活動報告(ブログ)

2021年4月27日(火)衆議院地方創生に関する特別委員会(地方分権一括法・郵便局の公益性・地方ローカル線の維持存続)議事録

令和3年4月27日 衆議院地方創生に関する特別委員会議事速報(未定稿)

○伊東委員長 次に、亀井亜紀子君。

○亀井委員 おはようございます。立憲民主党の亀井亜紀子でございます。

 今日は時間をいただきまして、ありがとうございます。

 早速質問に移らせていただきます。

 この地方創生特別委員会に所属して4年目になります。毎年、この地方分権一括法が出てまいりますので、そもそもどういう経緯で始まったのか、これは一体いつまで続くのかという素朴な疑問を持ちました。

 そこで、調べてみました。

 第四次一括法の成立までは、地方分権改革推進委員会の勧告事項について検討し対処をしていたところ、これが一通り終わったということで、提案募集方式が始まったとのことです。平成26年4月に提案募集方式の導入が決定し、この年、提案募集を開始し、平成26年5月、提案募集をしたところ、7月までに地方公共団体など127団体から計953件の提案がなされた、これが最初かと思いますけれども。

 提案募集方式なので、基本的に、自治体から提案があってその要望を叶えていくということですから、基本的にはよいことだと思うんですけれども、ただ、だいぶ出尽くしたのではないかというような気も致しますし、果たして毎年募集する必要があるのかということも疑問に思っております。

 もしかすると、忙しい地方公共団体が毎年毎年この募集を求められる時期があって、何か出さなきゃといって出しているかもしれませんし、負担になっているかもしれない、そういうことも考えられるわけでして、これまでの取り組みの評価、それから今後について、いつまで続けるのか、あるいは、募集を隔年にするですとか、1回期限を区切ってみるとか、何かお考えでしょうか。大臣にお伺い致します。

○坂本国務大臣 提案方式につきましては、委員おっしゃいましたように、平成26年から、例えば地方創生、それから子ども・子育て支援の関連を始め、色々と出てまいりました。令和2年も259件出ておりまして、その中で9割を内閣府と自治体の、あるいは各省庁との話合いで対応しているということであります。地方の方からも非常に評価を受けております。国が気づかないことを地方から提案していただく、この辺がみそであります。

 それから、今後、デジタル化、あるいはグリーン化、そして人口減少、あるいは少子化対策、様々に地方の実態が変わっていく中で、やはり国で気づかないようなことがこれからもっともっと出てくるのではないだろうかというふうに思っておりますので、私達としては、こういった地方の意見に耳を傾けながら、地方分権改革を一層前に進めるためにも、この提案募集方式というものは続けてまいりたいというふうに思っているところであります。

○亀井委員 提案募集方式自体は必要なことだと思っているので。ただ、そのペースについて、今後について、ちょっと疑問に思ったので質問致しました。

 さて、提案募集検討専門部会があるわけですけれども、当初から、それとは別に農地・農村部会というのがあります。平成25年10月以降、農地転用に係る事務権限の移譲や農地転用等に係る規制緩和について検討を続けていた農地・農村部会が79件、11項目の提案の検討を行うこととしたとあるんですけれども、なぜ農地・農村部会というのが独立してあるんでしょうか。ほかの専門部会はあるんでしょうか。

 もし農地・農村部会だけが独立してあるのだとすると、特に農地に関する規制緩和に力を入れてやってきたということなのだろうかとも思うんですけれども、まず、この農地・農村部会というのがどのような位置づけで、なぜ独立してこの部会を持ったかということについて、政府参考人の方にお伺い致します。

○宮地政府参考人 お答え申し上げます。

 地方分権改革有識者会議では、地方分権改革の推進に関する施策のうち特定の事項についての客観的な評価及び検討に資するため、必要に応じ、専門部会を開催することとしております。

 地方分権改革推進委員会から勧告がなされた事項のうち、残された課題でありました国から地方への権限移譲に取り組む中で、農地転用に係る事務権限の移譲等についても大きなテーマとなったことから、平成25年10月に有識者会議の下に農地・農村部会を立ち上げ、集中的に検討を行うこととしたところでございます。

 その後、この農地・農村部会における検討結果等を踏まえまして、平成27年の第五次分権一括法により農地転用許可の権限移譲等を行ったところでありますが、それ以外にも、平成25年度には、雇用対策部会、これは主として地方版ハローワークの検討などを行っております。それから、地域交通部会というものも平成25年に立ち上げまして、自家用有償旅客運送の在り方等についての議論を行っております。

 現在、主に開催しております提案募集検討専門部会につきましては、提案募集方式が正式にスタートした、先程先生も御指摘がありました、平成26年の夏から提案募集検討専門部会というのを立ち上げて、それ以降は、基本的には、重要事項の審議はこの提案募集検討専門部会において議論するということを基本とさせていただいているところでございます。

○亀井委員 農地・農村部会について、大臣にもお伺いしたいと思います。

 この部会が独立してあったということは、規制緩和の分野の中でも、特に農地法のところ、農地に関して特別に政府が関心が高くて、この分野の規制緩和を進めるために独立させた部会を持ったのかしらとも思うんですけれども、坂本大臣は農政にもお詳しい方だと思いますが、この点について、特に農地の規制緩和が内閣府を中心に進んだのではないかということについてどのように捉えていらっしゃいますか。

○坂本国務大臣 農地転用については、自治体の方の悲願、権限移譲については悲願ともいうべきものでした。どんどん開発が進む、しかし農地があるがゆえにそこが開発ができない、あるいは、過疎地においては、もう耕作放棄地に事実上なっている、農地として活用できない、それで、そういうものも一つ一つ国にお伺いを立てなければいけない、そういうことで、地方公共団体の方からはこの権限移譲というものをこれまで強く求められていたところであります。しかし、さはさりながら、一方の方で、やはり食料安定のために農地はしっかり守っていかなければいけない、スプロール現象というものをつくってしまってはいけないというような、やはり農業サイドの声もありました。

 そういうことで、最終的には、権限は移譲するけれども、都道府県やあるいは指定市町村の方に移譲するけれども、農地全体の面積、そういったものについてはしっかり国の方と地方の方で話し合っていきましょうねというような枠組みになりました。そういうことで、地方への権限移譲はしながら、農地の総量確保の仕組みについてそれぞれが話し合う、こういう難しい作業過程を経てきたわけです。その作業をしていくためにはどうしてもやはり専門部会が必要になってくる、こういう新たな部会が必要になってくるということで、農地という特殊事情に鑑みて農地・農村部会というものをつくったということであります。

 今事務方から言いましたように、同じように、じゃ、タクシーについて、白タクの問題あたりをどうするのか、あるいは雇用について、誰でも雇用して、職安のようなことをしていいのかというような、これも難しい問題でありますので、この二つについてもこれまで部会と専門部会というのをつくって慎重に論議をしてきたというのが、これまでのいきさつでございます。

○亀井委員 経緯について御説明いただき、ありがとうございます。

 今大臣がおっしゃったように、権限は都道府県に移譲するとしても、農地の総面積を維持するというのは大事である、それは食料安定の面からも大事であるということは私も全く同じ考えですので、権限が移譲されたからといって農地がなくならないように、また、先日、国家戦略特区の議論で株式会社の農地所有についての議論も致しましたけれども、農地転用につながらないようにということをしっかり政府としても見ていただきたいと思います。

 今でさえ、食料自給率4割を切っていますから。そして、私たち1億人を超えた人口を皆食べさせるためにはもう既に農地が足りないので、本当に輸入がもし止まった時に、私も調べましたけれども、米ぐらい食べられるのかと思ったら、芋に変わるんですよね、芋換算でのカロリー計算ですから。それではどうにもならないと思いますので、農地はしっかりと守っていただきたいということを申し上げて、次の質問に移ります。

 次は、郵便局の公益性についてです。

 今回の改正内容の中に、郵便局が、転出届の受付、それから転出証明書の引渡し、印鑑登録の廃止申請の受付事務をできるようにするというものがあります。

 全国津々浦々、24,000局、郵便局がありますから、地域の人が郵便局で公的な手続をすることができるというのは、地元から提案が上がってきたというその状況もよくわかりますし、よいことだとは思うんですけれども、一方で、今の日本郵政の進んでいる方向性に私は疑念を持っております。

 日本郵政が楽天グループと先日、資本提携をしました。その楽天の大株主が中国資本のテンセントになったということで、経済安全保障の観点から日米の監視対象となっています。郵便局の役割が以前にも増して、地方公共団体の事務を引き受けるほど公的役割がむしろ民営化されてから増しているのに、一方で、親会社の方が民間と提携して、その大株主が中国資本である、外資系であるというのは、これはすごく矛盾していると思います。

 大変問題だと思うんですけれども、このことについて総務省はどのように捉えておられますか。

○古川大臣政務官 お答え申し上げます。

 日本郵政グループは、御指摘のように、令和3年3月から楽天グループと資本業務提携を開始したところでございます。総務省としては、データの取り扱いを含めて、適切な業務運営が実施をされるように監督をしてまいらなければならないと考えております。

 一方、今般の郵便局事務取扱法の改正は、郵便局を通じた地域住民に対する行政サービスの維持に寄与するという観点から、郵便局が取り扱える地方公共団体の事務として転出届の受付などを追加するものでございます。

 この法律に基づき取り扱う個人情報については、一つには、日本郵便株式会社には当該情報の目的外利用を防止するために必要な措置を講じること、二つ目として、担当する職員は秘密保持を行うことといった義務が課せられております。そのため、郵便局において地方公共団体の事務を取り扱うことを通じた情報の取扱いに関して問題が生じることは考え難いと考えておりますが、総務省としてはしっかり注視をしてまいります。

○亀井委員 今、総務省はデジタル庁もこれからつくってデジタル化を進めていくわけですから、様々な手続、公的手続がデジタル化されていく中で、楽天と提携した時にシステムがどうなるのか。そこで何か、印鑑登録など、そういうことも郵便局でするわけですから、そのシステム上、何か情報が出ていったりしないだろうかというのは普通に心配することだと思いますので。全体的な日本郵政の方向性がとにかくわからない、私、漂流していると思います。

 次の質問もその関連ですけれども、郵便局に公的な役割を与える、地方公共団体の事務を増やすというのはなぜかといえば、それは24,000局もあるからだと思います。そこで公的な手続きができれば非常に便利だから、地元から声が上がってきて、今そういう事務の委託という方向になっているわけですけれども、郵政民営化の一番のあの時のやはり問題点というのは、民営化した時に地方の郵便局が効率が悪いということでなくなっていくんじゃないかということでした。

 経営上、金融2社がそちらで黒字をつくって、当時3事業一体だったので、金融2社で稼いだ分で全国の赤字の郵便局を全部、津々浦々、カバーしていたわけですよね。今も金融2社が郵便局に事業を委託して、その委託手数料で24,000局を支えているので、これ、株が売却されていって株主が増えていった時に、何で民間の会社なのにそんな儲からないところに店舗を出していなきゃいけないんだ、委託するのをやめてしまえと言った途端に24,000局なんて維持できなくなるわけですよ。そういう構造的な問題があるから、あの時に反対が起きたんですよね。

 それで、つい先日、4月22日に民営化委員会の方からまた提言がありました。それは、ゆうちょとかんぽ生命への日本郵政の出資比率を50%以下に引き下げた上で、全株式処分への道筋を示せと言ったわけですね。

 日本郵政が民営化されてから、オーストラリアのトール事業、この会社を買って大損して、そして今回、売却して、特別損失674億円を計上しています。かんぽの販売の不正もあって、全くいいことがありません。

 それで、今、地方公共団体の事務を各地の郵便局にお願いしながら、先程申し上げた通り、外資が大株主になっている企業と提携をしてみたり、金融2社の株を早く売却しろなんというのは全く矛盾していると思いますけれども、一体、日本郵政の事業について総務省はどういうふうに考えていますでしょうか。そして、郵便局、全国津々浦々、24,000局を維持しよう、ユニバーサルサービスを維持しようというその姿勢は本当にありますか。お伺い致します。

○古川大臣政務官 お答えします。

 日本郵政グループの大きなテーマとして、郵便局によるユニバーサルサービスの責務の履行、このことがしっかり記されているところでございまして、このことについての考え方は何らこれまでとの違いはございません。

 一方で、郵便局事務取扱法によりますと、地方公共団体事務を受託する日本郵便は、政府による3分の1以上の株式保有を義務づけられている日本郵政の完全子会社でございます。

 一方で、日本郵政が保有するゆうちょ銀行、かんぽ生命保険、この株式は、郵政民営化法において、両社の経営状況、ユニバーサルサービス責務の履行への影響などを勘案しつつ、できる限り早期に処分することと法律上されているところでございまして、日本郵政がその経営判断により進めていくことになることになっておりまして、日本郵便とゆうちょ銀行、かんぽ生命については、それぞれ、いわば進む道が違うというところでございます。

 総務省としては、金融2社の株式売却を含めた郵政民営化を進めていく中で、日本郵政及び日本郵便が、郵政事業のユニバーサルサービスを安定的に提供するとともに、利用者利便や企業価値の向上に取り組むことによりまして、郵政事業の公益性及び地域性を引き続き十分に発揮していただきたいと考えているところでございます。

○亀井委員 いくらユニバーサルサービスを維持するというふうに書き込んであっても、お金がなくなって維持できなくなるということがあるわけですよ。金融2社はその鍵なんですよね。

 だから、金融2社の株が全株売られちゃった時に、当然株主は、郵便局なんか気にしていないですから、金融2社が儲かればいいわけで、何でそんな、例えば半島の先っぽとか中山間地とか、そんな儲からないところに店舗を出しているんだ、何でそんなところに委託しているんだと言われてしまったら、株主の力は強いですから、そっちの方向に引っ張られますよね。

 そういうことが起きないように、そもそも郵政民営化に反対した人もたくさんおり、そして、民営化してしまっても、何とかユニバーサルサービスが維持されるように改革法なども作ったわけですけれども、玉虫色の決着になった中で、結局、経営者判断に委ねられる、そういう法改正なんですよね。

 ですから、郵便局を過疎地も含めて維持しようと思ったら、全株なんて売却できないんですよ。そこで踏みとどまらなきゃいけないけれども、今、この提言に従って、増田大臣も日本郵政の2社への出資比率を50%まで下げていくようなことを発言をされたんでしょうか、そういうふうに報道もされていますし、全株売却を金融2社に関して急げと言われているわけで、これ、全部本当に売却してしまったら、いくらこの地方創生特別委員会で過疎地が大変だ、人口減少が大変だと言っていても、郵便局が維持できなくなって、なくなっていったら、今回の事務手続の委託も何の意味も持たなくなるんですよね。ですから、今ここで日本郵政の仕組みについてもう1回考えないと、本当に手遅れになります。

 私も今、立憲民主党の中で郵政民営化の検証のワーキングチームをつくって、提言を出そうとしています。必要なら法改正に結びつけたいと思っているところでして、前の民営化の改革法も自民党さんと一緒に議員立法でやりましたから、なかなか政府が、民営化するぞと小泉さんが民営化を押し切って解散までして変えてしまったものを、なかなか政府主導でやるということは難しいのかもしれませんが、是非、与党の方にも問題点をきちんと理解していただいて、手遅れになる前に、日本郵政の問題、解決をしていきたいと思っておりますので、政府の方も早まらないようにお願いを致します。

 次の質問は、地方ローカル線の維持存続についてです。

 JRも民営化されて随分時間が経ちました。今年、コロナの感染であらゆる業界が経営不振になっておりまして、鉄道も例外ではありません。利用者が減っておりますから、非常に苦労しております。

 先日、JR西日本の長谷川社長が、定例会見、これは2月28日なんですけれども、赤字ローカル線の維持が非常に難しい、今まで黒字路線から穴埋めをしてきたけれども、2021年3月期の連結純損益が2,400億円の赤字に転落したので、赤字路線をこれ以上維持するのは難しいというような会見をされて、今、地元で大騒ぎになっております。

 私の地元島根県では、3年前、2018年の3月31日に三江線というのが廃止されました。これは、島根県の江津市から広島の山間部、三次までつないでいた路線でして、これが廃止されました。

 そして、この後、今度次に危ないと言われているのが木次線という路線でして、宍道湖の脇にある宍道から広島県の庄原の備後落合というところまで結んでいる路線で、これが間違いなく今回の廃止対象として議論されているはずです。

 そこで、今、地元からも要望が上がってきていますけれども、この路線が通っている松江市、雲南市、奥出雲町の3地方公共団体が、国土交通大臣に対して、鉄道事業法の改正を求めています。つまり、今の制度だと、鉄道事業者が届出によってその路線を廃止できてしまうわけですけれども、そこに、そのことによる影響、鉄道活性化の取り組みとか廃止に伴う影響を国が評価する、そういう処理手続の見直しが必要なのではないか、そういう申し入れを致しまして、鉄道事業法の改正を求めています。

 この問題、島根だけじゃなくて、他の地域でも同じようなローカル線の問題には直面しているでしょうし、国鉄を民営化した時に、ここまで都市と地方の格差が広がるとは思っていなかったんじゃないでしょうかね。

 これ以上ローカル線が廃止されていくと、いくらここの地方創生特別委員会、特別委員会をつくって人口減少問題に取り組んでいても、ローカル線がなくなったらもうとてつもない影響で、やはり人が住めなくなりますから、郵便局も同じなんですけれども、国土交通省に対して、鉄道事業法の改正をされる気はないか、伺いたいと思います。

○朝日大臣政務官 お答え申し上げます。

 鉄道事業法におきましては、鉄道路線を廃止しようとする場合、その廃止予定の1年前までに国土交通大臣に届け出ることになっておりますけれども、その際、鉄道事業者におきましては、地域に対して丁寧な説明を行い、その理解をいただきながら廃止の届出が行われることが一般となっております。

 先程委員も御示しいただきましたJR西日本三江線におきましては、JR西日本が廃止の意向を示す前に、沿線自治体自らが立ち上がりまして活性化協議会が発足を致しました。そこにJR西日本も参加を致しまして、増便社会実験などを始めとした活性化の取り組みを5年にわたり推進するなど、丁寧な関係構築に努めてまいりました。

 国土交通省におきましては、鉄道事業者に対しまして、地域に対し丁寧な対応をするよう必要な指導を行うとともに、地方運輸局を通じまして、地域公共交通活性化再生法の枠組みを活用して、当該鉄道事業者と地域が連携をし、鉄道の活性化を始めとした必要な議論が円滑に進むように支援をしてまいります。

○亀井委員 地域の努力ではどうにもならないところまで来ておりますので、鉄道事業法の改正について真剣に取り組んでいただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

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