【5/15衆議院農林水産委員会】
質疑の模様を、以下ビデオライブラリーにてご覧いただけます。
<質問要旨>土地改良法改正の経緯、土地改良と農業振興、土地改良後に耕作放棄地または宅地化した土地の割合、交付金の要件変更とGAP など
http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=48141&media_type=fp
平成30年5月15日 衆議院農林水産委員会議事録(文責:亀井事務所)
○伊東委員長 次に、亀井亜紀子君。
○亀井委員 立憲民主党、亀井亜紀子でございます。
土地改良法の改正案について質問させていただきます。
初めに、大臣に、本法律改正案の背景についてお伺いをいたします。
今回の改正は、TPPに関連して、規制改革推進会議の方から、農地の集積を進めるということで提案されたということが聞こえてきております。ただ、一方で、確かに、現場で組合員の減少も見られますし、今回指摘されているような問題も散見される中で、どのような背景でこの改正案に至ったのか、御説明をいただきたく、お願いいたします。
○齋藤国務大臣 土地改良区のあり方につきましては、平成28年の農業競争力強化プログラムにおきまして「更に実態を調査すること等を通じて、引き続き、検討していく。」という旨が明記をされておりまして、そういうこともあるものですから、これまで、現場からの御意見を伺うということを重ねてまいりました。
それで、現場の土地改良区の関係者の方々からは、大きく分けて二つなんですけれども、一つは、組合員資格に関しまして、組合員数が今御指摘ありましたように減少する中で、土地改良区を適正に運営していくためには、組合員ではない所有者にも協力を求めるということが不可欠であるとか、それから、大規模な担い手の増加が見込まれますので、その中で、それらの意向が反映されるよう理事要件というものを見直す必要があるとか、地区内の担い手の水需要の変化に対応した農業用水の配分を行うべきであるですとか、多面的機能支払いの活動組織が土地改良区が管理する施設の周辺まで活動していただけたらありがたいなですとか、そういう御意見を組合員資格に関してはいただいております。
また、土地改良区の体制に関しましても、選管選挙や総代定数など総代会制度を見直すべきであるですとか、零細な土地改良区の事務統合を進めるべきであるですとか、それから、土地改良施設の将来的な更新に備えて、その資産価値を正確に把握するため貸借対照表が必要なのではないかなどの御意見がやはり多々ございました。
したがいまして、そういう意見を踏まえて、本法案の準備の中で、組合員資格に関する措置としても、准組合員制度の創設及び資格交代手続の円滑化ですとか、理事の資格要件の見直しですとか、農業用水の利用の調整方法を定めた利水調整規程の策定ですとか、施設管理准組合員による土地改良施設の管理への参加の促進などを講ずることにいたしておりますし、土地改良区の体制に関する措置としても、総代会の設置要件の引下げですとか選挙管理委員会選挙の廃止など総代会制度の見直し、土地改良区連合の業務の拡充、あるいは貸借対照表の作成や員外監事の設置など財務会計の適正化を図るということとさせていただいているところでございます。
○亀井委員 丁寧な御答弁をいただきまして、ありがとうございました。
規制改革推進会議というと私は慎重になってしまうんですけれども、一方で、今回、現場にいろいろと確認をいたしましたら、かなり現場の要望も入っているようでしたので、背景についてお伺いをいたしました。
次の質問は参考人の方で結構です。
所有者と耕作者が同一か否かというのは、地域によって状況が相当異なるようです。今回質問するに当たって、我が党、立憲民主党は北海道の議員が農水委員会は多いんですけれども、北海道の方は耕作者と所有者が一致しているので余り実感が湧かないということで、西日本の私がきょうは質問をしております。
それで、お伺いいたしますけれども、日本全国で見た場合に、耕作者と所有者が一致しているかどうかというのは、どういう特徴があるんでしょうか。また、現在、農地の何割ぐらいが耕作者によって維持をされているのでしょうか。また、その中で企業体によるものは何割程度でしょうか。お伺いいたします。
○荒川政府参考人 お答え申し上げます。
今、土地改良法上の取扱いといたしましては、貸借地につきましては、原則として耕作者が組合員になるということになっておるわけでございますが、今先生から御指摘ございましたように、地域的にかなり偏在といいますかがございます。北海道、東北、北陸におきましては、土地改良法の原則どおり耕作者がなっておられる場合が多いわけでございますけれども、一方で、関東以西、東海、近畿、中四国、九州、こういったところでは所有者の割合が高くなっている実態にございます。
都道府県別に見ますと、特に北海道では貸借地の95%につきまして耕作者の方が組合員になっておられる一方で、例えば先生の御地元の島根県では逆でございまして、貸借地の95%について所有者の方が組合員になっておられるといったような実態があるわけでございます。
続きまして、2つ目の御質問でございます、農地のうちどのぐらいが貸借によって担われているのか、あるいは、そのうち法人経営体の占める割合はいかほどかという御質問でございます。
2015年の農林業センサスの結果によりますと、全国の経営耕地面積に占める借入耕地面積の割合は全国で約34%になっておりまして、この34%のさらに内訳といたしまして、法人経営体の占める割合は24%というのが全国平均でございます。
これをそれぞれ北海道と島根について見てみますと、北海道につきましては、経営耕地面積に占める借入耕地面積の割合は23%ということでございますが、さらに、そのうちの法人経営体の占める割合は約30%になっております。一方、島根県について見ますと、経営耕地面積に占める借入耕地面積の割合は約43%となっておりまして、このうち法人経営体の占める割合は約40%になっている、そういう実態でございます。
○亀井委員 ありがとうございます。かなり勉強になりました。
では、次の質問ですが、事業参加資格者、組合員の交代時に、今回、農業委員会の承認を廃止するわけですけれども、それはなぜでしょうか。農業委員会の負担軽減のためでしょうか。参考人にお伺いいたします。
○荒川政府参考人 お答え申し上げます。
現行制度におきましては、貸借地の事業参加資格者につきましては原則耕作者ということになっておるわけでございますけれども、例外として、農業委員会の承認を受けて所有者が事業参加資格者となることができるということになっております。先ほども御答弁したとおり、地域的にああいう形になっておるわけでございます。
この場合、現行制度のもとでは、所有者から耕作者へ資格交代をする際も、改めて資格交代の適否について農業委員会の承認を要するということとされておったわけでございますけれども、所有者から耕作者への資格交代につきましては、土地改良法の原則に戻すという手続でございますので、改めて農業委員会の承認を求める必要はないのではないかということ。
それから、先生、農業委員会の負担軽減かという御質問でございましたけれども、担い手への農地集積が加速している中で、農業委員会もいろいろなお仕事をされておられますが、農業委員会の承認手続に係る事務負担というものが、土地改良区の事業参加資格の円滑な資格交代の万が一にも支障になるようなことがあってはいけないのではないか。そういったことで、今般、この原則に服する耕作者に事業参加資格を移す場合につきましては、承認を廃止して届出制にするということにしたところでございます。
○亀井委員 農業委員の負担が昨今ふえているということを聞いておりましたので、それで先ほどのような質問をいたしました。
では、次はやはり手続に関する質問なんですが、組合員を所有者から耕作者にする場合は所有者と農業委員会への届出で済みますけれども、今度は、逆に耕作者から所有者に戻す場合はどのような手続になるのでしょうか。
○荒川政府参考人 お答え申し上げます。
繰り返しになりますが、土地改良法上、貸借地につきましては原則として耕作者の方が事業参加資格者となるということが想定されておるわけでございますが、この原則に反しまして、土地持ち非農家であられる方、所有者の方が事業参加資格者になろうとする場合には、その所有者が将来的に農地をきちんと適正に利用、管理されるかどうかということを改めて農業委員会が確認をしていただくということが必要だろうと考えておるところでございます。
今般の法改正におきましても、この原則と例外の場合のチェックということにつきましては引き続き必要であるというふうに考えておりますので、引き続き農業委員会の確認を必要とさせていただいているところでございます。
○亀井委員 今回、准組合員の制度を導入されるということですけれども、その資格の導入は土地改良区の任意とされています。
准組合員になるということは、発言ができるようになるわけですけれども、そのかわりに賦課金ですとか夫役を負担するかどうかという問題もありまして、これは任意なのでしょうか。また、所有者が准組合員になった場合、議決権はなくなりますけれども、では、賦課金や夫役はなくなるんでしょうか。
組合員と准組合員が入れかわる場合の、それぞれの利点は何であるのか。また、実際今回の改正でどの程度准組合員が広がると想定をされているのでしょうか。参考人の方にお伺いいたします。
○荒川政府参考人 お答え申し上げます。
今回の准組合員資格、准組合員制度でございますけれども、そもそもこの准組合員資格を導入するかどうかにつきましては、まず土地改良区の御判断、土地改良区の任意ということにされておりまして、定款で准組合員資格を定めた場合、要するに土地改良区として准組合員資格を入れるというふうになった場合においても、実際にその方が准組合員として組合に加入するかどうかというのは当事者の任意ということになっておるところでございます。
その場合に、准組合員になる場合に准組合員の方が賦課金や夫役といったものを組合員との間で分担するかどうかというのも、これも任意でございまして、分担をされる場合には、当事者の合意、要は従来の組合員の方と今度准組合員になられる方の合意によりまして、土地改良区に例えば半分ずつとか7対3とか、そういったようなことで負担割合を申し出ていただくといったような手続を考えておるところでございます。
それから、逆に所有者が耕作者に資格交代をして、みずからは准組合員として所有者の方が引き続き加入されるといった場合におきましても、これも先ほどの場合と基本的には一緒でございまして、新たに交代して組合員になられました耕作者との間でその所有者の方が引き続き賦課金や夫役を分担されるかどうかお話合いをしていただいて、合意をした場合には土地改良区に申し出ていただくということを考えておるところでございます。
それから、2つ目の御質問でございます。
そういった准組合員制度を入れることで、正組合員、准組合員のそれぞれにどんなメリットがあるんだろうかということでございます。
まず、正組合員となられる耕作者の方々におきましては、従来は所有者の方がなっておられたとして、新たに自分が、耕作者が正組合員になられるわけでございますので、土地改良事業の実施ですとか役員の選出につきまして、議決権、選挙権というものを行使することを通じまして、土地改良区の運営全般にみずからの耕作者としての意向を反映させることができるようになるということがあるわけでございます。
一方で、従来正組合員だった所有者の方が准組合員に引かれるといったような場合につきましては、従来であれば正組合員を譲った段階で土地改良区とは縁が切れてしまうというようなことだったわけでございますけれども、引き続き准組合員として、土地改良区の構成員として土地改良区の運営に参加していただけるといったようなメリットが考えられるわけでございます。
それから、3点目の御質問でございますが、今回の改正でどの程度准組合員が広がると考えておるかというところでございます。
今般、私ども、改正作業を進めるに当たりまして、全国の土地改良関係者の方々からいろいろな御意見を頂戴しておるわけでございますが、組合員資格のところにつきましては、組合員資格に関する土地改良区の選択の幅が広がるからよいことではないかといったことですとか、組合員が減少する中で今後土地改良施設の適正な維持管理を行うためには耕作者だけではなくて所有者の協力が不可欠であるといったようなこと、それから、一方で土地改良法上の耕作者主義という原則があるわけでございまして、この原則を維持しながら耕作者と所有者が一体となって土地改良区の運営に参加できるようになるのではないかなどなどの御意見を頂戴しているところでございます。
現時点で准組合員制度の導入は任意でございますので、4,500のうち幾つ導入するかというのを確定的に申し上げることはできませんけれども、先ほど申し上げました、御紹介したような現場のニーズは高いというふうに考えておりますので、これから法案を通していただければ、周知徹底を図って推進をしてまいりたいと考えておるところでございます。
○亀井委員 今回の改正について、地元、現場に問い合わせましたら、実態に合った改正なので特別問題はないであろうというような反応でした。
ただ、先ほど地域性について伺いまして、島根県の場合は95%が所有者だという御答弁をいただきましたとおり、やはり所有者の力が強くて、総会でもよそ者は黙っていろみたいな感じの土地ですから、実際これを変えたところでどの程度変わってくるのかと疑問視する声はございました。それで先ほどの質問になりました。
それでは、次の質問に移りたいと思います。
これは大臣に伺いたいんですけれども、土地改良の必要性ということについてお伺いをいたします。
先ほど、民主党の政権のときに土地改良の予算がかなり削減されたという御指摘がありましたけれども、確かにあのとき、やはり農業予算で少し公共事業予算の方に寄ってしまってはいないか、そこを削って、戸別所得補償ですとか、いわゆる農業者に直接支払いが行くような仕組みに変えようということで、そういう配分を変えたというのが政権の特徴であったとは思います。
私も、土地改良が要らないとは申しませんが、ただ、戦後もう何十年も、半世紀以上たって、かなり土地改良は進んできたのではないか、これからの土地改良というのは、農地集積もありますけれども、老朽化した施設の更新はあるにしても、それほどたくさんは必要じゃないんじゃないかという問題意識を持っています。
ですから、伺いたいんですけれども、今後必要とされる土地改良、例えば施設を更新するときに小水力発電の施設を取り入れるですとか、考えられることはありますけれども、どのようなものを考えていらっしゃいますか。
また、土地改良というのは、本当に農業振興に有効なのでしょうか。
この問題意識は、過去に土地改良したにもかかわらず、その後、そこが耕作放棄地になってしまったり、あるいは宅地化したりしていないかということなんですが、例えば、過去30年間に土地改良したところで耕作放棄地になったり宅地化した土地の割合というのは数値として出ておりますでしょうか。もしなければ、島根県に限定しても構わないんですけれども、数字がありましたら教えてください。
○齋藤国務大臣 まず、老朽施設の更新以外は余り需要がないのではないかという御指摘がありましたけれども、私もできるだけ地方の声を直接お伺いしたいということで、できる限り、地方から要請に来られる方とお目にかかることにしているんですけれども、新しい作物をこういう形でつくりたいんだとか、そういう御要望はすごくたくさんございます。
ですから、私の実感としては、新しい時代に即した新しい農業を展開するためには、どうしても今のままの農地、土地では難しいという御要望は相当あるんじゃないかなというふうに、実感としては思っております。
基本的には、今後も農業の発展基盤というものを維持強化していくためには、当然のことながら、生産基盤の整備を着実に進めていかなくちゃいけないと考えておりまして、どういうものという御指摘がありましたので、一つは、担い手への農地集積、集約化、あるいは、高収益作物への転換を促すような農地の大区画化ですとかあるいは汎用化。それから、御指摘のように、老朽化がかなり進んできております。この要望もたくさんいただきますので、老朽化が進んできた農業水利施設の長寿命化対策ですとか、あるいは農村地域の防災・減災対策など、競争力強化や国土強靱化の観点からの土地改良事業、これは依然として大変重要なものであるというふうに考えています。
それで、土地改良事業を実施することによってどういう効果がということでありますけれども、例えば、これまで圃場整備を実施した地区では、これは事例ですけれども、水田の大区画化や汎用化を通じて担い手への農地集積率が約30ポイント向上したですとか、稲作の労働時間ですけれども、約6割も削減されたですとか、野菜等の高収益作物への作付転換により収量や生産額が増加したなどの効果が発現をしている事例も多々ありまして、農業の生産性向上という観点が図られておりまして、土地改良は農業振興に極めて有効であるというふうに考えています。
また、小水力発電のお話がありましたけれども、農業水利施設を活用して小水力発電施設を設置するということにつきましては、土地改良区の維持管理費の縮減にもつながります。それから、農家負担の軽減にも資するということもあるものですから、今後とも土地改良事業の附帯事業として推進をしていくこと、これも重要だろうというふうに考えています。
それから、過去に土地改良事業を実施した農地のうち、耕作放棄地あるいは宅地化した農地の割合についてですけれども、これは私も事務方によく聞いたんですけれども、残念ながら悉皆的、定量的に調査をしたことはなかったということでありますので、私も、これはないでは済まないと思いますので、どういうことが可能か勉強していきたいというふうに思っています。
○亀井委員 これはぜひ調査をお願いいたします。
私の問題意識なんですけれども、土地改良を税金をつぎ込んで農業振興のためにやっているわけですけれども、その後きちんとその土地がどうなったかやはり見ていないのではないかと思っておりました。
それで、地元で聞こえてくる声なんですけれども、例えば、この間あそこは土地改良したばかりなのに、高速道路の橋脚が通って農地じゃなくなったとか、何かそんなような話も聞くんですね。そうすると、その土地に対しては二重に税金がつぎ込まれているわけであって、もしかしたら転用されるのがわかっていて一回区画整理したんじゃないのなんて言われることもあるくらい、ちょっと怪しげなところが散見されます。それで伺いました。
通告していなかったんですけれども、参考人の方、御存じだったら教えていただきたいんですけれども、全く、土地改良した後、例えば25年は転用してはいけないとか、そういうような決まりというのはないんでしょうか。お願いいたします。
○荒川政府参考人 お答え申し上げます。
優良な農用地をきちんと確保していくというのは大変重要なことでございます。特に先生お話ございました土地改良事業をやったようなところについては、優良農地として今後も農業をやっていただくということで事業をやったわけでございまして、そういうところにつきましては、別途、農地の転用の制度ですとか、あるいは農振法に基づきます農振農用地区域のゾーニングの制度、こういったものでしっかりと守っていくという考え方でございます。
一方で、そういった高速道路ですとか、そういういわゆる土地収用法の対象事業であるようなより公共性の高いようなものについては、そういったゾーニングなり転用の適用除外になっているというところも一部ございます。
ただ、基本的には、公共事業をやったところは8年間転用のことはやっていただかないということで、万が一にもそこをやっていただく場合には、その間につぎ込まれました税金相当分を特別徴収金という形で返していただくといったような取組もやっておるところでございます。
○亀井委員 ありがとうございます。8年間ですか。そのあたりを確認したいと思っていました。どの程度制限がかかるものかというのが、地元でもいろいろと、みんなわかっていなかったので、ぜひ伺いたいと思っておりましたが、やはりこれは相当調べられたらその後転用されている例が出てくると思いますので、数字がわかった段階でぜひ教えていただきたく、お願いを申し上げます。
それでは、最後の質問に移ります。
これは今回の改正案ではなくて別件なんですが、現場から悲鳴が聞こえてきましたので質問をいたします。環境保全型農業直接支払交付金の要件変更についてです。
政府が、GAPを広げたい、東京オリンピックに向けてGAPの認定を取得する農家をふやしたいという、その思いはわかるんですけれども、今回エコファーマーをこの環境保全型農業直接支払交付金の対象から外すということが聞こえてまいりました。
エコファーマーは、農薬や化学肥料の削減をして土づくりをする、本来この直接支払いの趣旨に非常に合った真面目な農業者ですけれども、一方で、GAPにはこういうことを求められていないわけですよね、農薬ですとか化学肥料を必ずしも削減しなくてもいい。けれども、GAPの実施を義務づける、エコファーマーを直接支払いから外すということについて、やはり余りにも乱暴ではないかと思います。
GAPの取得にエコファーマーが興味がないわけじゃないんですけれども、事務手続が大変で、できないと言っております。ですので、GAPの取得を広めたいのであれば、やはり事務手続についての何らかの補助がないと進まないと思いますし、何かの犠牲の上にGAPの取得が広まるというのはまたこれもおかしなことですので、今回の変更について、私は、中山間地の小規模、中小農業者の切捨てにつながると思っておりますので、この点について、大臣に御答弁をお願いいたします。
○齋藤国務大臣 まず、若干誤解も広がっているような気もしますので、少し正確にお話ししたいと思うんですけれども、この環境保全型農業直接支払交付金につきましては、委員御指摘のように、平成30年度から、本交付金の支援対象者に国際水準GAPの実施の要件を課したということでありますけれども、これはGAP認証の取得を求めるものではございません。まずその点をはっきりさせておく必要があるだろうと思います。
今般、国際水準GAPの実施を要件とした理由は、本交付金を受けておられます農業者は環境保全に資する取組を既に実施しているわけでありますので、GAPの取得と親和性が高いということ。この点でいえば、本交付金、今までエコファーマー認定ということであったんですけれども、現実には、このエコファーマー認定の有無にかかわらず、特別栽培農産物の生産者などにも実は交付をされておりまして、既に約半数がエコファーマー以外の方へ交付をしているという現実もあるわけであります。
いずれにしても、本交付金を受ける農業者はGAPの取組との親和性が高い、それからさらに、GAPの取組を実践することで、環境保全のみならず、食品安全や労働安全など、より持続的な農業経営を実践できるというプラスアルファもある、そういう考え方なんです。
この要件について、農業者に具体的にお願いをしていることといいますのは、農業者がGAPの知見を有する普及指導員や営農指導員などから研修や指導を受けた上で、GAPの考え方に沿って経営改善に取り組み、みずから確認をするということでありまして、民間のGAP認証の取得を求めたり、これまでに比べて過度に交付要件のハードルを高めているものではないと私ども考えております。
ただ、現場で混乱が生じないように周知は徹底をしていかなくちゃいけないと思っておりまして、パンフレット等を作成し、地方農政局や地方公共団体を通じて農業者の皆様に御説明しているところでありますが、引き続き丁寧に対応してまいりたいと思います。
なお、GAPについては、経営規模にかかわらず、小規模農家にとっても私どもは重要だと思っておりまして、その認証取得推進のためには、農林水産省として、都道府県等に対する指導員、審査員の育成支援ですとか、団体認証の推進、これを私ども進めておりまして、この団体認証の推進による審査コストの削減ですとか認証取得費用への支援ですとか、あるいは優良事例表彰による認証取得の効果の周知ですとか、それから、食品製造、小売等のフードチェーン全体でGAPの価値を共有、買ってくれる人にGAPの価値がわからなければ仕方がないので、そういう価値の共有をするための会議の開催などを進めているところでありまして、このGAPの取得そのものは今回の交付条件とは直接関係ありませんけれども、こちらの方も進めていきたいと考えております。
○亀井委員 現場で既に混乱しておりますので、御対応をよろしくお願いいたします。また、決してエコファーマーがGAPに興味がないわけではないので、手続に対する御支援をよろしくお願いいたします。
それでは、時間ですので終わらせていただきます。ありがとうございました。