【3/7衆議院農林水産委員会】
大臣所信に対する亀井亜紀子の質疑を、以下ビデオライブラリーにてご覧いただけます。
<案件>豚コレラ(ワクチン使用)、農山漁村の人口減少、家族農業、種子法、農薬(グリホサード、ネオニコチノイド系)、TPP
http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=48733&media_type= …
平成31年3月7日 衆議院農林水産委員会議事録(文責:亀井事務所 ※吉川の吉は土に口)
○武藤委員長 次に、亀井亜紀子君。
○亀井委員 おはようございます。
大臣所信と豚コレラについて質問させていただきます。
大臣所信から入ろうかと思っていたんですけれども、けさ、豚コレラのまた新しい事例が発生したということですので、質問の順番を変えて、初めに豚コレラについて質問させていただきます。
豚コレラ、昨年からどんどん広がっていって、しばらくニュースがないので終息したかしらと思うと、またぽつっと次の事例が報告されて、そしてまた、けさ報告があってということで、なかなか終息いたしません。
この間、立憲民主党でも勉強会を重ねて、そして、途中で、これはワクチンを使用しないと拡大をとめられないのではないかというような、そういう気持ちになったときもあるんですけれども、最終的には、私たちは、やはりワクチンはだめなのだというところに落ちつきました。専門家の意見を聞いて、やはりワクチンは使用すべきではないと思います。それはやはり、農水省が今もまだ使っていないというその見解と一致するのだと思います。
ワクチンを使用することの問題というのは、一つは、汚染国になってしまうと、内外無差別の規則があって、他の汚染国からの畜産物の輸入が解禁されてしまうということ。それから、ワクチンになれてしまうと、やはり使用してほしいという畜産農家からの要望が強く出るようになって、清浄国に戻るまでに、場合によっては十数年かかってしまうかもしれないということ。そして、決定的な理由は、ワクチンというのはやはり変異していくものなので、当初ワクチンが効いても、ウイルスが変異して効きにくくなっていく、そのときに、ワクチンが存在しないアフリカ豚コレラが入ってきたときにはもうお手上げなので、やはり安易にワクチンを使用してはいけないというのが最近私たちが聞いた専門家の意見で、そこに非常に納得ができました。
そこでお伺いいたしますけれども、農水省がやはりワクチンを使用しないというのは、野生のイノシシにしか使わないというのは、そのような理由である、そして今後もその方針であるということでよろしいでしょうか。
○ 吉川国務大臣 亀井委員が今御指摘をされた認識と私も一緒でございます。
農林水産省が定める豚コレラに関する特定家畜伝染病防疫指針におきまして、ワクチンの使用につきましては、慎重に判断する必要があり、我が国における本病の防疫措置は、早期発見と患畜及び疑似患畜の迅速な屠殺を原則としているところでもございます。
現在までの発生事例につきましては、疫学調査チームの報告等によりますれば、飼養衛生管理基準の遵守がなされていたとは言えない部分もあると言われております。現段階では、各府県と連携をしながら、飼養衛生管理基準の遵守及び早期発見と迅速な屠殺によりまして、同病の発生予防及び蔓延の防止を図っていくことが今のところはベストであると考えております。
またさらに、平成8年から18年まで丸11年間かけて、ワクチンに頼らない清浄化を達成をしたところでもございまして、その後に、農場における飼養衛生管理基準を遵守することによってワクチン非接種清浄国を実現をしてきた経緯というものもございます。
ワクチンの使用につきましては、極めて慎重に対応していかなければならないと考えております。
○亀井委員 ワクチンの使用以前にやるべきことがたくさんあると思います。
昨日、豚コレラの感染の原因について、委員会でも報告がありましたけれども、ひど過ぎると思います。衛生管理区域の中に車両が立ち入る際に適切な消毒が行われていなかった、豚舎の内外を、飼料を運ぶ手押し車などの飼養管理器具が行き来していた、豚舎間の豚の移動に際して、豚を移動させる通路等を事前に洗浄、消毒せずに移動させていた、こういうずさんな例がたくさんあるわけですから、まずこういうところを徹底することが先だと思います。
けれども、現実に今感染が広がっているわけで、現場の方、養豚農家の御心配、それから屠殺にかかわる方々、今、獣医学部の学生も、注射を打つために現場に駆り出されていて、精神的にもかなり参っているというような報道もありまして、本当に私も胸が痛みます。
一刻も早く終息することを願いながら、農水省にも、万全の対応、今後、感染を防ぐための基本的な対策をお願いしたいと思います。
今、私たちも要望をまとめておりまして、できれば委員会で決議の形にできればと用意しているところですので、御協力いただきたく、よろしくお願いいたします。
それでは、大臣所信についての質問に移りたいと思います。よろしくお願いいたします。
まず、これは本当に答えがないと思うんですけれども、大臣所信ですので大きなテーマから入りたいと思います。人口減少、特に農山漁村の人口減少についてです。
今回の大臣所信で、一番最初に、人口減少に伴うマーケットの縮小、農林漁業者の減少、高齢化の進行、グローバル化のさらなる進行など、国内外で大きな環境変化が生じており、我が国の農林水産業は転換期を迎えています、こういう文章で入っております。
私は、総理の施政方針演説なども聞いていていつも感じるんですけれども、人口減少というのが、何かまるで、自然災害ですとかリーマン・ショックですとか、何か降って湧いたような、そういう現象のように聞こえるわけです。人口減少が突然起こったからしようがないですよね、今大転換期にあるんですというような物の言い方だといつも感じるんですけれども、そうじゃないですよね。少子高齢化が長いこと続いて、ついに人口減少の局面に入ったんです。
振り返ってみれば、合計特殊出生率が1.57になったあの1.57ショックというのは、1989年の人口動態調査によって判明したので、1990年なんです、世の中が騒いでいたのは。それはほぼ30年前ですね。私は当時学生でした。そして、ずっと少子高齢化と言われながら、今まで約30年来て、ここ数年で人口減少社会に突入したわけですから、やはりこの間、対策が打てなかったということで、その責任は私は政府にあると思います。
特に、全体的に人口が減少しているのであれば、全国満遍なく減少しているのであれば、まだいいんだと思うんです。江戸時代のように、人口が少なくても全国に人が散らばっていれば問題は少ないわけですけれども、そうではなくて農山漁村の人口が減少しているわけですから、やはり、いろんな原因があるとしても、農水省の対策にも責任があると考えるんですけれども、一体、農水省は何を失敗したのか、何を見通しを誤ったんだと思われますか。大臣の御見解を伺います。
○ 吉川国務大臣 なかなか難しい御質問だと存じておりますが、まず、全国的に若い世代の仕事と家庭の両立、育児負担などが出生率に影響を及ぼしていることに加えまして、地方から東京への人口流出などが主要因となって、地方の農山漁村においては、高齢化や人口減少が都市部に先駆けて進行していると承知をいたしております。また、地域によりましては、コミュニティー機能や地域資源の維持にも影響が生じていると認識をいたしております。
このように、人口減少が進む農山漁村におきまして、地域を活性化していくために、農林水産省といたしましては、日本型直接支払いにより地域を下支えしつつ、地域全体の所得向上を図る六次産業化の推進ですとか、高齢者や子供の見守りサービスや、移動販売車による買物支援など、地域の助け合いを後押しする取組への支援、さらに、農泊や農村への移住、定住促進等の支援などを総合的に講じているところでもございます。
人口減少問題を直ちに解決していく処方箋を描くことはなかなか難しいと思いますけれども、一朝一夕に成果が出るものではございませんけれども、関係府省の施策とも連携をしながら、農山漁村の活性化の取組をしっかり推進してまいりたいと存じます。
○亀井委員 明確な答えがあればこんなにみんな苦労していないわけですから、そういうすっきりとしたお答えがいただけるとは思っておりませんし、私も考えているところですけれども、ただ、言えることは、第一次産業に魅力を感じるような政策を打てなかったということだと思うんです。
産業構造が変わって、第一次産業から二次産業、三次産業と戦後変わっていく中で、都市に人口が流出していったのは事実なんですけれども、やはりその中で、もう少し、第一次産業、農山漁村に魅力を感じるような政策が打てていれば少しは違ったのではないかとは感じます。
私がこの質問をしたわけは、人口減少をまた前提として、人口減少しているからしようがないですよねといって政策を打っていったときに、これまで、少子高齢化していますよね、だからこうしましょうと聞いていたその少子高齢化の言葉が人口減少社会に置きかわるだけで、また、人口減少しているからこれをやりましょう、あれをやりましょうといって、何年もこの言葉を聞き続けるような気がするので、なぜ人口減少しているかというところに取り組んでいかないと、結局とまらないと思うんです。
次の質問に移ります。
今回の所信でも、人口減少をして農林水産業は転換期を迎えている、そういう中で、農業を持続可能なものとするために、担い手に農地を集積、集約していくことが不可欠とあります。担い手に対する農地の利用集積率を2023年度までに8割に引き上げるとのことなんです。
一方で、国連は、2019年から、ことしから28年までを家族農業の10年と位置づけています。これは、農業というのは命をつなぐための食料であると同時に、農産物というのは商品でもあります。そして近年、低コストで生産するための大規模化が進み、先進国の大資本が途上国の農業を変えています。その結果、環境破壊や地域の伝統文化の断絶、在来種の根絶、こういうことが起こって、企業が行う農業の負の側面というのが見えてきたので、国連は、家族農業の十年ということ、貧困、飢餓を撲滅するという観点で、この発表をしています。
世界の農家の98%はやはり家族農業で支えられている。この構造は日本でも一緒でして、日本の農業経営体138万のうち、家族経営は134万で98%です。担い手というのは、法人、家族経営、ともにあると思います。それでも、経営体の98%が家族経営、つまり、恐らく小規模であるのに、一方、面積の方、農地の8割を担い手に集めるというのは、これは現実的で持続可能な政策なんでしょうか。
この視点で、今国会には農地中間管理事業の推進に関する法律の改正案が出ているわけですけれども、果たしてこの数字が、8割を担い手に集める、一方で家族経営が98%だということについて、妥当なのかということを大臣にお伺いいたします。
○ 吉川国務大臣 現在の農業、農村の状況を見ますと、農業就業人口が平成28年に初めて200万人を割り込みまして、20年前の半分になりました。平均年齢が67歳になるなど、極めて厳しい状況であると承知をいたしております。
このような状況のもとでは、今後とも、農業を継続していく担い手に農地を集積、集約化しなければ、耕作放棄地の増大など、地域農業の維持発展が困難になるおそれがあると存じます。
こうしたことから、担い手に農地を集積する目標を設定をいたしまして、担い手が円滑に農地を集約できるようにすることが重要と考えているところでもございます。
なお、担い手の中には、小規模でも高収益作物を栽培している家族経営ですとか、小規模な家族経営が集まって立ち上げた集落営農も含まれておりまして、担い手に農地を集積することが家族経営の維持発展と私は矛盾はしないと考えておりますが、家族経営の皆さんにも私たちはしっかりと光を当てながら大切にしていかなければ農業の持続性というものはないのかな、私自身はそう思っております。
○亀井委員 意欲と能力のある担い手という言い方をよくします。その人たちが家族経営のこともあるでしょうし、家族で法人の形をとっているかもしれませんし、いろいろそれはあると思うんです。でも、それにしても、まだ少数派だと思います。その人たちに8割の農地を集めて大丈夫なのだろうか、それが現実的なのかどうかというのは、私はやはり疑問を持っています。
そして、担い手が若いとも限らないんですよね、全体に高齢化しているわけですから。地元を見てみても、担い手で、当時、60ぐらいでばりばりだったけれども、そこで10年たてば70ですよね。ですから、今、担い手として頑張ってきた人たちが高齢化しています。やめるにやめられない、けれども、まだ次の世代はいない。
そうすると、農地をまとめて、一部のそう若くはない担い手の人たちに集めて、彼らが、いよいよ続けられない、あるいは途中で体を壊してやめたときに、広大な農地がいきなりあいてしまうんですね、耕作放棄になってしまう。そういう可能性があるところが今もう出てきていると思います。
そういう段階ではないかなと思うので、私は、国連が推奨するように、小さな農業、家族農業の方にむしろ力を入れて、小さくても強い家族経営のところをふやしていく方が全体的に強くなるのではないかと考えておりますけれども、今回の、31年度の政策の中で、この国連の家族農業の推進、そこに当たる部分、政策というのはどの項目になりますでしょうか。大臣、それか政府参考人の方でも結構ですので、お答えください。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
先生御指摘のとおり、家族経営、法人経営、それぞれさまざまな地域によりまして実態があると思っておりますし、担い手が後継者不足で、それがリタイアせざるを得ない、さまざまな状況があると思います。
であるからこそ、農地中間管理機構、いわゆる農地バンクが一旦農地を借りて、それで、そういうような担い手の方がリタイアするような事態にも、次の担い手の方々を探したり、もういらっしゃるのであればそういう方々に円滑に渡していく、こういうことを農地バンクの狙いの一つとしているわけでございます。
家族農業に関する施策、このどの部分かという御質問でございますけれども、我々、基本的な考え方といたしまして、意欲的な取組を育てていくことによって、農業、それぞれの経営の方を持続可能な形に発展させていただく、それが一番大事だと思っておりますので、そういう意味で、地域農業の担い手となるような意欲のある農業者であれば、経営規模の大小や法人、家族の別にかかわらず、政策支援の対象にしているわけでございます。
ですから、そういう考え方からいたしますと、ある意味では、農林省のそういうあらゆる施策、機械、施設の導入支援でありますとか、六次産業化、経営所得安定対策、収入保険対策など幅広い対策が家族農業を含めた対策というふうに考えているところでございます。
また、地域政策につきましても、これは中山間地に対する直接支払いなどで地域の営農継続に必要な支援も行っているということでございますので、ある意味では、そういう各般の施策がこの家族農業に関する施策だというふうに我々は考えてございます。
○亀井委員 国連は各国政府などに、家族農業に関する施策を推進するよう求めています。ですので、後日で構わないので、やはり、いろいろな政策がある中で、例えば、日本型直接支払いですとか、これとこれとこれは家族農業に特に重点を置いたというか意識した政策ですというような、項目というのは出せると思うんですよね。
なので、その項目と、合計これだけの予算をつけていますというものをいただけたらと思うんですけれども。ぜひ、よろしくお願いいたします。
○大澤政府参考人 基本的に、先ほど御答弁したとおり、さまざまな施策が家族農業を進める施策だと考えておりますけれども、先生の御指摘を踏まえまして、どういうことが可能かは検討してまいりたいと考えております。
○亀井委員 よろしくお願いいたします。
次の質問に移ります。主要農作物種子法の廃止についてです。
私たち、この種子法の復活法案を出しておりまして、去年の通常国会で一度審議をしていただきましたけれども、継続審議扱いで、臨時国会ではついに審議の機会がありませんでした。
一方で、種子法が昨年4月から廃止されてこの3月までの1年間に、地方自治体では、この種子法にかわる県条例が制定されたり、また市町村で決議が出たりという動きが既にございます。
そこで、これは政府参考人の方に質問ですけれども、今、県条例ですとか決議など、全国で幾つ出ておりますでしょうか、お伺いいたします。
○天羽政府参考人 お答え申し上げます。
主要農作物種子法の廃止に関連いたしまして、これまで条例を制定した道県は7つ、7道県、条例の骨子を示すなど制定に向けて具体的な準備をしている県は3県というふうに承知をしております。
また、種子法に関連いたしまして、平成21年2月の末までに市町村から届いております農林水産大臣宛ての地方自治法第99条に基づく意見書は100件というふうに承知をしております。
○亀井委員 種子法が国会で廃止されたときには、私は、まだ議員で……
○天羽政府参考人 今、平成21年と申し上げたそうなんですけれども、31年の2月末でご
ざいます。
○亀井委員 訂正ありがとうございます。
種子法の廃止の審議がされたとき、私は議員でなかったので、なぜそういう議論に至ったのか、なぜ政府は種子法を廃止したのかというところはよくわかりません。
昨年、種子法の復活法案の審議をしたときに、自民党の方の質問の中にその種子法の経緯についての説明がありまして、お話を伺いながら、随分考え方が違うものだと思いました。
その当時のあれは坂本委員でしたけれども、委員の説明によれば、結局、種子法というのは、議員立法で種子法と言われているけれども、実際のところは稲、麦、大豆奨励品種増産法なんだ、戦後に食糧を増産するためにそういう法律をつくった、増産をするための品種改良法だから、もう時代は変わったのだからそういう法律は要らないのではないか、品種改良をして増産するための法律で、知的所有権という概念はなかった、けれども、今知的所有権という概念が世界に広がってきて、種子の開発競争に入っている、その中にあって国際競争力を高めなければいけないから、もう種子法というのは時代おくれであって、もっと早くに廃止されているべきものだった、遅きに失したというようなことを言っていたんですね。
ですので、大分考え方がやはり違うんだなと思ったんですけれども、このような発想で政府は種子法を廃止したんでしょうか。お伺いいたします。
○天羽政府参考人 お答え申し上げます。
主要農作物種子法の廃止でございますけれども、この法律は、先生今御指摘のとおりでございまして、稲、麦、大豆の種子の生産、供給に対しまして、全ての都道府県に対して、一つには、県が奨励する品種を決定するための試験、二つには、原種及び原原種の生産、三つには、種子を生産する圃場の指定、それから、生産された種子の審査などを法律によって全都道府県に一律に義務づけるという法律でございましたが、このようなやり方を廃止して、多様なニーズに応じた種子供給体制を構築する、そのために廃止をしたということでございます。
○亀井委員 今の御答弁、ちょっと疑問に感じるんですけれども。やはり種子に関する、ちょっと考え方の違いですかね。
実際には、県で種子法にかわる条例が設定されたり、やはり国民の中では非常に今不安が広がっております。
今、世界で何が起きているかというと、わずか5つの多国籍企業によって6割を超える種子の寡占化が起きています。ですから、もう種子がビジネスになっているんですよね。
そして、次の質問、農薬に移りますけれども、結局、遺伝子操作されたF1種、種子とそれに対応する農薬がセット販売されている、これが今問題になっています。
その農薬はグリホサートといいます。除草剤ラウンドアップの中に含まれているグリホサート、モンサントという会社が販売していますけれども、これに発がん性があるのではないかと今言われていまして、世界で訴訟が起きています。昨年8月にサンフランシスコの裁判所で、このグリホサートに発がん性があると認められまして、モンサントに対して約320億円の支払いが命じられました。原告は末期がんの患者です。これが引き金となって、今また世界で訴訟が起きてきているんですけれども、この件について農水省は把握をしておりましたでしょうか。
そして、時間がないのでもう一つ、ネオニコチノイド系の農薬についてもお伺いしますが、これも今、欧州ではもう禁止をされているけれども、去年も何人もの人がなぜ禁止しないのですかと質問をしましたが、全くそういう答えが返ってきておりません。なぜ禁止しないのかということについてお伺いいたします。
○池田政府参考人 お答えします。
まず、グリホサートにつきましてですが、グリホサートにつきましては、2015年に国際的ながんの研究機関が恐らく発がん性のある物質として分類したこと、そして、委員御指摘のように、昨年8月、米国でモンサント社に賠償を命ずる判決があり、同社は控訴の申立てをすることとしたことは承知をしております。
グリホサートを含む農薬につきましては、2016年に食品安全委員会による安全性評価が行われておりまして、農薬としての使用方法を遵守して使用する限りにおいては発がん性は認められなかったと評価をされておるところでございます。また、米国やEUなどの評価機関でも同様の評価がなされております。
このため、直ちにグリホサートの評価や登録の見直しを行う必要はないと考えてございますが、農林水産省といたしましては、引き続き農薬の安全性に関する情報収集に努めてまいりたいと考えております。
次に、ネオニコチノイド系の農薬につきまして御質問がございました。
これは、昨年成立をいたしました改正農薬取締法に基づきまして、全ての農薬について、最新の科学的知見に基づいて改めて再評価を行うということとしてございます。2021年度以降、国内での使用量が多い農薬から優先的に進めていくこととしてございまして、ネオニコチノイド系農薬につきましても、使用量が比較的多うございますので、優先的に再評価を行うこととしております。その結果に応じまして、必要な場合には登録の見直しなどの措置を講じていく考えでございます。
○亀井委員 一刻も早く再評価をしてといいますか、私は禁止を望んでおりますので、世界の動向を注視して適切な対応をお願いしたく、要望いたします。
最後に、長尾政務官に質問いたします。御足労いただきまして、ありがとうございました。
前回の質問の続きでして、私はずっと、なぜ、米国との二国間交渉が開始されると決まったのに、CPTPPのセーフガードの発動基準枠、アメリカの分を含んでいるわけですから、なぜ再交渉を申し入れないのかということを重ねて質問をしております。
前回、長尾政務官に伺ったときに、米国がすぐにTPPに復帰するのは難しいということはもう認めていらっしゃるんですね。それと一方で、TAG交渉、この言い方は嫌いですけれども、この米国との交渉が米国のTPP復帰に向けてプラスになってもマイナスになることはないとおっしゃっているんですね。この意味が私さっぱりわからなかったんですけれども、どういう意味でしょうか。
○長尾大臣政務官 お答え申し上げます。
今回、米国で物品貿易協定につきまして交渉を開始することに合意しましたが、TPP交渉において、関税についてはバイ交渉、ルールはマルチでありますが、二国間でさまざまな協議を行ってきたものでございます。
米国がTPP11に戻る場合も物品についてはバイでやることになるわけでございますので、これから日米で物品交渉を行うことは、米国のTPP復帰に向けてプラスになってもマイナスになることは考えていないという意味でございます。
○亀井委員 それは、国際交渉ではなくて、アメリカとバイで、一対一で話すわけだから、一対一で説得を試みることができるから、まだ可能性はあるのだと、そうおっしゃっているんですか。余り現実的ではない気がするんですけれども。
それで、もう一つ最後の質問ですけれども、では、いつの時点をもってアメリカはTPPには戻らないと判断をするんですか。もしかして、自由貿易交渉が、アメリカといよいよ締結することが決まってしまって、こちらをサインするから、ああやっぱり戻りませんでしたねと、そこまで行ってしまってからセーフガードの再交渉をするのか。それは最悪だと思いますけれども、どうお考えですか。何か基準はありますか。
○武藤委員長 質疑時間が来ておりますので、長尾政務官、簡潔にお願いいたします。
○長尾大臣政務官 TPP11協定の第6条では、米国を含めたTPP12協定の効力発生が差し迫っている場合又は効力を生ずる見込みがない場合には、いずれかの締結国の要請に基づいて、協定の見直しを行う旨規定をいたしております。
昨年の9月の日米共同声明では、米国との間では日米物品貿易交渉を開始することに合意をしただけでございまして、米国との具体的な交渉はこれからでございます。現時点では、個別の事項については何ら決まってございません。
そして、したがって、現在我が国としては、TPP11交渉の、第6条の、見直しが可能となる、米国を含むTPP12協定の発効の発生が差し迫っている場合又は効力を生ずる見込みがない場合のいずれの場合にも当たらないというふうに認識をいたしております。
いずれにいたしましても、さまざまな面で農林漁業者に懸念がないように、しっかりと努めてまいりたいと思います。以上です。
○亀井委員 またさっぱり、よくわからないので、後で議事録を読み直して、考えてみたいと思います。交渉の合意はしたけれども始まっていない。始まらないことを祈って、この質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。