【5/31衆議院農林水産委員会】 質疑の模様を、以下ビデオライブラリーにてご覧いただけます。
<質問要旨>農薬の再評価、ネオニコチノイド、ジェネリック農薬など
http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=48228&media_type= …
平成30年5月31日 衆議院農林水産委員会議事録(文責:亀井事務所)
○伊東委員長 次に、亀井亜紀子君。
○亀井委員 おはようございます。立憲民主党の亀井亜紀子でございます。
きょうもお時間をいただきまして、ありがとうございます。
短時間ですが、簡潔に質問させていただきます。
このたびの改正法ですが、現場からはおおむね歓迎する声が上がっております。初め、この法改正について私が読んだときに、規制緩和ではないか、そういう印象を持ちました。3年ごとに再登録されていた農薬が10年間は使えるようになるわけですから、そういう印象を持ったんですけれども、実際に現場で声を聞きますと、再登録のたびにお金がかかるんですね。それで、企業が余り再登録にお金をかけたくないので、使いなれていた農薬がいきなりなくなってしまう、企業がむしろ新しい方を登録して販売したいので、使っていた農薬が急になくなってしまう、そういう不便も現場で生じていたようでして、歓迎する声が上がっ
ておりました。
ただ、一方で、では、どのようにこれから一度登録された農薬を評価していくのか、その新たなスケジュール、再評価のスケジュールについて不安の声もございます。
ですので、初めの質問は、同じ物質についての再評価はどの程度のサイクルで実施されるのでしょうか。EUでは、初回10年、2回目以降15年となっていますが、日本ではどうなるのでしょうか。10年を超してから、物質ごとにグループ分けして再評価する中で、15年目にという物質も出てくるのではないかと思うんですけれども、それではちょっと長過ぎるように思いますし、システムについてお伺いいたします。政府参考人の方で結構です。
○池田政府参考人 お答えいたします。
農薬の新規登録には、メーカーが数年以上かけて創薬をした上で、7、8年をかけてデータを作成し、さらに、国が2、3年をかけて審査をいたし、効果と安全性を確認しております。
さらに、再評価は、農薬の安全性を向上させるために最新の基準に基づいて評価をし直すものでございまして、その実施間隔でございますが、農薬の安全性に関する試験方法が更新される期間、こういった期間に合わせる必要があること、あるいは、再評価を短期間で実施した場合には、国の評価やメーカーの開発にも影響いたしまして新規農薬の登録がおくれるおそれがある一方で、再評価の効果が小さいことなどを踏まえまして、15年とすることを想定してございます。
ただ、これに加えまして、今後は、毎年の農薬メーカーからの報告などによる継続的なモニタリングを行いまして、安全性に関する知見が明らかになった場合には再評価を待たずにいつでも評価を行うことにより、現行制度以上に農薬の安全性を確保していくということとしてございます。
なお、再評価の期間でございますが、今後も科学の発展の動向あるいは国際動向も踏まえつつ、必要な場合には柔軟に変更できるように、法律ではなく省令において実施間隔を定めることとしているところでございます。
○亀井委員 随時見直しを行うということですので、国際的な動向ですとか、いろいろな最新の科学的知見に基づいて柔軟に評価をしていただきたいと思います。
そこで、先ほど江田議員も質問されたことなんですけれども、私もネオニコチノイド系農薬について質問させていただきます。
私は、4月の5日の一般質疑のときに、ネオニコチノイド系農薬の規制について質問をいたしております。その後、先日、5月26日、TBSの「報道特集」でも、ミツバチが突然いなくなる現象とネオニコチノイド系の農薬との関係について報道されておりました。
この農薬については、EUでは屋外での使用が一部規制をされてきております。そして、日本でも、現場からは規制の声がかなり高まっております。
4月5日の質問の際にいただいた御答弁では、先ほどの御答弁にもありましたけれども、カメムシの防除の時期に殺虫剤として水田で使用しているので、その時期に巣箱を退避させてほしいと。「ミツバチの巣箱等にかからないよう使用面での対応を進めるとともに、農家と養蜂家の皆さんとの情報共有を徹底していただくといったことで農薬の散布時に巣箱を退避していただく、こういった対応を進めてきてございます。」という御回答でありました。
けれども、「報道特集」をごらんになると理解いただけるかと思うんですけれども、巣箱というのは1つ30キロほどは重さがありまして、そして、幾つもあるんですよね。ですから、数個でしたら退避させることができますけれども、何十箱とあったら、それを退避させる、運ぶというのは大変な重労働です。ですので、対応策としては現実的ではありません。
やはり養蜂家の置かれた立場について御理解いただきたいですし、ミツバチというのは、養蜂家だけではなくて、ほかの作物の受粉にもかかわっておりまして、生態系全体の問題ですから、もう少し現実的な御対応をお願いしたいんですけれども、この点については大臣に御答弁いただきたく、お願いいたします。
○齋藤国務大臣 巣箱の退避につきましては、一概に言えませんで、巣箱を移動して養蜂を行う養蜂家もございますが、一方で、ふだんから同じ場所に巣箱を置いて養蜂を行う養蜂家、こういう方々にとっては負担感があるのは現実だろうと思います。
そのような養蜂家の方には、御指摘のあった水稲の開花期に巣箱を退避するというもののほかにも、ミツバチの移動が盛んな午前8時から12時の農薬散布を避け早朝や夕方に行うですとか、ミツバチにかかる可能性の低い粒状の殺虫剤を使用したりするなどの対策が有効であると考えておりまして、農林水産省としては、都道府県が中心となって、農家と養蜂家の双方が出席する協議会を設けるなどした上で、地域の実態を考慮して、これらの対策の中で実行しやすい取組を推進するよう指導をしているところであります。
今後とも、現場の声にも耳を傾けながら、ミツバチの被害軽減対策の推進に努めてまいりたいと考えております。
○亀井委員 なぜ、農薬そのものに問題があるかもしれないと疑って再評価をするようなことをされないんでしょうか。
実は、農薬の登録取消しというのは、過去に1度も行われたことがないと聞いております。農薬の製造者や販売者への影響が多いので、実際には行われていない。ということですと、先ほどおっしゃった、随時見直しを行うということの現実性が疑われてまいります。
まさに、今、ネオニコチノイド系農薬のように問題が指摘されている農薬が出てきているわけですから、一度、例えば登録を取消ししなくても、1回保留をして再評価や対策を講じる必要があると思いますけれども、そういった御対応はとれないんでしょうか。もう一度大臣にお願いいたします。
○齋藤国務大臣 まず、農薬は、登録をするときに、効果と安全性について厳正に審査した結果問題がないと確認されたもののみまず登録しているということ、それから、再評価は、科学の発展に対応するため、過去に登録された農薬について、最新の科学に照らして継続的に安全性を向上させていく、こういう性格のものだということです。
このため、再評価では、国民の健康や環境に対する影響の大きさを考慮して、まずは国内での使用量が多い農薬から優先的に進めていくこととしておりまして、ただ、具体的な農薬ごとの再評価時期は今まだ検討しているところであります、数も多いものですから。
御審議いただいている改正法案が成立した後、速やかに再評価の優先度を示すとともに、各年ごとに評価対象となる有効成分名についても順次告示をしていきたいというふうに考えております。
○亀井委員 その優先順位のトップにネオニコチノイド系を挙げていただきたく、真剣な御対応をお願いいたします。
それでは、次の質問に移ります。
今回の法改正は、ジェネリック農薬を普及させたい、そういう趣旨がございますけれども、日本の農薬メーカーというのはどの程度の競争力があるんでしょうか。また、農薬の主要成分というのはどの程度輸入されているものなのか、その点についてもお伺いいたします。参考人の方で結構です。
○池田政府参考人 お答えいたします。
まず、農薬の有効成分の生産量でございますが、国内生産量が約6万トンであるのに対しまして、輸入量は約3万トンというふうになってございます。
また、日本の農薬メーカーでございますが、世界における農薬の新規有効成分数に占める日本メーカーが創薬した有効成分数のシェアは約4割ございまして、海外メーカーと比較してすぐれた新薬の創薬力を有しており、高い競争力を持っていると考えているところでございます。
○亀井委員 私が思っていたよりは競争力があるんだなと思いました。では、この分野は力を入れていただきたいと思います。
最後に、これは農協に関する質問なんですが、現場から、ジェネリック農薬にしても、肥料もそうなんですが、同じものを農協を通して買うと高いという声が聞こえております。
これは一体何が原因なのか、もし思い当たることがありましたら、御答弁いただきたいと思います。
○枝元政府参考人 お答え申し上げます。
我が国の農業資材の価格でございますけれども、平成28年度に韓国と比較を実施いたしまして、多くの肥料、農薬が我が国の方が高いという結果になりました。
また、農協系統は、農業者への資材供給のうち、例えば肥料では7割、農薬では6割を担うなど、非常に重要な役割を担っているという状況でございます。
こういう事実関係のもとで、当時、我が国におきます資材価格についての分析をいろいろ行いました。その結果、各都道府県で細分化された施肥基準ですとか、農協が策定する栽培暦による銘柄の指定、あと、オーダーメード銘柄の製造など、多銘柄を少量ずつ生産する構造にあること、メーカーの工場の稼働率が低いことで高コストな生産構造にあること、また、生産資材の価格ですとか品質の違いが見える化されておらずに競争原理が十分に発揮されていない、こういうことが課題じゃないかというふうに考えてございます。
このため、資材価格の引下げに向けまして、競争力の強化プログラムですとか競争力強化支援法に基づきまして、農業資材に係ります規制等の点検、見直し、また、資材業界の自主的な事業再編、参入の促進、農業資材価格の見える化などの取組を進めているところでございます。
また、全農では、農業競争力強化プログラムを受けましての自主改革といたしまして、肥料について、系統独自銘柄の設定によって膨大な銘柄数となっていて、メーカー間の価格競争が起きにくい状況にある、こういう状況であるということを踏まえて、この春から、一般高度化成肥料の約400銘柄を17銘柄に集約いたしまして、かつ、入札の方式を導入することによって、おおむね1割から3割の価格の引下げに結びついているという状況でございます。
また、農薬につきましても、ジェネリック農薬の開発に向けまして、現在、1剤について開発に着手するなど、農協系統としても資材コストの低減に向けた取組を実施しているところでございます。
引き続き、系統を始め関係団体ですとか資材の事業者、また地方公共団体等々と意見交換を進めながら、資材コストの低減に係る取組を進めてまいりたいと存じます。
○亀井委員 本来、農協というのは農業者のために、大量に共同購入するので安くなきゃいけないんですけれども、実際には、肥料も、安いと思って買っていたら、近くの量販店で売っているものの方が安かったですとか、そういう声がどんどん現場に広がっておりまして、農協の信頼がなくなっていくと思いますので、実際に今そういうことが起きているという、そのことを御報告して、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。