活動報告(ブログ)

2019年10月24日(木)衆議院農林水産委員会

【10/24衆議院農林水産委員会】
亀井亜紀子の質疑を、以下ビデオライブラリーにてご覧いただけます。
<質問要旨>日米貿易協定、CPTPP、食料安全保障(食料自給率・自給力)
http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=49408&media_type&fbclid=IwAR0ym6pzCOo1tu6OWGheJew-iPUttdRodQ7Zme0HHaBwJxzqKR4cQfe6CQY

令和元年10月24日 衆議院農林水産委員会議事録(文責:亀井事務所 ※吉川の吉は土に口)

○吉野委員長 次に、亀井亜紀子君。
○亀井委員 立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムの亀井亜紀子でございます。
内閣改造後初めての質問になります。よろしくお願いいたします。
質問に先立ちまして、このたびの台風19号で被災された地域の皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
特に東北、例えば福島ですとか宮城県の方は東日本大震災も経験されていて、まだ復興半ばで、また被災されたということで、大変、私も心を痛めております。1日も早い復興、そしてそれに政府が全面協力することをお願いいたしまして、質問を始めさせていただきます。
それでは、初めに、日米貿易協定について質問をいたします。
今、私は日米貿易協定とさらっと言いましたが、この言葉を聞いたのは、つい先日の日米合意があった、そこからです。
報道では、日米貿易交渉は続けられているということですけれども、いきなり、日米物品貿易協定という言葉にかわって日米貿易協定とデジタル貿易協定という2つが出てまいりました。そのことにまず違和感を覚えた、それが私の今回の第一印象です。
昨年のこの委員会で、日米物品貿易協定というのはおかしいのではないかというのを、私は原文を、和文と英文とお配りして、この委員会でかなり突っ込んで質問をいたしました。そのおさらいも含めて、きょうは配付資料を皆様に用意いたしました。
そこで、私の質問なんですけれども、昨年は、日米物品貿易協定ではないんじゃないですかと言ったんです。つまり、日本語の文章では、きょうお配りした文章、1枚目の3番ですけれども、「日米物品貿易協定(TAG)について、また、他の重要な分野(サービスを含む)で」というふうに「また」で前後が分かれているけれども、英語の方の文章では、2枚目の3番、これは去年もこうやって線を引いたわけですけれども、ジャパン・ユナイテッド・ステーツ・トレード・アグリーメント・オン・グッズ、その後、アズ・ウエル・アズ、ここが同格ですから、それでその後、オン・アザー・キー・エリアズ・インクルーディング・サービシーズなので、全て1つの交渉ですよということを申し上げたんです。それに対して、いやいや、物品貿易協定ですと政府側は言い張ったんですけれども、今回は逆ですよね。
中身を見ると、自動車と自動車部品ですか、関税はアメリカは下げていませんけれども、自動車と農産品のことしか書かれていない。それについて日米貿易協定と名づけること自体、おかしくないですか。日米貿易協定といったらFTAですよね。包括的、さまざまな分野が入っていなきゃいけない。去年も22項目、アメリカ側は交渉目的を発表していますよという質問をしたんですけれども、その中で、いやいや、物品ですと言い張った。
今回、日米物品貿易協定じゃないとおかしいんじゃないですか。なぜ物品を取ってしまったのか。まず、そのことを内閣府にお尋ねいたします。
○中山大臣政務官 済みません、外務省の方でお答えさせていただきたいと思います。
昨年9月の日米共同声明では、工業品と農産品について対象にし、そのほか、早期に結果を生じ得るものを対象にするため、その旨で合意をいたしました。当該共同声明に沿って工業品と農産品の交渉を行い、本協定の名称を日米貿易協定とすることとなったものでございます。いずれにせよ、本協定は日米の物品貿易に関する協定でございます。
また、そのほか、早期に結果を生じ得るものとして、今回、日米デジタル貿易協定に合意しております。
本年9月25日の首脳共同声明では、今後どの分野を交渉するのか、その対象をまず協議することとしており、また、協定を結ぶか否かも含めた交渉の結果は何ら予断しておりません。よって、今回の共同声明のパラグラフスリーでは、包括的FTAに向けた交渉を約束したものではございません。
○亀井委員 済みません、外務省と内閣府の担当部署がどういうふうに分担しているのか、私も詳細はわかりませんので、それは状況に応じて御答弁していただければと思います。
今の御回答ですけれども、では、次の質問ですが、なぜ、デジタル貿易協定、これを別の協定にしたんでしょうか。つまり、日米貿易協定の中に含まれてしかるべきなんですよね。そして、今回結ぶものは、先ほど申しましたとおり、日米物品貿易協定なんですけれども、この論理でいきますと、今後、例えば日米投資協定だったり、日米知的財産協定、労働協定、為替協定というように、分野別に全部個別の協定ができてしまう、そういうことになるんですけれども、なぜデジタルだけ切り出して、また物品だけ切り出して、さらに、日米協定という名前なのか、今後の交渉のプロセスはどう考えておられるのかということについて、では、もう一度、外務省に伺います。
○中山大臣政務官 お答えします。
日米デジタル貿易協定は、円滑で信頼性の高い自由なデジタル貿易を促進するためのルールの整備を目的とする協定でございます。物品関税の撤廃、削減を規定する日米貿易協定とは性格が異なることから、別途の協定といたしました。また、本協定はデジタルデータの取扱いなどのルールの面の整備を目的としたものであり、サービス貿易の自由化を規定するものではありません。
○亀井委員 いわゆるFTAに含まれる分野の1つであって、他のケースと異ならないと私は思います。そして、それは、米国通商代表部、USTRが発表している22の交渉目的の1つですよね。電子商取引、国境間データ流通、ここの部分が切り出されて今回のデジタル貿易協定になっていると感じています。
そして、今回の合意文書で、また次の交渉の可能性が記されております。それは、きょうのお配りした資料では4枚目になりますが、この3番のところで、なぜかまた関税と書いてありますし、他の貿易上の制約、サービス貿易、投資に係る障壁と、ここに頭出ししてあるので、この分野が次に入ってくるのではないか、そう読めるわけですけれども、じゃ、もう一度外務省に伺います。いかがでしょうか。
○中山大臣政務官 お答えします。
今後、どの分野を交渉するのか、その対象をまず日米間で協議することとしております。その後の交渉では、協定発効後に行われる協議において日米双方が合意したものについてのみ交渉することになっています。
次の段階の交渉が日米双方の利益にかなうものとなるよう、まずしっかりと協議、コンサルテーションを行う考えでございます。更に交渉するとしても、我が国の国益に反するような合意を行う考えはございません。
○亀井委員 私は、この文書を見て、まだ交渉途中であろう、その交渉途中のFTAを部分的に、まだ分野別に一部合意しただけなのに、それを協定という名前をつけて切り出してしまった、そういうふうにしか見えません。
それで、きょうお配りしている最初の、去年の日米共同声明ですけれども、その4番で、日米両国はまた、上記の協定の議論の完了の後にと、議論の完了と言っているだけなんですよね。議論の完了ですから、これは協定である必要はないわけなんです。
2枚目の、これの対訳に当たる部分ですけれども、4番、対訳というか原文ですね。これも、フォローイング・ザ・コンプリーション・オブ・ザ・ディスカッションズなので、これも議論の完了なので、別に、そこの部分の議論が完了したということだけを指すものであって、協定である必要はないです。
なので、本当にこれは、今回協定にして、一体この後どうするんだろうかと全く意味がわかりません。
外務省、今後の方針についてもう一度御説明いただけますか。
○中山大臣政務官 失礼しました。
今回の共同声明では、今後どの分野を交渉するのか、その対象をまず協議することとしており、その後の交渉では、協定発効後に行われる協議において日米双方が合意したものについてのみ交渉することになっています、繰り返しで恐縮ですが。
いずれにせよ、次の段階の交渉が日米双方の利益にかなうものとなるよう、まずしっかりと協議を行う考えであり、交渉するとしても、我が国の国益に反するような合意を行う考えはございません。
○亀井委員 なかなか、内閣改造でかわられたばかりで、いろいろと大変かと思いますし、これは突っ込むとかなり時間がかかりますので、次の質問に行きたいと思います。
と申しますのは、ほかにもたくさん質問したいことがあります。この協定に関してです。
昨年の議事録を持ってまいりました。今の関連なんですが、これは私が、農産物の関税の先行引下げなんていうことはないですよね、やらないでくださいねということを申し上げて、当時の内閣府と農水省、両方に伺いました。
田中副大臣は、「農産品だけが先に、先行して関税をということではない。これはやはりTAG、日米の物品貿易協定の中で、全体としてのパッケージとして締結する、こういうものと確認をしているところであります。」、そうお答えになって、その後、吉川国務大臣が、「ただいま内閣府の田中副大臣からお答えをされたとおりであろうと私も承知をいたしておりますが、この交渉はどこか特定の分野を先にやるわけではないと思っておりまして、パッケージで決められるものと承知もいたしております。」、これが、ことしですよ、ことし、令和元年5月8日の御答弁でありました。
今大臣がかわられたわけですけれども、大臣はこの御答弁を継承されますでしょうか。
○江藤国務大臣 農産物のみ、例えばSGの設定とかですね、そういうものがされているのであれば、それは違うと思いますけれども、自動車部品とか自動車関税とか、最終的な、先送りになったという御指摘の部分もあるということであるから、包括的な合意には至っていないんではないかという御指摘だと思いますが、しかし、鉱工業製品の中にも最終的な合意に至った部分もあるわけでありまして、それをもってして、私は、前大臣の御答弁を継承する立場にあると考えています。
○亀井委員 私は、前大臣がおっしゃっていたこととは違うんじゃないだろうかと。そして、私が想像していたのは、農水省としては、パッケージで交渉してほしい、切り出さないでほしいと思っていたけれども、全体の交渉の中で切り出されてしまった、ふたをあけてみたらこうなっていたということなのではないかと思っていたんですが、ただ、先ほど、ほかの方への御答弁でも、農水省にベッドを持ち込んで、交渉に日本からいろいろ参加しておられたということだったので、交渉に参加しておられたんだなという認識で私は、それでは、また御答弁いただければいいと思うんですけれども、そういうふうに私は感じました。
そこで、今の関連で伺いますけれども、結果として、自動車と自動車部品の関税撤廃は約束をされていないわけです。ですから、日本側としてはとれていない。それに対して、日本は農産物の関税の引下げをTPPレベルまで約束したわけで、農水省としては何か得られたものがあったんでしょうか。
○江藤国務大臣 私とこのTPPとのつき合いはすごく長くて、もともとは聖域なき関税撤廃から始まって、私は強烈な反対運動をいたしました。その後、いろいろあって、私が……(発言する者あり)与党はやじらないように。その後、私が副大臣になったときに、安倍総理がオバマ大統領と何か聖域があるんだという合意をされて、ワシントンからお電話いただきましたけれども、そのときは本当にびっくりして、正直な感想としては、それじゃTPPじゃないじゃんと思いました、最初聞いていた話と違うので。で、その後、結構やさぐれまして、地元に帰って、これはもう自分としてはちょっと立っていけないということであれば、もう副大臣もやめよう、必要であれば自民党をもう一回離党しようかという話を後援会の幹部としたことも、まあ、こういう話はもうやめますね。
やめますが、しかし、今回の内容については、とれたものもあるんですよ、日本として。日本としてとれたものもあります。例えば、農産品についても、長芋とかいろいろありますし、しょうゆとかいろいろありますし、全然とれていないわけではない。それから、先ほどからお話ししていますように、6万5千5トン、WTO枠についてアクセスできる部分については非常に夢が持てるというふうに思っています。今まで4.4セントの枠というのは200トンしかなかったわけですから、それが6万5千5トンまで広がれば、日本の畜産にとっては非常にいいことでありますので。
確かに、SGについてはいろいろ御意見もあるだろうと思います。しかし、米についても大変強い交渉力を持って、調製品についても頑張っていただけましたし、私は、全体として、農林水産省の合意内容も、政治家としても、農水大臣としても受けとめられる内容にとどまったと思っています。
○亀井委員 自民党の中でTPPに強く反対しておられて、今、意見が、見方が変わった方の御意見というのを初めて伺いました。私もTPPの交渉の話が出たときに超党派の議連で反対の方に入っておりまして、当時、自民党は、加藤紘一先生、お亡くなりになりましたけれども、加藤先生がトップでされていたときからの話ですので、なぜ自民党の皆さんが変わったのかというのがよく私はわからなかったんですね。本当にこのテーマはかなり、議論し出せば私も長くなりますし、いろいろ質問したいこともございますけれども、初めて、なぜ見方が変わったのかということを伺いました。
それで、済みません、全然予定どおりにいっておりませんで、時間が尽きないんですけれども、この交渉についてですが、日米貿易協定なるもの、これはWTO違反ではないかと私は思います。
といいますのは、例えば、2018年度の日本から米国への輸出総額は15兆4千7百2億円だったんですが、そのうち、29%が自動車、6%が自動車部品、6%が原動機です。つまり、自動車と部品を除いた関税撤廃率は59%です。そうすると、WTOが求める約90%にはほど遠いので、もうこの時点で、日米貿易協定というのは、実際には物品貿易協定ですけれども、WTO違反ですよね。
このことについて、外務省は一体どう説明するんでしょうか。
○中山大臣政務官 お答えします。ガット第24条、実質上全ての貿易の具体的な判断基準は確立されておりませんが、我が国としては、貿易額のおおむね9割の関税撤廃を1つの目安としております。
日米貿易協定における関税撤廃率は、本協定で新たに譲許される品目に、WTO協定の枠組みのもとで無税としているものを含めれば、貿易額ベースで、日米それぞれ、約84%と92%となっております。
したがって、本協定はWTO協定と整合的であると考えております。
○亀井委員 先ほど具体的に私申し上げましたけれども、82%、92%というのは、全然、もう架空の数字であって、実際には、去年の数字で見ると59%なんです。
ですので、仮にこの場でほかの数字を出せたとしても、国際的にはこれは通用しないんですよね。なので、各国に対してどう説明するんですかということなんです。
それで、TPP11、CPTPPの方にも行きますけれども、もともと、TPP11、アメリカが離脱した後でこれを、それこそ日本が主導して、呼びかけてまで締結したのは、あくまでも多国間の枠組みで貿易のルールを決めるんだということで各国に呼びかけたはずなんです。ところが、一方で、日米の2国間の協定を始めてしまった。これだけでも、CPTPPの参加国は恐らくおもしろくないだろうと思いますよね。
アメリカが抜けた後のTPPで、大分魅力がなくなった、わざわざ締結する必要があるんだろうかと思っていたところに、日本が率先して国際的な枠組みでいきましょうと言ったのに、締結した後で日米で直接に交渉を始めた、でもまだ交渉でしたけれども、これをいよいよ締結をします、それはWTO違反ですとなったときに、他のTPP11参加国にどう説明をされるんですか。
そして、先ほどから、TPP12協定の時点で決められたセーフガードの日本の発動枠、それの再交渉の申入れをいつするのかという質問は、この委員会でも何度も出ているんですけれども、その申入れはされるんでしょうか、伺います。
済みません、WTOの方は外務省にまず伺います。
○中山大臣政務官 もう一度繰り返しますが、日米貿易協定の関税撤廃率は、本協定で新たに譲許される品目に、WTO協定の枠組みのもとで無税としているものを含めれば、貿易額ベース、2018年で、日米でそれぞれ、約84%と約92%となっております。
したがって、本協定は、WTO協定と整合的であると考えております。
さらに、自動車・自動車部品について、単なる交渉の継続ではなく、さらなる交渉による関税撤廃を明記しております。
すなわち、さらなる協議は、関税撤廃がなされることを前提に具体的な撤廃期間等について交渉を行うものであり、関税撤廃率に加えることは何ら問題ないと考えております。
○亀井委員 まだ交渉で決まっていないことを数字に含めてしまうというのは間違いだと思いますし、アメリカは、自動車部品、自動車の関税撤廃、約束していません、明記していません。今、明記しているとおっしゃいましたけれども、原文は、サブジェクト・ツーと書いてあるので、サブジェクト・ツー・ネゴシエーションズなので、交渉によると書いてあるのであって、約束はしていません。そこは正確に伝えていただきたいと思います。
いかがですか。そう書かれていますよね。
○中山大臣政務官 お答えします。
今般の日米貿易協定では、米国の自動車・自動車部品について、さらなる交渉による関税撤廃を協定に明記したと考えております。
すなわち、本協定においては、第5条1が各締約国は附属書Ⅰ又は附属書Ⅱの規定に従って市場アクセスを改善するとの両締約国の義務を規定した上で、それぞれの締約国の附属書において市場アクセスの改善に関する具体的な仕方を記載をしております。
そして、米国の附属書においては、自動車・自動車部品について、関税の撤廃に関して更に交渉すると規定をしており、米国が第5条1の規定に基づく市場アクセスの改善を行うに当たって、この規定が具体的な仕方の1つとなっています。
したがって、自動車・自動車部品については、関税撤廃がなされることを前提に、市場アクセスの改善策として、その具体的な撤廃期間等について今後交渉が行われると考えております。
○亀井委員 政務官、英語の原文をごらんになった方がいいかと思います。そう書いてないんです。
次は農水大臣に質問させていただきますが、先ほどのTPP11のセーフガードの再交渉の申入れについてなんですけれども、私が申しましたとおり、そもそも、TPP11の参加国は、自分たちに多国間の枠組みでやろうよというふうに誘っておいて、その後日米が直接に協定を結ぶということ自体に快く思っていないだろうと。私がオーストラリアであったらそう思いますよね。何だ、日本、言っていたことと違うじゃないかときっと思うので。ただでさえ気分を害しているところに、セーフガードを見直してもらえませんかといって、さらに、相手にとっては損をする話であるのに、交渉に乗ってくるとはとてもとても思えないんですけれども、そのあたりはどのようにお考えでしょうか。
また、もう1つ、先ほど石川委員の質問のときに、セーフガードを発動した後、交渉で発動基準を上げる方に交渉するというような御答弁があったんですけれども、本来、セーフガードというのは国内産業を守るために発動するので、そこまで輸入が急増したのであったらば、守るという意味でいったら下げるか、あるいはそのままでもいいんですけれども、上げるというのは守ることになっていない、国内産業を守ることになっていないので、そもそもセーフガードの考え方としておかしいんじゃないかなとさっき感じたんですけれども、御質問いたします。
○江藤国務大臣 まず、11がどのように感じるかについては、それは、こうじゃないかなと私も思うところはありますが、こうだろうということはきょうは避けさせていただきます。ただ、御指摘のとおり、なかなか簡単なことではないだろうと思います。しかし、やらなければならないと思っています。
内閣官房がやることにはなりますけれども、我々農水省としても、他人事ではありませんので、あらゆる窓口とかタイミングをつかまえて、私としても、農林省を挙げてしっかりサポートしていきたいと思っております。
それから、もう1つの、TPP11の方も、12を合意した時点でSGの水準は毎年上げていくという内容になっているわけですよ、SGの発動水準は。それに倣わなければ仕方がなかったということだと御理解いただきたいと思います。
私の気持ちとしては、それは、おっしゃるように、更にSGを下げられればいいと思いますよ、思いますが、ただでさえ2018年現在で25万5千トンの輸出実績が日本にあって、それを茂木大臣が24万2千まで下げてくれたというのは、かなり私はスーパーゴールだと思っているんです。それに5千トン足しても、まだ25万5千の2018年の水準に届いていないじゃないですか。
ですから、正直、SGの発動水準が毎年5千トンずつ上がっていくことはよしとはいたしませんが、ただ、その一方で、日本からも、繰り返しになって恐縮ですけれども、EUとかそれとか中国とか、それとアメリカのWTO6万5千5トン枠とか、いろいろなものにアクセスしていけば、何が肝心かというと、国内の畜産経営に対して影響が出るか出ないか、これが一番私が関心のあることであって、例えば、具体的に言うと、枝肉の値段が暴落をする、子牛の値段が暴落をする、そういったことが起こらないようにすることが私の責務ですので、その範囲内においては何とか許容範囲におさまっているというふうに考えております。
○亀井委員 江藤大臣はもともとTPPに強硬に反対しておられて、農家の気持ちも代弁しておられると思うので、せっかく農水大臣になられたんですから、ぜひこれは頑張って闘っていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
次の質問に移らせていただきます。
私がどうしてこんなに国際交渉に突っ込んだ質問をするかといいますと、食料自給率を上げることがやはり国の農政として大事だと思っているからです。
そこで、最近気になっておりますのが、食料自給率だけではなくて、食料自給力という言葉も聞こえてくるようになりました。これはまだ耳なれないんですけれども、食料自給力という言葉を使い出したのはいつからですか。そして、その自給力の定義、そして食料自給率と自給力の違いというのは、これは、自給率は出ていますけれども、昨年度は37%ですけれども、自給力というのも数字で出ているようなものなのか、単にイメージであるのか、御説明いただけますか。
○江藤国務大臣 平成27年の基本計画から使われ始めたというふうに、済みません、今教えてもらいました。農地とそれから担い手、人ですね、それから技術、この3要素によって構成されているということでございます。
○亀井委員 では、数字的にはないということですよね。食料自給率は37%で、よく言われるのは、食料自給力は潜在的な食料をつくる力なんだと言われるんですけれども、そして自給力があるから大丈夫というような説明を受けることもあるんですが、かねてから何がどう違うんだろうと思っておりましたが、御説明はいただけますでしょうか。
○江藤国務大臣 うまく説明できるかちょっと若干自信がないんですが、国民に対する説明としては、今、日本にある耕作可能な農地面積、これにおいて全て芋を植え付けた場合に国民は飢えることはありませんということが、一応、食料安全保障上のエクスキューズにはなっております。
しかし、芋ばっかり食べるわけにはいかないので、そして、農地があってもそこで営農する人が技術者としていなければ生産基盤として機能しませんので、人と技術と農地ということだと考えています。
○亀井委員 芋の話が出ましたけれども、この話も以前この委員会でしたことがございます。
私が農水委員会に入ったころに、カロリーベースの食料自給率40%ってどういうことだろうと調べました。そのときに、日ごろ私たちが生きていく上で必要なエネルギーの中の40%は国産の食べ物で構成されていますよということだと理解したので、それ自体は、例えば非常時に、輸入が途絶えたときに国産のもので100%になるんだったら、その40%自体はそれほど大きな問題じゃないというふうに私は捉えたんですね。ただ、ふだん40%で、それがいきなり100%にはなかなかならないから上げていきましょうというふうに論理的には考えました。
ただ、当時から、その40%というのは、その基準が、私は、輸入が途絶えたら米と海の幸、山の幸ぐらいは食べられるのかと思ったら、そうではなくて、今の人口を全員を食べさせるためには農地が足りないから、田んぼは全て芋になりますと。芋換算で出ていた数字なので、びっくりしたんですよね。それじゃだめだろうということをずっと言ってきているんですけれども。
そうであるにもかかわらず、関税の撤廃に向かって段階的引下げが始まり、そして自給力という言葉が出てきて、じゃ、ただでさえ芋換算なのに、それに自給力というのは一体何がどう違うんだろうと。一部で、農地だけじゃなくて学校の校庭にも全部芋を植えたらもうちょっと上がるからというような話だというふうにも聞こえてきたんですけれども、どうなんだろう、そう思ったところでございます。
時間が来てしまいましたけれども、大臣、何かコメントありますでしょうか。
○江藤国務大臣 食料自給率については、大変大事な課題だと思いましたから、所信でも述べさせていただきました。
そして、芋だけ食うわけにはいかないということでありますが、米については一応自給ができている。
そして、日本で生産されている、例えば牛なんか、豚なんかは特にそうですけれども、飼料自体を輸入に頼っているということがあって、食料自給率に換算されないものもあります。
そして、今回の日米の貿易交渉も、日・EUの貿易交渉も、例えば野菜とかそういったものについては余り関係がないということでありますから、食料自給率を直接、ダイレクトにどかんと下げるインパクトが今回の一連の経済連携協定とか合意の中に含まれているとは私自身は余り考えておりません。
○亀井委員 時間が来ました。
国産飼料の率が低いところにトウモロコシをまた輸入するというのはどういうことかというふうに思っておりますが、時間が来たので終わりにしたいと思います。
きょう、写真を1枚つけさせていただいて、この委員会で行かせていただいた視察に関しての、豚コレラの質問をする予定でしたけれども、次回に回したいと思います。
きょうはありがとうございました。

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