【3/14衆議院農林水産委員会】
亀井亜紀子の質疑を、以下ビデオライブラリーにてご覧いただけます。
<案件>改正漁業法(TAC導入と運用等)、北朝鮮漁船の侵入・漂着、日本海の領海警備対策、養殖業の課題
http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=48819&media_type= …
平成31年3月14日 衆議院農林水産委員会議事録(文責:亀井事務所 ※吉川の吉は土に口)
○武藤委員長 次に、亀井亜紀子君。
○亀井委員 おはようございます。立憲民主党・無所属フォーラムの亀井でございます。
きょうは、漁業一本に絞って質問をさせていただきます。
去年の臨時国会で、70年ぶりの漁業法の改正がありました。改正というよりも新法に近かったと思います。従来の漁業法に資源管理の法律が組み合わさって、電話帳のような分厚さで、中身を見ると各項目が対照になっていないような、新法に近いものだったと思いますので、質問時間が足りませんでした。
まず、資源管理についてお伺いをしたいと思います。
改正漁業法は、資源管理の手法が大きな争点の一つでした。漁獲量減少の理由として地球温暖化などが指摘されているんですけれども、そこで、きょう、皆様に資料をお配りしております。この資料をごらんください。
まず1枚目なんですが、これは世界と日本の水揚げ量の推移。この水揚げ量というのは天然プラス養殖です。両方含んだ漁獲量です。これを見ますと、日本だけがひとり負けですね。世界の水揚げ量は上昇している、それに対して日本だけがひとり負けしている、そういう表になっております。
ところが、次の2ページ目をごらんください。真ん中より下の二つのグラフですけれども、これを見ますと、先進国の漁獲量というのは横ばいです。よくノルウェーの漁業などが引き合いに出されますけれども、ノルウェーも決して漁獲高が上がっているわけではなくて、横ばいですね。EU、米国、似たようなものです。それに対して、右側の開発途上国、中国、インドネシア、ベトナム、こういうアジアの新興国の漁獲量が増大しておりまして、特に中国です。ですので、世界の水揚げ量、各国上がっているという中のかなりの部分は中国ではないか。そうすると、日本は位置的に中国から近いわけですから、日本の漁獲高がひとり負けするというのもあり得る話だと思いました。
そこで、私の質問ですけれども、政府は、昨年の漁業法改正、これは、資源管理の手法を入れたというのは、この1枚目のグラフなどを見て、日本の資源の減少というのは乱獲が原因だ、だからTACという手法を取り入れたのでしょうか。農水大臣にお伺いいたします。
○ 吉川国務大臣 亀井委員も御承知のことと存じますけれども、我が国におきましては、水産資源の減少によって漁業生産量が長期的に減少傾向にあるという厳しい課題に直面もいたしております。
その要因でありますけれども、1つ目には海洋環境の変化、2つ目には周辺水域における外国漁船の操業活発化など、さまざまな要因が考えられると存じますが、より適切に資源管理を行っていれば減少を防止、緩和できた水産資源も多いのではないかと考えられます。
このような中にありまして、将来にわたって持続的な水産資源の利用を確保するために、昨年12月に改正された漁業法におきましては、資源を維持、回復させる目標を関係者と共有してこれを実現するため、数量管理に軸足を移した資源管理を行うことといたしたものでございます。
○亀井委員 幾つか全体的な理由を述べられましたので、乱獲が原因ということではお考えじゃないのかなと思いますが。
漁業者は、TAC、漁獲可能量というものを信用しておりません。昨年の議論でも、このTACが果たして有効なものなのか、科学的根拠があって、これを導入すれば資源管理が適切にできるのかという議論がありました。諸外国と違って日本は多種多様な魚をとっていますから、そんなに単純に管理できるものじゃないという指摘もあるわけですけれども、そのほかに、漁業者がTACを信用しないことにはやはり理由があります。
昨年、千葉県の小型漁船の漁師に話を聞いたんですけれども、この方は、20年前にスルメイカをTACの対象魚種にしてほしいと国会前でデモをした方でした。かつて、千葉県沖では、宮城の方からスルメイカがおりてきて、たくさんとれたんだそうです。それが20年ほど前にとれなくなってきたので管理していただきたいと、それでTACを要望したそうで、実現したんですけれども、逆に全くとれなくなった。その経験があるので、今はもうイカはとれないのでキンメダイをとっているそうなんですが、このキンメダイが今回TACの対象になったときに、いよいよとるものがなくなって廃業せざるを得ないのでやめてくれ、そういう要望でした。
じゃ、なぜこのTACで資源管理をすると、漁獲可能量を決めると逆に資源が減ってしまったのかということを検証しなければいけないと思います。一部の専門家の指摘には、規制するというのは、通常は現在とっている量よりも少なく枠を決めるので規制がされるんだけれども、当時は、とっていた量よりも多いところに規制をかけたので、逆に、そこまでとりなさいという努力目標のようになってしまって、TACが形骸化した、そういう指摘もあるようなんですけれども、一体なぜ機能しなかったんでしょうか。また、今回はどのように運用されるのか、農水大臣に質問いたします。
○ 吉川国務大臣 水産資源は、漁業がなくても、海洋環境の変動に伴い資源そのものが変動するとの特性を有していると言われております。また、環境の変動による影響の大きさは資源により異なりますけれども、一般に、表層を回遊する魚種や寿命の短い魚種の方が変動の幅が大きいとされております。御指摘をいただきましたスルメイカでありますけれども、このような魚種の代表例でございまして、研究機関によりますと、近年の資源の減少傾向は産卵場の水温変化等の環境変動の影響が大きいとされております。
一方で、資源が減少傾向にありますときには、無秩序な漁獲を行いますと、減少に一層の拍車がかかりまして回復に時間がかかるために、一定以上の資源をとり残すことは、資源管理上、最低限必要であると考えております。スルメイカにTACを設定することは、今申し上げましたようなことから重要であるのではないかと考えているところでございます。
○亀井委員 ちょっと御答弁が、今後の運用についてどうなるのかというのは余りはっきりしないと感じたんですけれども、ただ、時間がなくなってしまいそうなので、取り急ぎ先に行きたいと思います。
定置網に関してですけれども、この委員会で1月に視察に行かせていただきまして、養殖の現場ですとか、あと、定置網の漁師さんのお話も聞きました。私の地元の島根の漁師さんとも話すんですけれども、やはり定置網漁師が減少すると漁村は衰退すると思います。彼らが漁村に住んで、すぐ近くの浜で漁をしているわけですから、この分野に若者が、新規の人が入ってきているわけでして、定置網漁を守らなければいけないと私は強く感じております。
そこで、昨年も質問したんですが、沿岸漁業、定置網はTAC対象から除外すべきだと私は思います。クロマグロの例も出しました。定置網というのは、魚を追いかけてとりに行くのではなくて、網を張ったところに魚の方が飛び込んでくるわけですから、その中で魚種ごとに分けるということは難しいですから、クロマグロだけ、今も選別してというような手間があるわけで、これはTACは沿岸には適用すべきじゃないと私は強く思いますけれども、農水大臣の御答弁をお願いいたします。
○ 吉川国務大臣 沿岸漁業におけます漁獲量管理の具体的な実施に当たりましては、定置網漁業を含め、多様な漁法で多様な魚を漁獲している沿岸漁業の特性にも配慮しなければならないと存じております。漁業者の負担を最小化し、効果を最大限発揮できるような管理手法、さらには漁業者の意見を伺いながら丁寧に構築をしていかなければならないと存じております。
○亀井委員 伊東に委員会で視察をして、定置網の漁師さんにもお話を聞きました。いろいろと知恵は絞っているようですけれども、例えば、網の上のところをちょっとすかせておいて魚が逃げられるようにするですとか、最大限の努力はしていると思います。それでもやはり、いろいろな魚が逃げるわけで、対象魚種だけが逃げてくれるわけじゃありませんから、TAC対象の魚種をふやしていくと、どうしたって定置網の人たちの影響は出てきますよね。それは現場を見ても私は強く感じましたので、農水省には丁寧な対応をお願いいたします。海外で沿岸漁業が対象じゃないところはありますから、日本もそういう国に見習って、ぜひ外していただきたいと強く要望いたします。
次の質問に移ります。
きょうは外務省からもお出かけいただきました。ありがとうございます。
私の地元、隠岐島を含んでおります。ことしに入って、1月に北朝鮮の漁船が漂着しまして、4人の北朝鮮人が上陸をしております。たまたま発見されたのでよかったんですけれども、誰も気がつかなかったら密入国になるところでした。この事件があってから、非常にやはり警備について危機感を持っております。
そして、私も地元の人間に聞いた話なんですけれども、昨今、北朝鮮の漁船が日本に漂着する原因となっているのは、北朝鮮が外貨を得るために排他的経済水域の漁業権の一部を中国に売却している、そのために、北朝鮮の漁船が従来の北朝鮮の海域の外で操業するために、より日本に近いところで操業せざるを得なくて、それで冬場に遭難して漂着している、そういうことが今言われています。
国連の報告書などでも、北朝鮮の国旗を掲げて偽装した中国漁船が操業しているですとか、おととしの、日本の報道ですけれども、北朝鮮の中国への漁業権の売却益が76億円ほどというような数字もあったようですけれども、この件について、外務省は何か情報を得ておられますか。また後ほど同じ質問を農水省にもしたいと思います。まず、外務副大臣、お願いいたします。
○佐藤(正)副大臣 お答えいたします。
朝鮮半島からと思われる船舶の漂着事案は、一昨年及び昨年はそれ以前よりも増加しているというふうに承知しております。その理由について一概に申し上げることは困難でありますが、例えば、昨年10月以降、日本海における荒天が多かったことに加えまして、国際社会による北朝鮮に対する制裁によって食料不足が懸念される中、北朝鮮当局が漁業を奨励したという見方、あるいは、北朝鮮が外貨獲得のために第三国に漁業権を売却し、第三国の漁船が北朝鮮周辺で操業するようになった結果、北朝鮮の漁民がより遠くに出航せざるを得ないという状況になったという見方があります。
また、漁業権の価格につきましては一概に申し上げることは困難でありますが、例えば、先般公表されました安保理北朝鮮制裁委員会の専門家パネルの報告書においては、月額5万人民元、約7,250米ドルとの記載があると承知しております。
いずれにせよ、我が国といたしましては、関連動向につき、引き続き重大な関心を持って情報の収集、分析に努めていきたいと思っております。
○ 吉川国務大臣 国連安保理北朝鮮制裁委員会の専門家パネルが今週公表した報告書におきましては、日本、中国、朝鮮半島及びロシアに囲まれた漁場におきまして、北朝鮮の漁業許可証を所持していると見られる中国漁船が確認されたとの記載があることは承知をいたしております。これらの中国漁船の存在が北朝鮮漁船を北朝鮮の漁場から追い出しているとの見方があることも承知をいたしております。ですが、これを裏づける具体的な情報を残念ながら持ち合わせておりません。
漁業権の価格も申し上げますか。また、今の、先ほど申し上げました同報告書におきまして、加盟国からの質問に対して、中国漁船の漁民が漁業権の価格は月額5万人民元であると回答したとの記載もあるところでもございます。
○亀井委員 ありがとうございます。やはり、そういう情報が入っているということは、地元の漁師の言い分と合っていると思います。
それで、次に、これはコメントですけれども、北朝鮮の4人が上陸し、隠岐の島町の住民が対応しました。実際に対応した人の印象ですけれども、漁師ではないのではないかと言っています。それは、例えば、着のみ着のままで漂着して、衣類を提供したわけですけれども、それを非常にきちんときれいに畳んで返してくると。別に漁師さんがきちんとしていないと言うつもりはないですけれども、ただ、その立ち居振る舞いが漁師ではなくて軍人ではないか、そういううわさも立っているということは御報告をしておきたいと思います。
次の質問に移ります。
このような状況ですので、領海警備をきちんとしてほしい、そういう要望が強く上がっています。また、海上保安庁の大型巡視船を求める声、当然強くなっておりまして、ことしの予算書を拝見したところ、先日、予算委員会の分科会でも確認をいたしましたけれども、日本海に配備する予定で、2隻の大型巡視船、37.5億円の予算が計上されております。これは率直に評価したいと思います。
これは、これから建造するんでしょうから、実際に日本海に配備するのはいつごろになるんでしょうか。また、それまでの間、特に冬場、日本海は大変荒れますが、この間、どのように警備を強化されるのか。
先日、島根のカニかご漁船がロシアに拿捕される、そういう事件も起きまして、本当に強化していただきたいのですけれども、巡視船が間に合わないのなら、例えば舞鶴の方から冬場だけでも回してもらえないだろうかとか、そういう具体的な要望が上がっておりますので、阿達国交政務官にお尋ねいたします。
○阿達大臣政務官 委員御指摘の大型巡視船2隻については、海上保安体制の整備ということで29年度当初予算から始めておりまして、この大型巡視船2隻については、来年2月ごろ及び8月ごろをめどに1隻ずつ日本海側に配備することを検討しております。
また、日本海側の冬場の対応については、現場の状況に応じて、各部署の大型巡視船及び航空機を広域的かつ効率的に運用することで、領海警備等に万全を期しているところです。
今後とも、海上保安庁の体制強化を着実に進めるとともに、巡視船や航空機の哨戒により、日本海側を始めとする我が国周辺海域において操業する日本漁船の安全確保に努めてまいります。
○亀井委員 ぜひよろしくお願いいたします。イージス・アショアとかいう前に、足元の領海警備をきちんとしてくれというのが切実な声ですので、よろしくお願いいたします。
では、次の質問です。養殖についてです。
委員会の視察で、沼津のマダイ養殖現場を視察しました。マダイ、アジの養殖業の実情についてお話を伺ったんですけれども、その際、印象に残ったのは、生産コストの6割を飼料代が占めていて、輸入配合飼料の高騰が経営を圧迫しているとのことでした。これは酪農、畜産でも同じ構造だと思いました。
昨年の漁業法の改正は養殖を推進しようというような意図が見えたんですけれども、昨年、宮城県の水産特区の事例についても野党の議員で視察をしたところ、思ったようにはいっていない、桃浦のカキについても、予定したような量はとれなくて、漁の解禁を守らずにとってしまったり、ほかの湾のカキを持ってきてしまったりという事例があったと地元で聞きました。ですので、決して、企業参入を推進して養殖業に入っていっても、うまくいっていません。宮城県の方も、もうかるものならもっと企業がどんどん入っているだろう、やれるものならやってみろというようなことでしたし、その発言が、今回、沼津を視察して輸入飼料の話を聞きましたので、納得したんですけれども。
では、どのように養殖を推進されるんでしょうか。また、昨年の法改正の後、またそれを見越して、養殖業に企業参入を予定している、そういう事例はありますでしょうか。お伺いいたします。
○濱村大臣政務官 御指摘のとおりでございますけれども、まず、養殖業の振興につきまして、国として、国内外の需要を見据えた戦略的養殖品目について設定をしてまいりたい、そして、生産から販売、輸出に至る総合戦略を策定した上で、本格的に取り組んでまいりたいと考えております。
こうした戦略的な取組とあわせまして、我が国の水域を最大限活用できるように、さきの臨時会におきまして漁業法を改正させていただきましたが、意欲的に養殖業を営む者が安心して漁業経営や将来に向けた投資をできるように取り組んでいるところでございます。
また、先ほど御指摘もございました、魚粉飼料が高いというようなお話もございましたけれども、そうしたことに対応するためにも、低魚粉飼料や高効率飼料の開発に加えまして、養殖業の振興の課題に対応するために、優良種苗の開発、新技術を活用した協業化の推進や沖合養殖システムの開発、これらは予算措置をしておりますけれども、我が国における養殖業の発展を更に図っていくこととしております。
今後、このような施策を総合的に実施してまいることにより、我が国の養殖業の振興を積極的に図ってまいりたい、このように考えておりますが、法改正を見越してということでございますが、具体的に申し上げるわけでございますけれども、最近では、青森県深浦町におきまして、地元企業が、地域と協調のもと、効率的な生産を目指した海面での大規模な生食用サーモン養殖を開始しておりまして、今後、拡大を図る方向にございます。地域の活性化に寄与するのではないかということで、期待を集めている状況でございます。
また、水産政策の改革の発表以降、魚類養殖が盛んに営まれてこなかった岩手県の宮古市におきましても、地元漁業者、配合飼料製造企業及び地元自治体が連携して養殖業に着手しようという事例も出てきておりまして、今後、地域と協調した企業の参入が進展することを期待しておるところでございます。
○亀井委員 時間が来ましたので、ここで終わりたいと思います。ありがとうございました。