣 まず、このTAGという呼称でありますが、これは基本的に、日米の物品貿易協定、基本的にグッズを対象にするということで、簡潔に用いるということであります。
これは、日本側がTAGという呼称を使用することは、米側にもしっかりと説明をしているところであります。
いずれにしましても、さきの日米の共同声明では、このTAGの交渉開始で一致しているところでありまして、こうしたことに関しては、文言の使用に関しては、日米間の認識に齟齬はないものと考えております。
また、今委員がおっしゃられた部分に、3項と4項に関してでありますが、これは共同声明の3で述べている部分であろうと思います。これは、対象は基本的には物品貿易であります。それに加えて、今後の交渉結果について早期にという部分もあると思っています。
サービスの貿易全般に係る規制緩和ですとか金融、サービス等についての交渉、こうしたものに関しても多くの時間がかかるということであります。そうしたものを早期に結果を生じ得るものとして承知しているわけではないということであります。早期に対応可能な、いわば単品メニューを今後の交渉で特定していくことになるということであります。
いずれにいたしましても、サービス貿易も含めて、物品貿易以外に何を対象にするかということに関して、今後交渉して合意したもののみが入るということであります。これが内容ということであります。
○亀井委員 今の御答弁は、日本が理解したいように理解しているというだけで、本文にはどこにもそんなことは書かれていません。
確認ですけれども、この貿易交渉でというか、合意された文、正式な文書は、この英語だけですよね、これがもとになりますよね。確認です。
○大角政府参考人 お答え申し上げます。
正式な協定とかではありませんので、正式な文という形で、英文が正式文書という確認をされているわけではございませんけれども、交渉は英語で行われているということでございます。
ただ、日本側がこういった形で、TAG、日米物品貿易協定というふうに話すということについては、アメリカにも明確に伝えているというところでございます。
○亀井委員 二国間で交渉して、その結果を紙で残して、英語で出したら、それが正式文書じゃないですか。それが常識ですよ。
もう一回、お願いします。
○大角政府参考人 先ほど申し上げましたのは、協定との違いを申し上げたということでございまして、英文での交渉を行っているということでございます。
○亀井委員 常識的に考えて、英語で交渉を行い、英語で合意文が出てきて、それを日本語に訳しているだけですから、アメリカから見れば、交渉の合意というのはこの公表されている文書をもとに進んでいくということは間違いがないと思います。
そして、その文書においては、御答弁がどうであろうと、インクルーディング・サービシーズと書いてあるので、このサービスの中身まではいろいろ書いていないので、全般的にサービスが入ると理解するのが普通だろうと思います。その後のザット・キャン・プロデュース・アーリー・アチーブメンツというのは、比較的早く結果が出るものからやりましょうというのは、どの交渉においても一番ハードルが高いところからやりませんので、ごくごく常識的なことが書いてあると思います。
4番に行きます。
4番で私が線を引いたところ、4番は、3番が完結したら更に先に進みますということが書いてあります。
日本とアメリカは、インテンド・ツーなので、何々するつもりである、ウイルじゃないので確定的には書いてないんですけれども、でも、するつもりである。何をするかというと、交渉ですね。ネゴシエーションズ・オン・アザー・トレード、ほかの貿易協定ですね。その分野というのは、インべストメント・アイテムズだから投資ですよね。それは、フォローイング・ザ・コンプリーション・オブ、これは、現在の交渉が終わった後、上記に掲げた、3番に書かれたこのような交渉が終わった後、更に先に進んで、投資についても交渉するということを予定しておりますと4番で書いております。
このとおりに読んでよろしいですね。
○大角政府参考人 4番の点につきましては、共同声明の4項目めに書かれております、物品の交渉が完了した後に協議する、そういう形になっておりまして、その他の貿易や投資の分野についても、どの分野を交渉するか、あるいは交渉の範囲をどのようにするか、こういったことについては一切決まっておりません。
ですので、この分野の協定を結ぶと現時点で決めているわけでもないという形で、上記の3番にあるものとは差がある、大きな差があるものと考えております。
○亀井委員 細かく決まっていないわけですから、今のところは風呂敷が大きく広がっている、どの分野も入り得るというふうに読むべきだと思います。ですので、これが包括的な貿易交渉じゃない、フリートレードとも書いてあるのに自由貿易協定じゃないというのは、かなり無理があります。
ですから、問題は中身なんですよね。FTAと言おうとTAGと言おうと大事なのは中身で、この書かれたことについて交渉が進んでいくわけですから、その入り口のところから、内閣がTAGと呼びたいのだからといって、そこに何かいろいろなつじつまを合わせていくこと自体、非常にばかげていると思います。
先ほどの、アメリカの文書が改ざんというんでしょうか、書きかえられたであろうと言われていることについても、森友の文書の事件を思い出してしまうんですけれども、総理の発言に合わせて、これはFTAじゃないのだ、そういう発言に合わせて周りが、忖度なんでしょうか、文章が書きかえられていくということがちょっとアメリカの方にまで及んでいるようで、これは非常に恥ずかしいので、もうこんなことはやめていただきたいなと私は強く申し上げます。
FTAならFTAと認めて交渉すべきだと私は思いますけれども、いかがでしょうか。御答弁をお願いできますか。
○田中副大臣 これまで我が国が結んできた多くの協定に関しては、やはり物品貿易とサービス貿易全般をカバーしているものであります。そういう意味で、我が国はこれまで、特定の国や地域との間で物品貿易及びサービス貿易全般の自由化を目的とする協定という意味でこのFTAという用語を用いてきたわけであります。
しかし、今回の日米の共同声明では、サービス全般の自由化、幅広いルールまで盛り込むことは想定しておらず、その意味で、これまで我が国が進んできた包括的なFTAとは異なるものであるということであります。今回のTAG交渉は、あくまでもグッズを対象にしているということであります。
その上で、これまでFFR協議について、FTA交渉でも、FTAの予備協議でもないと総理も言ってきた。この理由は、国内の農林漁業者の皆さんにTPP以上の関税引下げが行われるのではないかという懸念があったためであります。そういうことも御理解いただければと思います。
○亀井委員 どういうふうに御答弁されようと、はっきりここにもう、共同声明に書かれてしまって、そこにインクルーディング・サービシーズと書かれていればこれは対象になっておりますので、認識を改められた方がいいと思います。かなりそれは無理がある御答弁です。
では、先に進みますが、一昨日の御答弁で、まだアメリカがTPP12に戻る可能性がある、だから、TPP11の第6条を使って緊急輸入制限発動措置の枠について見直しの交渉をする予定がないのだ、まだアメリカが復帰する可能性があるからだということを言われたんですけれども、私は全くないと思いますけれども、なぜTPP12にアメリカが戻る可能性があると考えられるのか。では、そう考えるなら、どういう状態だったらもう戻らないと見切って、TPP11の見直し交渉をするのか、それについて伺います。
○田中副大臣 米国との具体的な交渉は、やはり今後行われるものであります。我が国といたしまして、今回の日米の共同声明の段階において見込みがなくなったということは考えておりません。
今回、日米で物品貿易協定についてバイ交渉、これを開始することを合意したところであります。これまで、TPP12までの交渉においても、関税についてはバイ交渉、すなわち2国間でさまざまな協議を行ってきたということであります。米国がすぐにTPPに復帰するということはまだ不明でありますが、しかし、これからのTAG交渉は、米国のTPP復帰に向けてプラスになることはあってもマイナスになることはないと考えております。
そういった意味で、我が国としては、TPPに米国、これが復帰することを諦めていないということであります。
○亀井委員 TPP11は、私は一回とめるべきだと思います。発効してから見直しをするというのは難しいですから、発効する前に状況が変わってきたわけですから、本来ならば、見直さなければ、農水分野は特に、守ることができないと私は思います。
農水委員会ですので、最後に農水大臣にお伺いいたします。
一昨日、質問し損ねてしまったんですけれども、EPAについて、チョコレートについて質問しようと思っておりました。
EUは、チョコレート、ブランドが強く、関税が徐々に引き下げられて11年目にはゼロになる予定です。そうすると、国内のサトウキビ農家に対する影響もあるかと思います。
先日、徳之島のサトウキビ農家の方とお会いする機会があって、昔に比べて肥料も、それから人件費も上がっているのに、全くサトウキビの価格が上がらないので大変だということを聞いております。
サトウキビ農家に対する支援策はありますか。それと、この自由貿易協定に挑む中で、農水大臣として、日本の農水分野を守るのだというその意気込みもあわせてお伺いして、最後の質問といたします。
○吉川国務大臣 サトウキビにつきましては、御承知のとおりであろうかと思いますけれども、糖価調整制度のもとで、今、輸入粗糖から調整金を徴収して、また、これを財源といたしまして、サトウキビ生産者の生産コストと品代の差額を補填することで、再生産の確保を図っているところでもございます。
日・EU・EPA関連におきましても、粗糖、精製糖につきましてこの糖価調整制度を維持したことから、国内のサトウキビ生産には特段の影響の見込みはないと考えておりまするけれども、一方で、関税割当ての設定等による安価な加糖調製品の流入により、糖価調整制度の安定運営に支障が生ずることも懸念をされると考えておりまして、このために、総合的なTPP等関連対策大綱に基づいて、改正糖価調整法に基づきまして、加糖調製品を調整金の対象に追加をいたしております。
さらに、対策といたしまして、高性能な農業機械リース導入による産地の収益力強化や、製糖工場の再編整備等の体質強化等により万全の対策を講じていくことといたしているところでもございまして、今後も、サトウキビ農家の不安の声に真摯に耳を傾けながらしっかりと対応もしてまいりたいと存じております。
それと、2点目でありますが、日米物品貿易協定に臨む農林水産省の決意だと思いまするけれども、この件に関しましては、日米共同声明を踏まえまして、我が国の農林水産業の維持発展を旨として、関係府省と連携し交渉に臨んでいく姿勢でもございます。
○亀井委員 ありがとうございました。

PAGE TOP