活動報告(ブログ)

2020年4月7日(火)衆議院地方創生に関する特別委員会

令和2年4月7日 衆議院地方創生に関する特別委員会議事速報

山口委員長 次に、亀井亜紀子君。

亀井委員 立国社共同会派の亀井亜紀子でございます。
 質問に先立ちまして、新型コロナウイルスに感染しお亡くなりになられた方の御冥福をお祈りするとともに、感染された方々の一日も早い御回復をお祈り申し上げます。
 それでは、質問に移りたいと思います。
 今回の国家戦略特区の、スーパーシティー法案について、いくつか論点があるかと思うんですけれども、初めに申し上げたいのは、この国家戦略特区というもののイメージが加計学園の問題があって大変悪くなってしまったということを指摘したいと思います。
 つまり、選定の過程、その公平性、透明性について疑義が持たれている。だから、このスーパーシティー構想そのものが、仮に夢のある、悪くないものであったとしても、そこに、決定に至るまで、果たして信頼できるものなのであろうかという、そこからまずこの問題はスタートしなきゃいけないと思います。
 そこで質問なんですけれども、国家戦略特区指定区域、全国で10ヶ所ございます。大都市圏が多いわけですけれども、その中に広島県・今治市という組み合わせがあります。これはどう考えても、例えば福岡市・北九州市でしたら、これは隣り合わせですから、ああ、一緒にしたのだなとまだ理解できるんですけれども、広島県に愛媛県、違う県の今治市だけが無理やりくっついて、これが一緒の特区になっているというのは、どう見ても恣意的に見えます。
 ですから、どうしてこのように決まったのか、この広島県に今治市だけがついて特区になっているということ、これが認定された合理的な理由は何であるのか、大臣、説明ができますでしょうか。御説明をお願い致します。

北村国務大臣 国家戦略特区の区域につきましては、国家戦略特区基本方針が定める基準に基づいて区域の指定を行っておるということはもう御承知の通りでございます。

 まず、御指摘の今治市は、獣医学部の設置のみならず、しまなみ海道のサイクリングブームを後押しする高度外国人材の積極的な受入れや、活力ある地域づくりのための道の駅への民間参入など、大胆な規制改革を提案なさり、民間有識者からも極めて高い評価を得たものでございます。
 加えて、今治市と広島県は、しまなみ海道でつながっており、地理的に近いことに加え、特区で取り組もうとする規制改革事項に多くの共通点がございました。
 更に、民間有識者からも、一体的な指定により一層の効果が期待できるとの御意見があったものでございます。
 このように連携して指定することで、創業、創業というのは仕事をつくること、あるいは観光などの多くの分野におけるイノベーションを創出いたし、より一層の特区の効果が期待されたために、平成27年12月15日に諮問会議にお諮りした上で、最終的には政令により一体的な指定に至ったものと認識しております。
 以上でございます。

亀井委員 では、今の御答弁ですと、私は、今治市で何かやるんだったら、今治市が単体で特区をとればいいのかなと思っていたんですけれども、今の御説明ですと、しまなみ海道で地理的に近いということもあって、あくまでも連携してやりたいのだということで認定された、そういうふうに今御答弁されたので、それでもちょっと疑問は私は残りますけれども、今、そういう御答弁だったと思います。
 それで、スーパーシティーの整備に当たっての透明性、公平性の確保について、本会議でも松平委員から質問があり、それに対しての御答弁として、スーパーシティーエリアの選定に当たっては、国家戦略特別区域基本方針に定めるスーパーシティーの選定に関する要件を満たす都市の中から、可能な限り定量的な指標も活用致しつつ、客観的な評価に基づいて検討を行い、選定候補について特区諮問会議など有識者等の第三者が加わったオープンな場に諮ることにより、透明性を確保しながら進めることと致しておりますとありますが、この特区諮問会議など有識者等の第三者が加わったオープンな場というのが、これまで何度も色々な委員会で指摘された通り疑わしいわけですよね。オープンだと言いながら一部の議事録が作成されていなかったり、提出をされていなかったり、また、どうやってその諮問会議のメンバーが決まっていくのか、そこの部分というのは全くのブラックボックスになっているので、この国家戦略特区というもののイメージが非常に悪くなっているということをまず申し上げます。
 じゃ、このスーパーシティー構想というのはどういうメンバーで進められてきたのかということで、私、この度調べました。ホームページで簡単に見ることができるんですけれども、スーパーシティー構想の実現に向けた有識者懇談会の名簿、7人の名前が並んでおります。その中で、座長は竹中平蔵さん、座長代理が原英史さんですよ。
 この原英史さんは、漁業法の改正の時にもワーキンググループで名前が出てきて、真珠販売会社から要望をヒアリングして、内閣府にも言ったんだけれども、そのときの議事録は作成されていなかったということで、随分追及を受けた人物ですし、また、株式会社特区ビジネスコンサルティングというところにも関係していたということでも指摘をされている人です。ですから、また同じような名前だな、彼が座長代理で竹中平蔵さんが座長だと。
 今まで国家戦略特区で指定されているところが大都市ばかりですよねと、私、大臣に指摘しましたら、過去の御答弁の中で、いやいや、養父市もありますよ、こういう中山間地もありますよとおっしゃいました。農業に関して特区になっているのだと言われるのでまた調べてみたんですけれども、竹中平蔵さんが社外取締役を務めているオリックス、このオリックスの子会社のオリックス農業がこの養父市の特区にもう参入しております。なので、やはり我田引水ではないかと。
 オリックスで思い出すのは郵政民営化ですけれども、郵政民営化の時にかんぽの宿を一括して安く買おうとしていたのがオリックス不動産で、オリックスの会長の宮内さんという人は規制改革推進会議の頭だったので、やはり我田引水じゃないかといって大変問題になりました。
 それを思い出すようなメンバー構成と、現実に起こっているオリックスの参入ということかと思いますけれども、こういうことを見ても、とてもとてもこの国家戦略特区が透明で公平であるというふうに、私、思えないんですよね。
 スーパーシティーを進めようという時に、国家戦略特区じゃなきゃだめなんでしょうか。構造改革特区というのもあります。この構造改革特区と国家戦略特区の違いは、構造改革の方はボトムアップですよね、国家戦略特区の方は国が主導して諮問会議などで決めてトップダウンで来る。このプロセスが怪しいぞと言われているわけです。スーパーシティー法案というのは、構造改革特区ではできないんでしょうか。また、私が先程申し上げた、竹中さんがトップを務めているこの有識者懇談会ですけれども、これはこのままのメンバーで恐らく進んでいくんですよね。ここは私通告しておりませんでしたけれども、今私が申し上げたことを含めて、透明性についてどうやって担保するのか、御説明をお願い致します。

北村国務大臣 スーパーシティーは、世界最先端の技術を活用して、住民が住みたいと思う、よりよい未来の社会、生活を包括的に先行実現しようということのために、特に大胆な規制改革を対象エリアを絞って集中的に進めていこうとするものでございます。
 他方、構造改革特区は、内閣府が規制所管省庁と直接折衝を致し、一旦措置された規制改革事項であれば、希望する全国のどの地域でも活用を申請ができるという制度でございます。
 スーパーシティーが目指す大胆な規制改革を行うには必ずしも十分ではないと考えるところでございまして、また、本法案では、国家戦略特区諮問会議による調査審議、及び必要があると認める場合における勧告について規定を致しておりますが、こうした規定は構造改革特区では措置されていないものでございます。
 国家戦略特区の持つ岩盤規制改革の強みを生かして、より先端的なスーパーシティーの実現を目指してまいりたいと考えておるところでございます。
 それと、委員御指摘の先程の人選の件につきましては、政府委員の方で、お願いします。お許しください。

村上政府参考人 お答え申し上げます。
 国家戦略特区諮問会議のメンバーにつきましては、法令上、横断的、広い分野から規制改革についての知見を持つ者ということで規定をされている要件がございまして、その要件を満たしているということで、政府が任命をし、選任をしているというものでございます。
 現在も委員の任期は継続してございまして、引き続き、次の任期が切れるのが大体再来年度になると思いますが、まで、もちろん、途中退任できないという規定があるわけではございませんけれども、引き続きお願いをしていく。
 ただ、特区の諮問会議につきましては、議事録並みに近い議事要旨がすべて公開をされてございまして、そこで行われている議論についてはしっかりとした透明性は確保されている、このように考えてございます。

亀井委員 条件を満たす人というのは、たくさん専門家の方がおられると思いますけれども、なぜか同じ人物ばかりがこの懇談会に指名をされているということだと思います。
 たくさん専門家がおられる中で、竹中平蔵さんが座長で、座長代理は原英史さんで、この体制で再来年までいくということですよね。それでよろしいですか。

村上政府参考人 お答え申し上げます。
 若干テクニカルな部分も入って恐縮でございますが、原英史先生は特区ワーキンググループのメンバーでございまして、諮問会議のメンバーにはなってございません。
 それから、これも大変細こうございますが、従前、三期委員をやっていただきました秋池玲子先生につきましては、自己都合と本人の申し出もございまして、この度秋池先生から秋山咲恵先生に議員の交代をいたしてございます。
 こうした本人の御事情や状況の変化も踏まえ、必ずしもメンバーが固定されていなければいけないということではございませんけれども、やはり規制改革の分野は経緯も含めた専門的な知見が大変重要な分野でございまして、現時点において、政府としてはこのメンバーが適任であるという判断のもと任命をさせていただいているところでございます。

亀井委員 秋山咲恵さんの名前はもう入っていましたから、それが更新された情報をホームページからとってきておりまして、その同じ紙には、座長代理に原英史さんと書いてあります。
 どちらにしても、座長が竹中平蔵さんということは変わっていないということですね。そして、この竹中平蔵さんが社外取締役を務めるオリックスの子会社であるオリックス農業が養父市に参入しているということは事実ですよね。確認させてください。

村上政府参考人 お答え申し上げます。
 ちょっと御通告いただいておりませんので、詳細はもう一度確かめて、正確なところはまた御報告申し上げますけれども、本件オリックスの事案が認定された際には、竹中先生はまだオリックスの関係の責任ある立場にはない状況で、オリックスの話が先行し、その上で、その後に経営責任に関与する立場になられたというふうに理解をしてございますけれども、ちょっと詳細のところにつきましては、また改めて別途、個別に御報告を申し上げさせていただければと思います。

亀井委員 そこは、じゃ事実関係、後で書面でいただきたくお願い致します。
 この情報は全部、ホームページからとってきていますから、内閣府のに出ています。
 それでは、次の質問に移ります。個人情報の保護についてです。
 この法案で非常に多くの人が不安に思っているのは、個人情報が保護されるのだろうか、本人の同意なく、事業者、開発者に提供されるということが起きないだろうか、そういう不安が大変ございます。
 今回、法律で、国、自治体等に対し、その保有するデータの提供を求めることができるという、できる規定になっているわけですけれども、では、国、自治体は断ることというのはできるんでしょうか。これは大臣にお伺い致します。

北村国務大臣 本法案におきましては、スーパーシティーを実現するために必要なデータの提供を国及び地方公共団体等に求めることができるとする、データの提供の求めに関する規定を置いておるところでございます。
 国、地方公共団体等がデータ提供の求めを受けた場合は、当該データの提供が、まず、実現しようとするサービスの効果的かつ効率的な実施に不可欠であるもの、更に、当該データの提供が他の法令に違反しないもの、更に、公益を害し、国等の所掌事務等の遂行に支障を及ぼさないもの、これらのいずれにも該当すると認めた時には、データの提供を行わなければならないとされておるところでございます。
 他方、これらの三つの要件のいずれかについて条件を満たさない場合、例えば、個人情報を含むデータの提供に必要な本人同意が得られていないなど、個人情報関係法令に違反している場合、違反するような場合や、データを提供するために膨大な事務作業が発生し、所掌事務等の遂行に支障を及ぼす場合、これらの場合には、国、地方公共団体等はデータの提供を拒むことができることとなっておるものでございます。

亀井委員 今、大臣に御答弁いただいたのは、第二十八条の二関係かと思います。そこに確かに三つの要件が書いてあって、その中の2番目というのが、他の法令に違反し、又は違反する恐れのないもの。この他の法令というのが一番考えられるのは個人情報保護法だろうと私も思いました。
 そこで、このスーパーシティーを具体的にイメージしないと、何が起こり得るのかというのがわかりませんので、ちょっと私が考えつく例を申し上げて質問を致します。
 例えば、バルセロナでごみ収集車が自動で運行するという事例ですけれども、こういったことをどこかの町がやりたいと考えたときには、その自治体が提供する情報というのは、その町のごみ収集スポット、場所の提供ですから、これは個人情報には当たらないと思います。
 一方、じゃ、ある町が薬をドローンで配達しましょうというようなサービスを始めようと決めた時に、例えば、松江市でしたら松江市がそう決めたとして、それで、病院は私立もあれば市立病院もあります。松江市が決めましたという時に、市立病院は協力しましょうというようなことになったとします。
 その時に、医療情報、患者情報が提供されてしまう可能性があると思うんですけれども、そこにかかっている患者さんというのは、一人一人病院から何か送られてきて、この実証実験に参加しますか参加しませんかというような、そういう確認の場があって、参加希望をする人のみ情報が提供されるというようなイメージでよいのでしょうか。その辺、参考人の方にお伺い致します。

村上政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘のようなケースにつきましても、参照する規範は本法の中ではなく個人情報保護法令にございます。従いまして、どの段階で、具体的なビジネスモデルは色々考えられると思いますが、いずれにせよ、本人同意が必要な個人情報の提供、利用に当たる場合は、同法に基づく同意確認手続が必ずこのスーパーシティーにおいても入るというふうに理解をしてございます。

亀井委員 すみません、これは大臣にも御答弁、通告していたので、実証実験に参加を望まない区域住民はデータ提供を拒否することができるかという質問を出しておりましたけれども、大臣にも確認させてください。拒否することはできますか。

北村国務大臣 スーパーシティー構想の実現に向けた制度の整備を盛り込んだ本法案におきましては、交通、教育、医療などを担う各サービス事業者及びデータ連携基盤整備事業者に対して、これまでと変わることなく個人情報保護関係の法令の徹底遵守を求めることとなります。
 また、個人情報保護関係の法令に定めるところにより、原則、住民本人の同意により個人情報の提供が行われることとなるものであります。
 いずれにいたしましても、スーパーシティーは、住民が住みたいと思う、よりよい未来の社会、あるいは生活を先行実現するものでございますから、住民にとって魅力あるサービスを提供することができるよう、住民の意向を十分踏まえた最先端技術の実装にしっかりと取り組んでまいりたいというものでございます。

亀井委員 原則という言葉に私は引っかかりましたね。原則そうだけれども例外はあるのかなというふうに聞こえますし、拒否できるのかどうかという質問を致しました。
 個人がその実証実験に参加したくない、例えば、私は病院に薬を取りに行きたいのであって、ドローンで届けてもらわなくて結構です、だから市民病院に対して情報を提供するな、どこに住んでいて何の薬を処方しているなんという情報を提供しないでほしいというような市民の要望というのは、きちんと受け入れられるものなのでしょうか、もう一度大臣に確認致します。

北村国務大臣 国の行政機関等が他の地方公共団体に対して個人情報を提供する場合において、個人情報の提供を受ける当該地方公共団体等が法令の定める事務又は業務の遂行に必要な限度で提供された個人情報を利用し、かつ、当該個人情報を利用することについて相当な理由のある時等と承知をしておるところでございます。

亀井委員 やはりお答えになっていないと思いますね。拒否できるかどうかということを伺っているので、拒否できますよと言っていただけるならば安心しますけれども、そういうふうにはとてもとても聞こえないですので、これは私の受け止め方としては、拒否できるとは確信を持てないということを申し上げておきます。
 そういうふうに私には聞こえますけれども、そういうことでよろしいですか。大臣にもう一度確認させてください。拒否できるとは言えないということですかね。

北村国務大臣 委員御質問の中で私がお答え致しました、個人情報保護関係法令に定めるところにより、原則、住民本位の、本人の同意により個人情報の提供が行われることになりますと、原則と申し上げたところに御指摘をいただいたように思います。
 私の承知する、不勉強でありますから、十分なお答えにならないかもしれませんから、参考人にも手伝ってもらいたいと思いますけれども、原則の他に、自治体に例外的な適用をする場合があるというふうなことを私は認識しております。

村上政府参考人 簡潔にお答え申し上げます。
 大臣から御説明させていただいたのは、原則の場合の例外は何だということについての例外について、大臣から御説明させていただいた通りでございます。
 なお、個人情報を取り扱う者に関しましては、個人情報保護法上の規定に基づき、同意できないものについては拒否できるというのが私どもの理解と整理でございます。

亀井委員 大臣ではなく参考人の方からできるという御答弁がありましたけれども、大臣からその御答弁が聞くことができないというのは、ちょっと私はこれは不安が残るところです。
 時間がだいぶなくなってきましたので、ここはちょっと私はまだ確信が持てないということで、先に進みたいと思います。
 住民の合意形成が非常に大事なところだと思いますけれども、国家戦略特別区域会議のメンバーというのは、これはどのように決まるのでしょうか。これは参考人の方に伺います。

村上政府参考人 お答え申し上げます。
 国家戦略特別区域会議は、担当大臣、北村大臣と、地方公共団体の長、それから特定事業を実施すると見込まれる者で組織すると規定されてございます。
 この特定事業を実施する者というものにつきましては、本件でいえば、データ連携基盤整備事業者や先端的サービスの提供事業者が想定されますが、いずれにおいても、エリア選定後に設置される区域会議において、公募等の手続を行い、その上で構成員として選定され、その上で実際に事業を行う区域計画の内容を決めていく、こういう段取りで選任をされていくという状況でございます。

亀井委員 そうすると、今のメンバーですと、住民代表のような人達はいないということなんでしょうかね。何か、自治体の長と選定された事業者とというような話合いだと、いわゆる事業を推進する側で話し合って決まってしまうような、そこにどうやってそこに住む地域の住民の声が反映されていくのかよくわからないんですけれども、その辺はいかがでしょうか。

村上政府参考人 お答え申し上げます。
 現在の国家戦略特別区域法の規定で明示を明らかにされておりますのは、大臣、自治体の長、それから事業実施を見込まれる者でございますが、あわせて、必要に応じ、意見を聞かなければならない者を参加させる規定がございます。
 実際にはそれぞれの区域で御判断をいただくことになると思いますが、エリア選定された後の区域会議のメンバーにおいて合意がとれれば、その中に住民代表の方も入っていただくというようなケースも当然考えられますし、区域会議の中に入らなくても、いずれにせよ、住民の合意の確認、意向の確認をとらないものにつきましては、そもそも基本構想が申請できない、こういう手続になっているというふうに承知をしてございます。

亀井委員 ということは、つまり、必要だというふうに認められない限りは、住民が入っていかれる仕組みというのは、今この段階では担保されていないということですよね。そういうふうに聞こえます。なので、ここは非常に私は不安が残るところですね。住民が置いてきぼりになって、上の方で決まってしまう。特に国家戦略特区というのは、諮問会議で決まってトップダウンでおりてくるものですから、住民が置き去りにされる可能性はこれは十分にあるなと今思いました。
 そこで、ちょっとトロントの事例について教えていただきたいんですが、トロントのウオーターフロント地区で、スーパーシティーの構想が自治体で進められながら、個人情報の提供に対して住民から大変な反対があって計画が遅れているということですけれども、これはどのような情報を事業者に提供しようとして住民の反対が起きたのか、その辺の詳細を教えていただけますか。参考人の方でお願いします。

村上政府参考人 お答え申し上げます。
 把握している限りの事実関係でいえば、大手米国系のIT系列会社がここはディベロッパーさん的な役割を引き取っておられまして、大きく課題になりましたのは、エリア内のあらゆる場所で人や物の動きをセンサーで把握しよう、それをビッグデータとして活用して、それを色々なサービスに生かそうというところ、例えば、町の人通りを全部見ていまして、その人通りの状況を見て、車道にしたり歩道にしたりといったようなことを考えてございましたけれども、全体の外縁がどこまで広がっていくのか、どういうサービスメニューなのかというところもなかなか確定できないまま、それがいいという市民の方と、よくないという市民の方と、その間に立たれた市役所の担当者の方との軋轢から、一旦、市役所の担当者の方がおやめになられるといったような事態もありまして、そこのコミュニケーションに大変苦労されている事例というふうに承知をしてございます。

亀井委員 今の御答弁を聞いて思うことは、要するに監視社会になるということなのかなと思います。今でさえ、たくさんカメラが街頭についているわけですけれども、それによって個人がどの程度特定されるのか、今もかなりの解析能力があるわけですけれども、常に監視されて、人の移動がセンサーで感知されてというところまでの社会を望んでいないということで、地元で反対が起きているのだなというふうに今私は解釈を致しました。
 時間が本当に足りないんですけれども、一つ質問を飛ばして、自動運転の項目に入ります。
 アメリカのアリゾナ州テンピで、2018年3月18日、完全自動運転の車が死亡事故を起こすという第一例目がありました。この事故に関してかかわっていたのは、実証実験の許可を得ていたウーバーとその車を開発したボルボ、それからソフトウエアの開発会社です。
 この事故がなぜ大きな話題になったかといいますと、その事故を起こした車に搭載されていた車内カメラからの映像、それが一般に公開されたんです、地元の警察によって。私もそれを見たんですけれども、人間のドライバーであれば、明らかにあれは止めることができる距離があったと思います。そのぐらい、右から自転車を押して歩く女性がいて、その人をはねてしまうんですが、肉眼だったらあれは本当に止められるだけの距離と時間があったと私も思いました。
 何が起きたかといいますと、バックアップドライバーといって、確認のためのドライバーは座っていたんですけれども、その人はスマホか何かを見ていて、よそ見をしていた。それで自動運転に頼って、その人をはねて死亡事故に至ったということで、これが訴訟になった時には、一体誰が責任を負うのかということで、かなり大きなことになるだろうと言われていましたけれども、現実には、表に公表されない形で和解が成立しました。
 ただ、この事件がアメリカ社会で今でも問題視されているのは、これから自動運転の車がどんどん出てきた時に、それが死亡事故を起こした時に一体誰の責任なんですかということなんですけれども、日本で実証実験が始まったとして、死亡事故等が発生したときにどのように対応されるのか、大臣にお伺い致します。

北村国務大臣 お話しいただいた、2018年3月にアメリカ合衆国アリゾナ州で、道路を渡ろうとしていた女性を自動運転車両が、同車両に乗車していた、運転者と言わずに操作者と言うそうですけれども、不注意もあって死亡させてしまった事故があったことを承知しております。
 今回創設を目指すサンドボックス制度では、こうした経験も踏まえて、関係法規の一括許可等を図るということのみならず、個々の近未来技術の実証内容に合わせた代替的な、代わりになるような安全確保措置などを、規制所管省庁とも協議の上、しっかりと担保することと致しております。
 また、万一、実証実験中に事故が生じた場合、その直接の責任は、他の規制の特例措置の場合と同様に、実施事業者自身が問われることとなるわけでございますが、規制所管省庁において関係法令に基づき立入検査や許可の取消しなどの必要な対応が講じられることとなると存じます。
 いずれにせよ、制度を運用するに当たっては、事故が発生することのないよう、規制所管省庁ともよく連携をとりながら、しっかり取り組んでまいらなければいかぬと思うものでございます。

亀井委員 最後の質問です。
 外務省の方にお出かけいただきました。
 今、大臣の御答弁では、事業者が責任を問われることになるのではないかということでしたけれども、先般締結された日米デジタル貿易協定、この中にアルゴリズムの提供禁止規定が入っております。アルゴリズム、つまり、コンピューターが計算を行うときの計算方法、手順についてですけれども、このデータというのは機密情報であって公開はしないのだということが決まってしまったというふうに私は理解をしています。
 これが提供されないと、事故原因がどこにあったのか、機械の誤作動なのかというようなことは捜査できないということになりますけれども、この私の認識は合っていますでしょうか。これが最後の質問です。

山口委員長 時間ですから、簡潔にお願いします。

中山大臣政務官 先生御指摘のように、日米デジタル貿易協定第十七条第一項において、自国でのソフトウエアの販売や流通等の条件として、ソースコードに加え、アルゴリズムを開示することを原則として要求してはならないことを規定しておりますが、同時に、同協定第十七条二項において、一方の締約国の規制機関又は司法当局が調査、検討、検査、執行活動又は司法手続のためにソースコード及びアルゴリズムの開示要求を行うことを妨げない規定をしております。
 日米デジタル貿易協定が御指摘のような障壁になるということは想定しておりません。
 以上です。

亀井委員 時間なので終わりますけれども、まだまだちょっと質問し足りないという状況でございます。十分な審議を行っていただきたくお願い申し上げて、終わりと致します。ありがとうございました。

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